第2章 防災・減災対策
前章では、中小企業の事業環境の変化について分析をするとともに、それに対応するための自己変革や、周囲の関係者(ステークホルダー)の役割について議論した。そうした取組の中で重要なものの一つに、防災・減災対策が挙げられる。改めて言うまでもなく、我が国は自然災害が多く、2018年は大阪府北部地震、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、台風第19~21号、北海道胆振東部地震など、地域の中小企業・小規模事業者に大きな影響を与える大規模な災害が続けて発生した(第3-2-1図)。こうした事業環境の変化に対応すべく、中小企業は自ら自然災害への事前対策に取り組み、周囲の関係者を巻き込んで、事業を継続するための体制を構築する必要がある。

また、首都直下地震や南海トラフ地震の発生が想定されることに加えて、近年は水害の発生リスクも上昇している。大規模災害は、中小企業の事業継続に大きな影響を及ぼし、そうした影響を小さくするには、自然災害に対する事前の備えが重要である。
第3部第2章では、我が国の自然災害の発生状況や中小企業への影響を概観するとともに、中小企業における自然災害に対する備えの状況などについて分析していく。
第1節 中小企業に対する自然災害の影響
1 世界における我が国での自然災害の被害額
はじめに、世界における我が国での自然災害の被害額について確認する。第3-2-2図は、世界における1985年から2018年までの自然災害による累積被害額構成を示している。これを見ると、我が国における自然災害による被害額の割合は世界全体の14.3%と高い水準にあることが分かる。

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