第3部 中小企業・小規模企業経営者に期待される自己変革

2 我が国における自然災害の発生状況

次に、我が国における自然災害の発生状況などについて確認する。我が国における自然災害による被害の内訳を見ると、発生件数は「台風」が57.1%と最も多く、次いで「地震」、「洪水」が多い(第3-2-3図)。他方、被害額は、一たび発生すれば広域に甚大な被害をもたらす「地震」が8割超を占めており、次いで「台風」、「洪水」の順となっている。

第3-2-3図 我が国における自然災害の発生件数及び被害額の災害別割合
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第3-2-4図は、我が国における自然災害の発生件数と被害額の推移を示している。これを見ると、自然災害の発生件数が変動を伴いながら増加傾向にあり、阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)の発生時には大規模な被害を記録している。

第3-2-4図 我が国の自然災害発生件数及び被害額の推移
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中でも、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)では、豪雨災害としては初めて中小企業被害が激甚災害1(本激)として指定されるなど、広範囲に大きな被害をもたらした。第3-2-5図によれば、こうした被害をもたらす大雨について、1時間降水量50mmを上回る大雨の発生件数が、この30年間で1.4倍に増加していることが分かる。今後も気候変動の影響により、水害が頻発することが懸念される。

1 「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(昭和37年法律第150号)に基づき、国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成措置を行うことが特に必要と認められる災害が発生した場合に、政府は、政令でその災害を「激甚災害」として指定するとともに、当該激甚災害に対し適用すべき措置を併せて指定することとしている。激甚災害に指定されると、地方公共団体の行う災害復旧事業等への国庫補助の嵩上げや中小企業者への保証の特例等、特別の財政助成措置が講じられる。なお、激甚災害の指定は、中央防災会議が定めている、「激甚災害指定基準」(本激の基準)及び「局地激甚災害指定基準」(局激の基準)による。

第3-2-5図 1時間降水量50mm以上の年間発生回数(アメダス1,000地点あたり)

第3-2-6図は、1995年から2017年にかけて災害救助法2が適用された都道府県及びその回数を示したものである。ほとんどの都道府県において災害救助法が適用されており、大きな自然災害は、地域によらず各地で発生する可能性のあることが示唆されている。

2 災害救助法の適用要件
救助法の適用については、〔1〕災害によって市町村等の人口に応じた一定数以上の住家の滅失(全壊)がある場合、〔2〕多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合であって、避難して継続的に救助を必要とする場合等、〔1〕〔2〕いずれかの場合であり、近年の災害においては、主に〔2〕の理由による適用のケースが多い。なお、同法の適用については都道府県知事が判断し、決定することとなっている。

第3-2-6図 災害救助法の適用実績(1995年~2017年)

我が国はその地形、地質、気候などの自然条件から、自然災害の発生リスクが高い。また、自然災害は全国各地で発生しており、各地の中小企業にとっては、決して「他人事」ではない。各々の事業者は自らの立地地域における自然災害のリスクを認識し、「自分事」として災害への備えを考えていく必要がある。

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