平成30年度において講じた小規模企業施策

平成30年度において講じた小規模企業施策

第1章 需要を見据えた経営の促進

第1節 生産性向上・技術力の強化

1.戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【平成30年度当初予算:130億円】

中小ものづくり高度化法の計画認定又は地域未来投資促進法の計画承認を受けた中小企業・小規模事業者が大学、公設試等の研究機関等と連携して行う、研究開発等に関する取組を支援した。また、中小企業等経営強化法に基づいて認定された異分野連携新事業分野開拓計画に従って行う中小企業・小規模事業者が、産学官連携して行う新しいサービスモデルの開発等を支援した。(採択件数:ものづくり126件、サービス37件)(継続)

2.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【平成30年度当初予算:産業技術総合研究所運営費交付金の内数】

地域企業の革新的な技術シーズを事業化へとつなぐ「橋渡し」機能を強化するため、地域の中堅中小企業のニーズ等を把握している公設試験研究機関にコーディネータを拡充配置し、産総研のコーディネータとあわせて180人体制で全国規模の連携体制の強化に取り組み、中堅・中小企業等の研究開発を支援した。(継続)

3.中小企業のものづくり基盤技術の高度化に向けた総合支援

中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、計画が認定された中小企業・小規模事業者に対して戦略的基盤技術高度化支援事業や、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施した。(平成30年新規認定件数:325件)

4.小規模事業者持続的発展支援事業【平成30年度補正予算:1,100億円の内数】

小規模事業者が、商工会・商工会議所と一体となって経営計画を作成し、販路開拓に取り組む費用を支援(小規模事業者持続化補助金)や、広域の販路開拓を支援するため、展示会等の販売支援を実施した。(新規)

5.生産性革命のための固定資産税の減免措置の創設【税制】

新たに導入する設備が所在する市区町村の導入促進基本計画等に合致する先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業・小規模事業者等が導入する先端設備等にかかる固定資産税を自治体の判断により最大3年間ゼロにできる措置を講じた。平成30年12月31日時点で、1,594自治体において17,868件の計画が認定され、認定を受けた計画に盛り込まれた設備等の数量は合計で47,865台あり、約5,076億円の設備投資が見込まれている。(継続)

6.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業者等について、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「総額型」に、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を引き続き適用する(大企業は6%~14%)とともに、試験研究費の増加割合が5%を超える場合には税額控除の上限を10%上乗せする措置を講じた。さらに、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の総額に係る税額控除制度、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合に、その超過額に応じた額を控除できる制度等を引き続き講じた。(継続)

7.中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援

新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助金等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への提供拡大、及び技術開発成果の事業化を図った。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、特定補助金等の採択企業の技術力をPRするデータベースや日本政策金融公庫による低利融資等の事業化支援措置を中小企業・小規模事業者等に周知し、利用促進を図るとともに、特定補助金等への多段階選抜方式の導入拡大を図った。(平成30年度における支出目標額:460億円)(継続)

8.異分野連携新事業分野開拓

中小企業等経営強化法に基づき、異分野の中小企業が連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて行う新商品・新サービスの開発・販売等の事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例などにより総合的な支援を実施する。(平成30年新規認定件数:45件)(継続)

9.医工連携事業化推進事業【平成30年度当初予算:30.4億円】

医療機器開発支援ネットワークを推進し、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目ない支援として、事業開始から約600件の伴走コンサルを実施した。また、ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、開発・事業化事業において本年度34件の医療機器実用化を支援した。(継続)

10.企業活力強化資金(ものづくり法関連)【財政投融資】

中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化、中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進並びに下請け中小企業の振興を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を講じた。(継続)

11.中小企業等経営強化法

平成30年5月に成立した、「中小企業等経営強化法の改正を含む産業競争力強化法等の一部を改正する法律」に基づき、〔1〕親族外・社外承継の増加に対応するため、M&Aなどにより他社の事業を承継して経営力向上を図る中小企業に対して税制措置や許認可の承継などの支援を行う、〔2〕経営支援体制の強化のため、経営革新等支援機関の認定制度について更新制を導入して定期的に業務遂行能力を確認することとする、〔3〕中小企業のIT導入支援のための支援体制を整備するなどの措置を講じた。また、中小企業等経営強化法に基づき、経営力向上計画の認定を受けた企業に対し、固定資産税の軽減措置や日本政策金融公庫の融資制度等税制面や金融面の支援を講じた。平成30年12月末時点において、78,900件を認定。(継続)

12.中小企業経営強化税制【税制】

中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置。(継続)

13.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業【平成30年度補正予算:1,100億円の内数】

中小企業・小規模事業者等が行う生産性向上に資する革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援する。(新規)

第2節 IT化の促進

1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】

中小企業の生産性向上に寄与するIT活用を促進するため、日本政策金融公庫による融資を着実に実施した(平成30年度の実績は120件、14.5億円(平成30年12月末時点))。

2.サービス等生産性向上IT導入支援事業【平成30年度補正予算:1,100億円の内数】

中小企業・小規模事業者等の生産性向上を実現するため、バックオフィス業務等の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上(売上向上)に資するITの導入支援を行う(補助額:40万円~450万円、補助率:1/2)。加えて、IT事業者と中小企業・小規模事業者間の情報の非対称性を是正するため、セキュリティにも配慮したITツール及びその提供事業者の成果を公開し、IT事業者間の競争を促すとともに、効果の高いツールの見える化、ノウハウの集約と横展開を行う仕組みの構築を通じて、中小企業・小規模事業者等によるIT投資を加速させ、我が国全体の生産性向上を実現する。(新規)

3.企業間データ連携(中小企業共通EDI)

受発注業務において汎用的に利用できる中小企業向けEDI標準仕様(中小企業共通EDI標準)の活用を支援。(継続)

第3節 販路・需要開拓支援

1.小規模事業者持続的発展支援事業【平成30年度補正予算:1,100億円の内数】

小規模事業者が、商工会・商工会議所と一体となって経営計画を作成し、販路開拓に取り組む費用を支援(小規模事業者持続化補助金)や、広域の販路開拓を支援するため、展示会等の販売支援を実施した。(新規)

2.小規模事業対策推進事業【平成30年度当初予算:49.4億円】

平成26年改正小規模事業者支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援(採択数:1,181件)した。また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:71件、本体事業(1年目:45件、2年目:21件)に対し、幅広い支援を行った。(継続)

3.各種展示会や商談会等による販路開拓支援

中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小企業基盤整備機構が展示会や商談会等の開催を通じて、販路開拓・拡大を支援した。(継続)

4.販路開拓コーディネート事業

中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手がかりを掴むとともに、販路開拓の力をつけることを中小企業基盤整備機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)が支援した。(継続)

5.販路開拓サポート支援事業

中小企業基盤整備機構が、自ら主催する展示会またはそれらの同時開催展等に出展する企業に対し、バイヤーの招聘や販路開拓のアドバイス等を行うことにより、マッチングを促進し、中小・ベンチャー企業の販路開拓を支援した。(継続)

6.新事業創出支援事業

中小企業基盤整備機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業等経営強化法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。(継続)

7.J-GoodTech【平成30年度当初予算:中小機構交付金の内数】

中小機構が、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。(継続)

第4節 海外展開支援

1.日本の中堅・中小企業とのグローバルアライアンス支援

日本の中堅・中小企業と外国企業との投資提携等を支援するため、JETRO、中小企業基盤整備機構等の関係機関が連携し、中堅・中小企業と外国企業とのマッチング及びファンドスキームの活用を促進した。こうした取組により、中小企業基盤整備機構及び外国企業等が出資参画したファンドが組成され、未上場の国内ベンチャー企業への投資が行われた。(継続)

2.中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業【平成30年度当初予算:23.9億】

中小企業・小規模事業者の海外展開を支援するため、ジェトロと中小機構が連携して、海外の市場動向や規制等の情報提供、実現可能性調査(F/S)、輸出体制の構築等を通じた企業発掘から、国内外の展示会出展支援や海外バイヤー招へい等を通じた海外販路開拓支援、原産地証明制度に係るセミナーの開催や相談窓口の設置等、現地進出後の支援まで海外展開の様々な段階におけるニーズに応じた施策によって戦略的に支援を行った。(廃止)

3.JAPANブランド育成支援事業【平成30年度当初予算:10億円の内数】

中小企業の海外でのブランド確立の実現を図るため、複数の中小企業が連携し、自らが持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外展示会への出展等の取組を支援した。(継続)

4.海外展開・事業再編資金

経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、もしくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するため、日本公庫(中小企業事業、国民生活事業)による融資を実施した。(継続)

5.海外子会社の資金調達支援等

中小企業経営力強化支援法に基づき、日本公庫が新事業活動促進法の経営革新計画の承認等を受けた中小企業者の海外子会社等の現地金融機関からの借入れに対して債務保証を実施した。(継続)

6.技術協力活用型・新興国市場開拓事業【平成30年度当初予算:45.6億円の内数】

我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下の事業を実施した。(継続)

〔1〕経営・製造・オペレーション等に従事する開発途上国の管理者・技術者等に対し、日本への受入研修、専門家派遣による指導等を支援。平成30年度は778名の受入研修及び39名の専門家派遣を実施した(平成31年1月末現在)。

〔2〕日本で働くスキルを有する外国人材の育成と日本企業における体制強化のため、日本企業への外国人のインターンシップ受入を実施。平成30年度は225名の外国人を日本企業へ受け入れた。

〔3〕開発途上国の社会課題を解決する製品・サービスの開発等に、開発途上国現地の大学・研究機関・NGO・企業等と共同で取り組む日本企業への補助。平成30年度は10案件の補助を行った。

7.青年海外協力隊事業の活用及び民間連携ボランティア制度【平成30年度予算:1,497.6億円の内数】

国際協力機構(以下「JICA」という。)においては各企業のニーズに合わせ、社員を青年海外協力隊・シニア海外ボランティア等として途上国に派遣する民間連携ボランティア制度を活用し、グローバル社会で活躍できる人材の育成に努めた。また、帰国したJICAボランティアの進路開拓支援の一環として、特定の途上国を熟知した人材(協力隊員)の採用を希望する企業の情報を帰国隊員に提供したり、これら企業と帰国隊員とが直接対話できる交流会や帰国報告会等を開催した(継続)。

8.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置

中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)が代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じた。平成20年より3件としていた無料での信用調査を平成27年度から8件に拡大。(継続)

9.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)

中小企業による貿易保険の利用を促進するため、中小企業向けのホームページを刷新。JETRO等が全国で主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行った。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険を中心に、わかりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、貿易保険の一層の理解と普及に努めた。(継続)

10.貿易保険へのアクセス改善

中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、平成23年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足した。提携機関は年々拡大し、また、平成28年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、全国117金融機関によるネットワークを構築している(平成31年2月現在)。(継続)

11.安全保障貿易管理の支援

外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性向上のため、企業等に対し全国各地で説明会を約100回開催した。その他、中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業、中小企業基盤整備機構やJETROとの連携等による、輸出や技術提供を行う中小企業における安全保障貿易管理に係る自主管理体制の整備を支援した。(継続)

12.BOPビジネスの推進【平成30年度当初予算:4.2億円の内数】

途上国の成長市場における日本企業のビジネス展開を支援するため、BOP/ボリューム ゾーン・ビジネスを推進した。具体的に、JETROでは17ヶ国にコーディネーターを配置し、28の個別案件の具体化を支援した。また、アフリカ・アジア地域でBOPビジネス展開を試みる日本企業を対象に、医療機器分野や新たにデジタル技術を駆使し、BOP層や小規模事業者へのアクセスを有するアフリカのスタートアップとの新たな連携促進をも目指した国内商談会を通じ、234社・857件の商談を支援した。この他、現地へのミッション派遣・現地でのマッチングなどを行い、BOP/ボリュームゾーン・ビジネスへの積極的な参入を促進した。さらに、アフリカに拠点を設立することを目指す企業6社を支援する実証事業を実施した。(継続)

13.基礎調査、案件化調査、普及・実証・ビジネス化事業(中小企業等の製品・技術等とODAのマッチング事業)【平成30年度当初予算:1,497.6億円の内数、平成30年度補正予算

26億円の内数】

ODAにより、日本の中小企業等の優れた製品・技術等を途上国の開発に活用することで、途上国の開発と日本経済の活性化の両立を図ることを目的としている。(継続)

14.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【平成30年度当初予算:1,604.7億円の内数、平成30年度補正予算:50億円】

途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業の製品に対する認知度の向上等を図るもの。(継続)

15.新輸出大国コンソーシアム【平成30年度当初予算:239.3億円の内数、平成30年度補正予算:24.0億円の内数】

JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野における433名の専門家を確保(平成31年2月8日時点)し、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで、総合的な支援をきめ細かに実施している。(継続)

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