平成30年度において講じた中小企業施策

第4章 安定した事業環境の整備、活力ある担い手の拡大

第1節 取引条件の改善

1.下請等中小企業の取引条件の改善【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

様々な業種の取引条件改善を目的とした対策パッケージ「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン)」(平成28年9月公表)に基づき、平成30年12月末までに自動車や電機・情報通信機器、産業機械など12業種30団体において、取引適正化と付加価値向上に向けた「自主行動計画」が策定された。策定団体は、毎年、自らフォローアップ調査を実施して、その進捗状況を国に対して報告している。また、平成29年より全国に下請Gメンを配置し、現在120名体制で、年間4,000件超を目標に下請中小企業へのヒアリング調査を実施しており、平成30年12月末までに累計で約6,700社から生の声を収集しているところ。

これらの取組を通じて把握した新たな課題に対応するため、平成30年12月に、下請中小企業振興法の「振興基準」に、大企業間取引の支払条件改善や、型代金の支払方法、「働き方改革」の実現を阻害するような取引慣行の是正について盛り込み、改正を行ったところ。(継続)

2.下請代金法の運用強化【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

下請取引の適正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請法を執行した。公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施するとともに、下請法違反事実に関する情報収集を行い、下請法の厳格な運用に努めた。(継続)

3.相談体制の強化と下請取引適正化【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

全国48カ所に設置した「下請かけこみ寺」において、中小企業等の企業間取引における相談に対応した。また、下請等中小企業の経営者や営業担当者が、親事業者への価格交渉を行う上で必要な価格交渉ノウハウについて、個別指導やセミナー等を行った。また、下請法等の違反行為を未然に防止するため、親事業者の調達担当者等を対象とした講習会を開催し、一層の周知を図るほか、全国で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請法の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催した。さらに、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を構築するためのガイドライン(下請適正取引等の推進のためのガイドライン。経済産業省、国土交通省、総務省及び農林水産省の所管18業種)について、全国で説明会を実施した。(継続)

4.下請中小企業・小規模事業者の自立化支援【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

下請中小企業振興法に基づき、特定の親事業者への取引依存度の高い下請中小企業・小規模事業者が連携して課題解決型ビジネスを行う事業計画の認定を行い、補助金、融資、保証の特例により支援を実施した。また、親事業者の生産拠点が閉鎖又は縮小(予定も含む)された地域における下請中小企業・小規模事業者が行う新分野進出等に対し、補助金により支援を実施した。(継続)

5.下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

新たな取引先を開拓したい下請中小企業・小規模事業者に対して、「ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)」の運用により、自社の希望する業種、設備、技術等の条件に合った製造委託等の受発注情報の提供を行った。また、新たな販路開拓を支援するため、広域商談会を8会場で開催した。(継続)

6.下請け事業者への配慮要請等【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

平成30年11月、経済産業大臣及び公正取引委員会委員長の連名で、親事業者(約21万社)及び業界団体代表者(約1,000団体)に、下請取引の適正化等について要請した。(継続)

第2節 官公需対策

1.「平成30年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の策定及び周知徹底【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

「平成30年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を9月7日に閣議決定し、中小企業・小規模事業者向けの契約比率を55.1%と目標設定した。平成30年7月に発生した豪雨への対応、「働き方改革」実現のため、発注時期の平準化やその実態把握などについての措置を新たに盛り込んだ。(継続)

基本方針を周知徹底するために以下の取組を実施した。

(1)経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長(1,805団体)に対し、文書により「基本方針」の趣旨を説明するとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請した。

(2)地方における「基本方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を10月から11月にかけて50回開催した。

(3)地方において新規中小企業者からの調達を推進するための取組に関する情報の共有や連携方策を協議する会議(新規中小企業者調達推進協議会)を開催した。

(4)「官公需契約の手引」を作成し、国等の機関、地方公共団体等の機関及び商工関係団体等に配布した。

2.中小企業・小規模事業者の受注機械増大のための「官公需情報ポータルサイト」【平成30年度当初予算:13.9億円の内数】

中小企業・小規模事業者が官公需に関する受発注情報を入手しやすくするため、国等や地方公共団体がホームページで提供している発注情報等を中小企業・小規模事業者が一括して入手できる「官公需情報ポータルサイト」を運営した。(継続)

第3節 消費税転嫁対策

1.消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【平成30年度当初予算:27.0億円】

消費税の円滑かつ適正な転嫁を行うため、全国に転嫁対策調査官を配置した。併せて、消費税の転嫁拒否等の行為に関する情報を収集するため、公正取引委員会と合同で中小企業・小規模事業者全体に対して大規模な書面調査を実施するなど、転嫁拒否行為等の監視・取締りを行った。(継続)

第4節 消費税軽減税率対策

1.中小の小売事業者等に対するレジの導入・システム改修等支援【平成30年度補正予算:560.6億円】

消費税軽減税率制度の実施に向け、事業者の準備が円滑に進むように支援を行った。具体的には、中小企業・小規模事業者等に対して、〔1〕複数税率に対応したレジの導入等の支援、〔2〕複数税率に対応するための電子的な受発注システムの改修等の支援、〔3〕区分記載請求書等保存方式に対応するための請求書管理システムの導入等の支援を行った。(継続)

2.消費税軽減税率対応窓口相談等事業【平成30年度当初予算:19.4億円、平成30年度補正予算:49.4億円】

消費税軽減税率制度を円滑に実施するため、中小企業団体等と連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や巡回指導型専門家派遣を通じたきめ細かいサポート、パンフレット等による周知等を行った。また、消費税転嫁対策窓口相談等も併せて実施した。(継続)

第5節 資金繰り支援、事業再生支援

1.セーフティネット貸付【財政投融資】

日本政策金融公庫が、社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化を来たしている中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援。平成30年度の貸付実績は、約2万2千件、約5,100億円となった(平成30年12月末時点)。(継続)

2.(再掲)小規模事業者経営改善資金融資事業【財政投融資】

3.(再掲)小規模事業者経営発達支援融資事業【財政投融資】

4.資本性劣後ローンの推進【財政投融資】

日本政策金融公庫が、新事業展開や経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者に対し、財務体質を強化するとともに、民間金融機関からの資金調達を円滑に図るため、金融検査上自己資本とみなし得る一括償還の資金(資本性資金)を供給することで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援。平成30年度の貸付実績は、約770件、約420億円となった(平成30年12月末時点)。(継続)

5.中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】

事業の持続的発展に取り組む小規模事業者を支援するため、経営発達支援計画の認定を受けた商工会・商工会議所による経営指導を受ける小規模事業者に対し、日本公庫が低利で融資を行った。(平成30年度の実績は、33件、5.4億円(平成30年12月末)。)(継続)

6.借換保証の推進

信用保証協会が、複数の借入債務を一本化し、足元の返済負担の軽減を図るための借換保証を推進。平成30年度(平成30年12月末まで)の保証承諾実績は、127,310件、約2兆3,944億円となった。

また、経営者に事業改善の意欲があるにもかかわらず、返済条件の緩和実施による前向きな金融支援を受けることが困難な中小企業・小規模事業者を支援するため、平成28年に条件変更改善型借換保証を創設。平成30年度(平成30年12月末まで)の保証承諾実績は、260件、約88億円となった。(継続)

7.セーフティネット保証

取引先の倒産、自然災害、取引金融機関の経営合理化等により経営の安定に支障を生じている中小企業・小規模事業者に信用保証協会が通常の保証枠とは別枠での保証を実施した(保証割合80%または100%。保証限度額は無担保8,000万円、最大2億8,000万円。)。

平成30年度は、平成30年7月豪雨(4号)、平成30年北海道胆振地方中東部地震(4号)、平成30年台風21号等(4号)等により発動されている。

また、セーフティネット保証5号は、引き続き最近3カ月間の月平均売上高等が前年同期比で一定割合以上減少等の基準を満たす業種を指定した。

平成30年度(平成30年12月末まで)のセーフティネット保証全体の保証承諾実績は、6,137件、約1,623億円となった。(継続)

8.信用保証協会による経営支援事業

信用保証協会の利用者又は利用予定している創業(予定)者、経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者に加えて、平成29年度より事業承継を予定している場合や生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者についても新たに支援の対象として追加。これらの中小企業・小規模事業者に対して、信用保証協会が地域金融機関と連携して、専門家派遣をはじめとした経営支援を実施し、資金繰り支援と一体となった支援を実施した。平成30年度(平成30年12月末まで)は、約15,200回の専門家派遣を実施している。(継続)

9.(再掲)認定支援機関による経営改善計画策定支援事業

10.中小企業再生支援協議会【平成30年度当初予算:68.8億円の内数】

各都道府県の商工会議所等に設置した中小企業再生支援協議会において、事業の収益性はあるが、債務超過等の財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者に対し、窓口相談による課題解決に向けたアドバイスや、関係金融機関等との調整も含めた再生計画の策定支援を行った。平成30年4月から12月末までの実績は、相談件数1,454件、再生計画の策定完了件数542件となり、制度発足時から平成30年12月末までの実績は、相談件数41,701件、再生計画の策定完了件数13,682件となった。(継続)

11.中小企業再生ファンド

事業再生に取組む中小企業への経営支援や資金供給等を実施するため、(独)中小企業基盤整備機構と地域金融機関、信用保証協会等が一体となって、中小企業の再生を地域内で支援する地域型ファンドや広域的に支援する全国型ファンドの組成・活用を促進する取組みを行った。平成30年12月末までに58件のファンドが創設され、ファンドの総額は約1,847億円に上った。また、当該再生ファンドによる投資実績は平成30年12月末までに526社、約1,066億円に上った。(継続)

12.「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進等【平成30年度当初予算:1.0億円】

平成25年12月5日に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進を図るため、平成25年度に中小機構地域本部等に設置した相談窓口と、ガイドラインの利用を希望する方への専門家派遣窓口について、引続き実施した。また、平成25年度に拡充・創設した公的金融機関における経営者保証によらない融資・保証制度について、引続き実施した。加えて、中小企業・小規模事業者等に対してWEBバーナー広告や政府広報等により「経営者保証に関するガイドライン」の広報を行った。(継続)

13.金融行政における中小企業・小規模事業者に対する経営支援の強化等

金融機関に対し、担保・保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適切に評価(事業性評価)することを通じて、企業に有益なアドバイスとファイナンスを行うよう促した。(継続)

14.沖縄の中小企業金融対策【財政投融資】【平成30年度当初予算:710.0億円の内数】

沖縄振興開発金融公庫を活用した沖縄の中小企業対策は、日本公庫が行う業務・取組について、同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度の拡充を実施した。(継続)

第6節 創業支援

1.創業支援事業者支援事業【平成30年度当初予算:6.3億円の内数】

産業競争力強化法における認定連携創業支援等事業者が認定創業支援等事業計画に基づき行う特定創業支援等事業(創業スクールの開催、個別相談窓口の設置等)・創業機運醸成事業(起業家教育・ビジネスプランコンテストの開催等)の取組を支援した。(新規)

2.新事業創出支援事業

中小企業基盤整備機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業等経営強化法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。(継続)

3.新創業融資制度

日本政策金融公庫が、新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で融資を実施した。(継続)

4.女性、若者/シニア起業家支援資金

女性や35歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に日本政策金融公庫が優遇金利を適用し、多様な事業者による新規事業の創出を支援した。(継続)

5.再挑戦資金(再チャレンジ支援融資)

日本政策金融公庫が、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。(継続)

6.創業者向け保証

民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度を実施した。(継続)

7.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)【平成30年度当初予算:中小機構交付金の内数】

民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小企業基盤整備機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図った。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数111件、出資約束総額2,610億円、累積投資先企業数2,972社に至った(平成30年12月末時点)。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数107件、出資約束総額7,357億円、累積投資先企業数1,493社に至った(平成30年12月末時点)。(継続)

8.グローバル・ベンチャー・エコシステム連携強化事業【平成30年度当初予算:3.1億円】

起業家や、大企業等で新事業開拓を担う社内起業家の候補等を、世界をリードするイノベーション先端地域であるシリコンバレー等に派遣して、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業目線の高い新事業を創出する人材の育成や現地関係者とのネットワーク形成等を図った。

また、起業家やベンチャー支援人材、大企業等からなる「オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会」において、ビジネスマッチングの開催や広範なネットワーク形成の場を提供し、新事業創出のための基盤形成を図った。(継続)

9.潜在的創業者掘り起こし事業【平成30年度当初予算:6.3億円の内数】

国で一定水準のカリキュラムを実施する創業スクールを公認し、創業者の基礎的な知識習得を支援した。加えて、潜在的創業者の掘り起こし等に繋げるとともに、将来の地域の創業者を日本全国で増やす観点から、全国的なビジネスプランコンテストを開催した。(新規)

10.エンジェル税制【税制】

創業間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、引き続き、本税制の普及啓発を実施し、起業促進に向けた環境整備を図った。(継続)

11.企業のベンチャー投資促進税制【税制】

企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の5割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。平成25年度の制度創設から平成30年12月までに、10件のベンチャーファンドに係る投資計画を認定した。(継続)

12.経営革新支援事業

中小企業等経営強化法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援した。(平成30年1月~9月における新規計画承認件数:4,966件)(継続)

13.地域における創業支援体制の構築

地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援等事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の拡充、税制(登録免許税半減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行った。(継続)

14.(再掲)ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【平成30年度当初予算:14.5億円】

15.女性起業家等支援ネットワーク構築事業【平成30年度当初予算:2.1億円の内数】

女性の起業を支援するため、平成28年度から整備している全国10箇所に形成した地域の金融機関や産業・創業支援機関等を中心とした女性起業家等支援ネットワークを通じて、女性起業家支援コンテストによる支援事例の発信や潜在起業希望者等に向けた起業の普及に関するイベント等を行った。(継続)

16.生涯現役起業支援助成金【平成30年度当初予算:0.8億円】

40歳以上の中高年齢者の雇用機会の創出を図り、生涯現役社会の実現を推進するため、40歳以上の中高年齢者が起業を行い、事業運営のための従業員を雇い入れる際に必要となる、募集・採用や教育訓練にかかる経費の一部を助成するとともに、起業後一定期間経過後に生産性向上が図れた場合に上乗せの助成金を別途支給する制度改正を実施した。(※平成31年度から、事業名が「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」となる。)(継続)

17.地域創造的起業補助金【平成30年度当初予算:6.3億円の内数】

地域で新需要を創造する新商品・サービスを提供する創業者の創業費用を支援する。平成29年度より、事業実施期間中に1人以上の雇用を要件とし、民間金融機関からの外部資金の活用が見込まれ、経営安定化のために継続して第三者からの支援が期待できる事業に対して重点的に支援を行った。(新規)

18.中小企業・小規模事業者経営力強化融資

日本政策金融公庫が、認定経営革新等支援機関による指導及び助言を通じ経営革新又は異分野の中小企業と連携して新分野の開拓等を行う中小企業の経営力や資金調達力の強化を支援するため、必要な資金の貸付を行った。(継続)

第7節 経営安定対策、災害対応力の強化

1.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【平成30年度当初予算:中小機構交付金の内数】

中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権の回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度である。

平成30年12月末現在で47.9万社が在籍しており、平成30年4月から平成30年12月末までの新規加入者、新規貸付金額はそれぞれ、4.0万社、37.0億円に上った。

また、平成30年9月より、共済事由に電子債権記録機関による取引停止に係る事由を追加し、中小企業のセーフティネットを整備した。(継続)

2.経営安定特別相談事業

経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に「経営安定特別相談室」が設置されている。本相談室において経営安定に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等を支援した。(継続)

3.中小企業BCP(事業継続計画)普及の促進【財政投融資、平成30年度補正予算:15億円の内数】

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の取組事例や早期復旧事例などを広く紹介するとともに、サプライチェーンに位置づけられる中小企業等のBCPの策定を支援し、そうした取組を横展開することによって、中小企業の防災意識の啓発、強靱化に向けた取組を促進した。また、中小企業・小規模事業者自らが策定したBCPに基づき防災施設等の整備を行う者に対して、日本政策金融公庫において融資を実施した。(継続)

4.中小企業・小規模事業者自家用発電設備等利用促進対策事【平成30年度補正予算:58億円の内数】

大規模災害時等に系統電力や都市ガスの供給が途絶した際に、生活必需品の供給やサプライチェーン維持等のために重要な中小企業・小規模事業者の事業の中断を未然に阻止する体制を確保するため、石油製品等を用いる自家発電設備等の設置に要する経費に対して、当該経費の一部を助成する事業に要する経費を補助した。(新規)

5.ダンピング輸入品による被害の救済【平成30年度当初予算:1.0億円】

貿易救済措置のうちAD措置は、他国企業から我が国に対するダンピング輸入により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請に基づき政府が調査を実施した上で関税を賦課することにより、公正な市場競争環境を確保する措置である。平成29年3月に開始した韓国・中国産炭素鋼製突合せ溶接式継手に対するAD調査について、平成30年3月に調査を終了し、AD措置の発動を行った。また、平成30年4月に開始した中国産電解二酸化マンガンに対するAD再延長調査について、平成31年3月に調査を終了し、AD措置の再延長を行った。なお、企業等への説明会やWTO協定整合的に調査を行うための調査研究を実施した。(継続)

第8節 財務基盤の強化

1.法人税の軽減税率【税制】

中小企業の年間800万円以下の所得金額に対する法人税率を、19%から15%に引き下げる措置。(継続)

2.中小企業投資促進税制【税制】

機械装置等を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置。(継続)

3.少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度【税制】

取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間300万円を限度に、全額損金算入することができる措置(従業員1,000人超の法人を除く)。平成30年度税制改正において、適用期限を2年延長することとされた。(継続)

4.欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】

欠損金の繰越控除は、当期の事業年度に生じた欠損金を繰り越して翌期以降の事業年度(繰越期間:9年間(平成30年度からは10年))の所得金額から控除することができる措置。また、欠損金の繰戻還付は、当期の事業年度に生じた欠損金を1年繰戻して法人税の還付を請求することができる措置。平成30年度税制改正において、欠損金の繰戻還付については、適用期限を2年延長することとされた。(継続)

5.商業・サービス業・農林水産業活性化税制【税制】

商業・サービス業等を営む中小企業が商工会議所等の経営改善指導に基づき設備を取得した場合、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置。(継続)

6.交際費等の損金不算入の特例【税制】

交際費等を支出した場合、〔1〕定額控除限度額(800万円)までの損金算入または〔2〕支出した接待飲食費の50%までの損金算入をのいずれかを選択適用できる措置。平成30年度税制改正において、適用期限を2年延長することとされた。(継続)

7.中小企業投資育成株式会社による支援

中小企業投資育成株式会社において、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施した。(継続)

第9節 人権啓発の推進

1.人権啓発【平成30年度当初予算:1.9億円】

健全な経済活動の振興を促進するため、事業者を対象とした人権啓発のためのセミナー等の啓発事業を実施した。また、小規模事業者等が多く、特に重点的な支援が必要な地域又は業種に係る小規模事業者等の活性化のため、経営等の巡回相談事業及び研修事業を実施した。(継続)

第10節 経営支援体制の強化

1.中小企業連携組織支援対策推進事業【平成30年度当初予算:6.6億円】

中小企業組合を支援する専門機関の全国中小企業団体中央会を通じて、経営革新・改善に取り組む中小企業組合等に対して、その実現化に向けた取組を支援した。さらに、外国人技能実習生受入事業を行う中小企業組合(監理団体)等の事業が適正に行われるように支援を行った。(継続)

2.中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【平成30年度当初予算:50.2億円】

中小企業・小規模事業者等が抱える様々な経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置し、一歩踏み込んだ専門的な助言を行うとともに、特に高度・専門的な経営課題に対応するために専門家派遣を実施した。(継続)

3.ローカルベンチマークの活用促進

「サービス等生産性向上IT導入支援事業」において、IT導入補助金申請前にローカルベンチマークを活用し、自社の経営状態の把握を行うことを可能とした。また、活用人材育成の観点から、商工団体で企業の経営者自身がローカルベンチマークを活用するセミナーを実施したほか、活用事例集の取りまとめや活用方法に関する動画の作成を行った。「ローカルベンチマーク活用戦略会議」においては、ローカルベンチマークを活用し資金調達に結び付いた事例や各支援機関の取り組み等を共有したほか、「ローカルベンチマーク活用行動計画2018」を取りまとめた。(継続)

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