第2部 経営者の世代交代と多様な起業 

2 成長過程における課題

前項では、雇用面での拡大や副業を本業に移行することを成長の一つと捉え、その実態について確認してきた。これを受け本項では、成長志向を有する起業家(以下、「成長志向型起業家」という。)について詳しく見ていく。

まず、第2-2-45図は成長志向型起業家の経営課題について見たものである。これを見ると、いずれの類型の起業家も「販路開拓・マーケティング」と回答する者が最も多く、「人材確保」や「補助金・助成金等の施策の活用」以外には大きな差異はないことが分かる。

第2-2-45図 類型別に見た、成長志向型起業家の経営課題
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次に、成長志向型起業家が経営課題について相談したことのある相手について見てみる(第2-2-46図)。副業起業家は、「友人・知人」という身近な存在を相談相手にする割合が相対的に高い。また、フリーランス起業家及び副業起業家は、これら以外の起業家に比べて、支援機関を活用していないことが見て取れる。

第2-2-46図 類型別に見た、成長志向型起業家の経営課題の相談相手
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さらに、第2-2-47図は、今後、経営課題を相談してみたい相談相手について見たものである。全体として、金融機関や士業などの民間支援機関に相談してみたいと回答する者が多い。また、「相談を行う予定」と回答した者に着目すると、民間支援機関及び公的支援機関のいずれも、フリーランス起業家及び副業起業家の回答割合は、フリーランス・副業外の起業家に比べて低水準にとどまっていることが分かる。

第2-2-47図 今後、経営課題を相談してみたい相談相手
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民間支援機関に比べて、公的支援機関について「存在を認識していない」と回答する起業家は多い。したがって、公的支援機関は、民間支援機関と連携を深め、各類型の起業家に対して存在を認知してもらうことや、どのような相談をできるのかなど周知活動をしていくことが重要といえよう。

最後に、起業家が自身の能力開発などについてどのような意識を持っているかを分析する。第2-2-48図は、成長志向型の起業家が事業運営を成功させるために必要であると考える知識・スキルについて見たものである。

第2-2-48図 成長志向型起業家が必要だと思う知識・スキル
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まず「必要性を感じており、既に取り組んでいる」知識・スキルについては、いずれの類型の起業家も「事業に関する専門的知識」の割合が最も高く、次いで「事業に関する実務経験」となっている。

他方、「必要性を感じているが、まだ取り組んでいない(どう取り組んでいいか分からない)」知識・スキルについては、いずれの類型の起業家も「企業経営(事業運営)に関する財務・税務・法務等専門知識」の割合が最も高い。なお、「人脈をつくる能力」については、フリーランス起業家が第2位となったが、その他二つの起業家については、第4、5位と低い回答割合となっている。

以上より、事業に関する専門知識や実務経験については、事業を営む上で必要不可欠なものであり、既に取り組んでいる割合が高いのは当然の結果ともいえるが、事業を拡大することを志向する起業家にとっては、企業経営に関する専門知識の不足が課題と認識しているものと推察される。

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