平成31年度において講じようとする中小企業施策

第2章 生産性向上、人手不足対策

第1節 人材・雇用対策

1.地域中小企業人材確保支援等事業【平成31年度当初予算:13.7億円】

経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者の人材の確保を支援することを目的に、地域特性に合わせ、各地の中小企業・小規模事業者が必要とする人材を地域内外から発掘、紹介、定着等人材確保支援を実施する(継続)。また、平成30年度に構築を行った中核人材確保スキームの横展開や、経営支援機関等と人材紹介会社等が連携したプラットフォーム構築の実証事業を行う(新規)。

2.スマートものづくり応援隊等事業・ものづくり中核人材育成事業【平成31年度当初予算:13.7億円の内数】

製造現場の経験が豊富な人材や、IoTやロボットに知見を有する人材等が指導者としての汎用的なスキルを身につけるための研修を実施し、育成した指導者を製造業等の中小企業・小規模事業者の現場に派遣することで、これらの事業者の生産性向上を目指す。平成30年度末時点で計31拠点を整備。(継続)

3.小規模事業者支援人材育成事業【平成31年度当初予算:5.4億円の内数】

地域の小規模事業者を磨き上げ、地域の未来をデザインしていくことができる人材を育成するために

〔1〕商工会・商工会議所や地方公共団体を対象とした小規模事業者の支援手法を享受する研修を全国で実施する(小規模事業者支援手法研修)

〔2〕商工会・商工会議所やDMO等と連携し、ローカルデザイナーを育成していくため、ワークショップ等を開催する(ローカルデザイナー育成事業)

〔3〕まちづくりの専門知識等を習得する研修等を実施し、まちづくりを推進するタウンマネージャー等を確保・育成する(タウンマネージャー等育成事業)を通じて地域の小規模事業者支援人材の資質を向上させ、地域の経済活動が活発になることを目指す。

(新規)

4.サプライヤー応援隊事業【平成31年度当初の予算:13.7億円の内数】

民間団体等が、中小企業・小規模事業者の次世代自動車への対応等を支援する人材(サプライヤー応援隊)を育成し、派遣する事業に対して、必要経費の1/2を補助し、自動車産業の底上げを図る。(新規)

5.中小企業大学校における人材育成事業

全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修等を実施する。また、地域中小企業等からのアクセス改善に向けた「サテライト・ゼミ」等の実施や、豊富なメニューを揃えたウェブ活用型研修「WEBee Campus」、ケースメソッド型の高度実践プログラムを行う。(継続)

6.労働者の雇用維持対策【平成31年度当初予算:62.3億円】

景気の変動等にともなう経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給するとともに、不正受給防止対策にも積極的に取り組み、本助成金のより一層の適正な支給に努める。(継続)

7.魅力ある職場づくりに向けた雇用管理の改善の支援【平成31年度当初予算:121.1億円】

人材確保等支援助成金においては、平成30年度に実施した助成の他、働き方改革のために人材を確保することが必要な中小企業・小規模事業者が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に助成を行う「働き方改革支援コース(仮称)」を平成31年4月に創設予定。(継続)

8.地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)【平成31年度当初予算:30.0億円】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域の求職者等を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を支給する。(継続)

9.中途採用等支援助成金(UIJターンコース)【平成31年度当初予算:1.1億円】

地方創生推進交付金を活用して地方公共団体が実施する移住支援制度を利用したUIJターン者を採用した事業主に対して、その採用活動に要した経費の一部を助成する中途採用等支援助成金(UIJターンコース)を支給する。(新規)

10.地域活性化雇用創造プロジェクト【平成31年度当初予算:58.8億円】

地域における安定した良質な雇用の創出・確保に向けた取組を推進するため、産業政策と一体となって正社員雇用の創出・確保に取り組む都道府県を支援する地域活性化雇用創造プロジェクトを実施する。(継続)

11.成長分野等への人材移動の促進【平成31年度当初予算:45.0億円の内数】

労働移動支援助成金(再就職支援コース)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(再就職援助計画対象者等)に対する再就職支援を民間職業紹介事業者への委託等により行う事業主に対して助成する。

また、再就職援助計画対象者等を早期に雇い入れた事業主に対して労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)を支給し、当該労働者に対して訓練を実施した事業主に対してはさらに追加の助成を行う。

加えて、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)により、中途採用者の能力評価、賃金、処遇の制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大させた事業主に対する助成を行う。(継続)

12.人材確保対策推進事業【平成31年度当初予算:34.1億円】

「人材確保対策コーナー」の拡充等を行い、人材不足分野におけるマッチング支援の強化を図る。(継続)

13.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【平成31年度当初予算:5.5億円】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援する。(継続)

14.最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【平成31年度当初予算:114億円】

最低賃金・生産性向上による賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕働き方改革に関する相談等にワンストップで対応するため、「働き方改革推進支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施する。(継続)

〔2〕傘下企業の労働時間短縮や賃金引上げに向けた生産性向上に資する取組を行う中小企業団体に対し、その取組に要した費用を助成する。(継続)

〔3〕全国47都道府県において、企業の生産性向上に資する設備・器具の導入、経営コンサルティングの実施などの業務改善を行うとともに、事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を30円以上引き上げる中小企業・小規模事業者(事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内及び事業場規模30人以下の事業場に限る)に対し、その業務改善に要した経費の一部を助成する。(継続)

15.キャリアコンサルティングの普及促進

民間職業紹介・就職支援機関や企業の人事管理・人材育成部門、学校におけるキャリア教育などにおいて、キャリアコンサルティング(労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと。)の活用について普及促進を進める。平成28年4月には、キャリアコンサルティングを行う専門家として「キャリアコンサルタント」を国家資格化したことから、当該資格の周知を進める。また、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」である「セルフ・キャリアドック」の導入を推進する。(継続)

16.所得拡大促進税制【税制】

持続的な賃上げや人材投資等に取り組む中小企業等を支援するため、平成30年度税制改正において、給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一定割合の税額控除ができる措置を講じる。具体的には、〔1〕継続雇用者給与等支給額を対前年度比で1.5%以上増加させた場合には、給与等支給総額の対前年度増加額の15%の税額控除、さらに、〔2〕継続雇用者給与等支給額を前年度比で2.5%以上増加させ、かつ、人材投資や生産性向上に取り組む場合には、給与等支給総額の対前年度増加額の25%の税額控除ができることとしている。(継続)

第2節 生産性向上・技術力の強化

1.戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【平成31年度当初予算:131.0億円】

中小ものづくり高度化法の計画認定又は地域未来投資促進法の計画承認を受けた中小企業・小規模事業者が大学、公設試等の研究機関等と連携して行う、研究開発等に関する取組を支援する。また、中小企業等経営強化法に基づいて認定された異分野連携新事業分野開拓計画に従って行う中小企業・小規模事業者が、産学官連携して行う新しいサービスモデルの開発等を支援する。(継続)

2.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【平成31年度当初予算:産業技術総合研究所運営費交付金の内数】

地域企業の革新的な技術シーズを事業化へとつなぐ「橋渡し」機能を強化するため、地域の中堅・中小企業のニーズ等を把握している公設試験研究機関にコーディネータを拡充配置し、産総研のコーディネータとあわせて180人体制で全国規模の連携体制の強化に取り組み、中堅・中小企業等の研究開発を支援する。(継続)

3.中小企業のものづくり基盤技術の高度化に向けた総合支援

中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、計画が認定された中小企業・小規模事業者に対して戦略的基盤技術高度化支援事業や、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施する。(継続)

4.生産性革命のための固定資産税の減免措置の創設【税制】

生産性向上特別措置法に基づく市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小事業者等の先端設備等導入計画に記載された一定の機械・装置等であって、生産、販売活動等の用に直接供されるものに係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする措置。なお、本措置に合わせ、「ものづくり・商業・サービス補助金」等の予算措置を拡充・重点支援する。(継続)

5.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業者等について、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「総額型」に、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を引き続き適用する(大企業は6%~14%)とともに、試験研究費の増加割合が8%を超える場合には税額控除の上限を10%上乗せする措置を講じる。さらに、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の総額に係る税額控除制度、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合に、その超過割合に応じて控除率を上乗せする措置等を引き続き講じる。また、平成31年度からはオープンイノベーションや研究開発型ベンチャーの成長を促すため、控除上限や控除率の拡充を図る。(継続)

6.中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援

新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への提供拡大、及び技術開発成果の事業化を図る。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、特定補助金等の採択企業の技術力をPRするデータベースや日本政策金融公庫による特別利率による融資等の事業化支援措置を中小企業・小規模事業者等に周知し、利用促進を図るとともに、特定補助金等への多段階選抜方式の導入拡大を図る。(継続)

7.異分野連携新事業分野開拓

中小企業等経営強化法に基づき、異分野の中小企業が連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて行う新商品・新サービスの開発・販売等の事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例などにより総合的な支援を実施する。(継続)

8.医工連携事業化推進事業【平成31年度当初予算:27.3億円】

医療機器開発支援ネットワークを推進し、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目ない支援として伴走コンサルを実施する。また、ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、平成31年度は開発・事業化事業において35件程度の医療機器実用化を支援する。(継続)

9.企業活力強化資金(ものづくり法関連)

中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化、中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進並びに下請け中小企業の振興を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行う。(継続)

10.中小企業等経営強化法

中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案を第198回国会に提出しており、中小企業の事業継続力強化のために必要な計画認定制度を創設し、各種の支援措置を講じる等の措置を盛り込んでいる。また、経営力向上計画を策定し、認定された企業に対し、日本政策金融公庫の融資制度等の支援を講じる。(継続)

11.中小企業経営強化税制【税制】

中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置。平成31年度税制改正において対象設備の範囲の明確化及び適正化を行った上で、適用期限が2年延長された。(継続)

12.(再掲)所得拡大促進税制【税制】

13.ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業【平成31年度当初予算:50.0億円】

複数の中小企業・小規模事業者等が、事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトを支援する。(新規)

第3節 IT化の促進

1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】

日本政策金融公庫による融資を引き続き実施し、平成31年度からは、特に、中小企業等経営強化法に基づき情報処理支援機関として認定を受けた者や、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により生産性を向上させる取組を実施する事業者に対して、低利の融資を新たに実施する。(継続)

2.サービス等生産性向上応援隊事業【平成31年度当初予算:0.2億円】

サービス事業者の日常的な相談先である支援機関やITベンダーに対して、IT活用や生産性向上に関する助言、専門家への橋渡しの役に立つオンライン講座等を提供する。あわせて支援機関とITベンダーのマッチングの機会を提供し、地域におけるIT支援関係者の連携を促進する取り組みを本事業と並行して実施する。(新規)

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