第2部 経営者の世代交代

第4節 まとめ

本章では、「次世代の経営者」に着目し、その実態と課題について分析を行ってきた。

第1節では、我が国の経営者参入について、起業・事業承継の両方の観点から概観した。起業・事業承継ともに、若い年代が経営者に参入する割合が増えていることなどを明らかにした。また、起業意識について国際比較をしていく中で、我が国では自身の能力などで起業ができるかどうか見極める機会が、起業に関心を持つきっかけになりやすいことも明らかになった。

第2節では、経営者に至るまでの実態と課題について見てきた。起業家教育や継ぐ可能性のある事業での従事経験などを通して、時間をかけて経営者になるための準備を行うことの重要性、そして既存の経営資源を有効活用することで、起業後、事業承継後の事業の成長につなげられる可能性などが示された。

第3節では、起業後の売上高の成長及び雇用の拡大の実態と課題について、地域別の観点も交えながら見てきた。売上高の成長や雇用の拡大のためには、地域への愛着や地域内での人脈も影響している可能性があることが分かった。

経営者の高齢化が進み、経営の担い手の数が減少する中でも、ポスト「平成」に向けた世代交代は着実に進んでいる。時代が変化する中で、一から新しい事業を作り上げる経営者と、引退した経営者の思いや有効活用できる経営資源を引き継いで成長を目指す経営者の双方が、今後の我が国経済を牽引していくことを期待して、本章の結びとしたい。

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