第2部 経営者の世代交代と多様な起業 

第4節 まとめ

第1節では、個人事業者について概観し、個人事業主の減少と高齢化が進んでいることを確認した。

第2節では、個人事業者の事業承継についての取組やその効果などを分析した。

個人か法人かで、後継者を決定する上で重視した資質・能力、有効だと感じた後継者教育などに違いがあることが分かった。個人事業者においては、より実務で活用できる教育を重視する傾向にある。他方、事例で見たとおり、後継者の自主性に任せることが、後継者の成長につながる場合もある。そのため、各々の実情に合った、後継者教育を実施することが望ましいといえよう。

事業承継を選択するまでの実態として、経営者引退の課題は、「自身の収入の減少」、「後継者の経営能力」、「顧客や販売先、受注先への影響」など様々ある。経営者引退に関する相談先は「公認会計士・税理士」と「商工会議所・商工会」が多く、その相談内容は、「引退するまでの手順や計画を整理できた」が最も多い。経営者引退というデリケートな相談内容であるが、それぞれ強みを持つ支援機関から助力を得ることができれば、解決する課題もあるといえるだろう。

第3節では、廃業した小規模事業者からの経営資源の引継ぎについて見てきた。廃業に向けた取組の中で苦労したことは、「販売先・顧客」、「従業員」、「仕入先」、「資産」など経営資源に関するものが多かった。

「販売先・顧客」、「設備」、「事業用不動産」について、該当する経営資源を保有する個人事業者が廃業時に他社に引き継ぐ割合は、法人に比べて低い。特に、個人事業者においては、廃業に際して経営資源を引き継ぐ取組を、現状よりも促進できる余地があると考えられる。

他方、廃業に当たって経営資源を引き継いでいない経営者について、引き継がなかった理由を確認すると、経営資源ごとに異なるが、「引継ぎするという発想がなかった」、「引き継ぐ価値があるとは思わなかった」、「引継ぎ先が見つからなかった」とする回答が多かった。このことから、経営資源の引継ぎという選択肢があることの周知、経営資源の引継ぎを検討する上での価格算定、経営資源のマッチング、などの支援ニーズがあると考えられる。これから引退する経営者に対する、周りのサポートが大切だといえよう。

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