令和7年度における取適法およびフリーランス法に基づく取組
2026年6月10日
令和7年度における取適法(注1)(※)およびフリーランス法(注2)の運用状況について取りまとめました。
中小受託事業者または特定受託事業者の利益の保護および取引の適正化を図るため、公正取引委員会を始めとする関係機関との連携を引き続き強化するとともに、各々の法執行にあたっては厳正に対処してまいります。
(注1)取適法:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(略称「中小受託取引適正化法」)の通称
(注2)フリーランス法:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(略称「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)の通称
- 令和7年12月31日までは、改正法による改正前の下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)に基づく取組、令和8年1月1日以降は取適法に基づく取組であるが、本公表文においては下請法上の用語により記載することが適当である場合を除いて、一律に取適法に基づく取組として記載している。
第1 令和7年度における取適法に基づく取組
1.中小受託事業者等に対する定期調査の状況
(1)定期調査の状況と委託事業者に対する注意喚起
取適法執行の一環として、一般的にその取引の性格から自発的に違反行為を申告しにくいとされる中小受託事業者に対しプッシュ型で状況を把握したり、同法の違反行為が認められた委託事業者に対し違反行為の是正を求めたりするため、委託事業者及び中小受託事業者を対象に定期的なオンライン調査を実施している。
令和7年度は、中小企業庁では、委託事業者5.5万者、当該委託事業者と取引を行う中小受託事業者24万者に対して同調査を実施した。その結果、委託事業者に対する調査において、下請法違反(当時)のおそれのある8,007者に対して、是正等を求める注意喚起文書を発出した。
(2)取適法の施行に向けた注意喚起
「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(令和7年法律第41号)」により、下請代金支払遅延等防止法が改正され、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)として、令和8年1月1日から施行・適用となった。
中小企業庁は、取適法施行前に実施した定期調査において、振込手数料の負担や手形払いの禁止等の取適法施行後に違反となるおそれのある回答を行った事業者4,385者に対し、注意喚起文書の発出を行った。
2.立入検査等による違反行為の確認と改善指導の状況
(1)立入検査等の実施と改善指導
中小企業庁は、中小受託事業者等に対する定期調査や、中小受託事業者からの申告または聴取など様々な端緒情報を踏まえ、取適法違反の可能性がある委託事業者に対し立入検査等を実施している。令和7年度は、725者の委託事業者への立入検査等を行った結果、1,454件の違反行為を確認し、619者に対して改善指導を実施したほか、9者に対しては公正取引委員会に対する措置請求を行った。(措置請求を行った9者については、公正取引委員会からの「勧告」に基づき指導がなされている。)
特に近年は端緒情報の中でも中小受託事業者の声を重視するようにしてきており、確度の高い情報を積極的に活用することにより、立入検査等の数は前年同程度であるものの、発見した違反行為の件数(特に禁止行為違反の件数)は増えている。
(表)端緒別立入検査等の数の推移
| 端緒別立入検査等の数 | 立入検査等合計 | 改善指導実施者数 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 定期調査 | 申告 | 聴取 | 情報提供等 | |||
| 令和5年度 | 712 | 12 | 26 | 20 | 770 | 641 |
| 令和6年度 | 665 | 15 | 23 | 17 | 720 | 580 |
| 令和7年度 | 615 | 29 | 36 | 45 | 725 | 619 |
(※1)1つの案件について、立入検査等の実施と改善指導の実施が異なる年度になる場合がある。
(※2)集計の考え方を見直したため、昨年度の公表数値とは異なる場合がある。
(※3)聴取とは取引Gメン等による中小受託事業者に対するヒアリングのことをいう。
(※4)1つの案件について、1つの主な端緒をカウントしている。
(2)改善指導を行った違反行為の内訳
令和7年度においては、禁止行為の違反として支払遅延が276件、製造委託等代金の減額が142件、買いたたきが129件、不当な経済上の利益の提供要請が120件認められ、改善指導の対象となった。特に不当な経済上の利益の提供要請では金型等の無償保管に関する違反行為の指摘が大幅に増えている。また、支払遅延と割引困難手形の改善指導件数も増えているが、令和6年11月に公正取引委員会の指導基準が変更され、手形等のサイトが業種を問わず60日に短縮されたことが影響しているものと考えられる。
(表)改善指導が行われた違反行為内訳
| 改善指導が行われた違反行為の内訳件数 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | ||
| 禁止行為+義務違反合計 | 1,302 | 1,182 | 1,454 | |
| 禁止行為違反合計 | 583 | 492 | 716 | |
| 受領拒否 | 1 | 0 | 2 | |
| 支払遅延 | 218 | 187 | 276 | |
| 代金減額 | 232 | 137 | 142 | |
| 返品 | 0 | 0 | 9 | |
| 買いたたき | 76 | 105 | 129 | |
| 購入・利用の強制 | 2 | 3 | 3 | |
| 報復措置 | 0 | 0 | 0 | |
| 有償材の早期決済 | 11 | 9 | 13 | |
| 割引困難手形 | 16 | 18 | 21 | |
| 利益提供要請 (うち型等無償保管) |
24 (22) |
32 (28) |
120 (109) |
|
| 変更やり直し | 3 | 1 | 1 | |
| 一方的代金決定 | - | - | 0 | |
| 義務手続違反合計 | 719 | 690 | 738 | |
| 書面不備・不交付 | 582 | 539 | 556 | |
| 書類不保存 | 137 | 151 | 182 | |
(※1)取適法違反のおそれのある改善指導件数も含む。
(※2)1つの事件において複数の違反行為類型の改善指導を行っている場合があるため、「(表)端緒別立入検査等の数の推移」の「改善指導実施者数」とは一致しない。
(※3)集計の考え方を見直したため、昨年度の公表数値とは異なる場合がある。
(3)特定の業種・業界における下請法違反(当時)被疑行為の集中的な調査
中小企業庁及び公正取引委員会は、特定の業種・業界における取適法違反被疑行為について集中的に調査を行い、取適法に違反する又は違反するおそれのある行為が認められた事業者に対して、迅速に指導等を行う新たな取組を実施している。令和7年度は、①自動車ディーラー及び車体整備事業者間の取引及び②運送事業者間の取引について集中調査を実施した。
それぞれ、取引Gメンによる中小受託事業者に対するヒアリングを行うとともに、委託事業者に対して、公正取引委員会と合わせて①160件、②530件の指導を行った。
(4)取適法に基づく勧告を受けた業界団体に対する要請について
中小企業庁及び公正取引委員会は、取適法に基づく勧告を公表する際などに、業界における取引適正化の一層の推進と取適法違反行為の未然防止を徹底するよう業界団体に対して要請を行い、取引慣行の是正を図っている。
令和7年度においては、(一社)日本自動車工業会等の業界団体に対し、3回の要請を行った。
3.措置請求の状況
中小企業庁は、取適法第5条(禁止行為)に違反する事実があるかどうかを調査し、その事実があると認める時に、公正取引委員会に対し、取適法の規定に従い適当な措置を採ることを求める措置請求権限を有しており(取適法第9条)、公正取引委員会は、取適法に基づく勧告権限を有している(同第10条)。
中小企業庁及び各経済産業局が、取適法違反の疑いのある委託事業者に対して立入検査等を行い、違反の事実があるとして令和7年度に中小企業庁が公正取引委員会に措置請求を行った件数は、過去最多の9件となった。これは中小企業庁として、中小受託事業者の利益を保護するために社会的影響の大きな事案に対しては積極的に措置請求を行うという方針の下、中小受託事業者からの申告はもとより中小受託事業者に対する定期調査の回答や取引Gメン等が聴取した中小受託事業者の声を積極的に活用するとともに、公正取引委員会と中小企業庁が緊密に連携をとりながら、初めての勧告事案となるような内容の案件にも果敢に取り組んだ結果である。
具体的には、印版を無償で保管させたことに対して勧告された初めての事例や、量産期間が終了し発注数量が大幅に減少しているにもかかわらず、単価を見直すことなく、一方的に量産時の大量発注を前提とした単価で代金の額を定めたことについて、買いたたきとして勧告された初めての事例があった。
4.改善報告における製造委託等代金の返還等
(1)立入検査等の結果としての原状回復
委託事業者に改善指導を行った場合、そのフォローアップとして中小企業庁長官あての改善報告書を提出させている。令和7年度中に600者の委託事業者から改善報告がなされた(令和7年度以前の改善指導案件によるものも含む)。
このうち259者が、中小受託事業者6,912者に対して、減額した製造委託等代金の返還や支払遅延にかかる遅延利息の支払など、総額約2億3,300万円の原状回復を行った。このほか9件の措置請求案件は、公正取引委員会から勧告が行われており、中小受託事業者241名に対して約2億200万円が原状回復された。
(表)製造委託等代金の返還等の推移
| 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | |
|---|---|---|---|
| 改善報告を提出した委託事業者数 | 632 | 594 | 600 |
| 原状回復額(百万円) | 106 | 157 | 233 |
| 原状回復を行った委託事業者数 | 243 | 201 | 259 |
| 原状回復を受けた中小受託事業者数 | 5,168 | 4,886 | 6,912 |
(※)集計の考え方を見直したため、昨年度の公表数値とは異なる場合がある。
(2)自発的申出の結果としての原状回復
取適法違反行為を行っていた委託事業者が中小企業庁に対して自発的に違反行為を申し出た場合には、委託事業者の自発的な改善措置が、中小受託事業者が受けた不利益の早期回復に資すること及び委託事業者の法令遵守を促す観点から、中小企業庁は申出があった事案について、公正取引委員会に対して措置請求を求める必要はないものとして取り扱うこととし、この旨を公表している。
令和7年度は、委託事業者から取適法違反行為の自発的な申出が39件あり、27件の処理を行った。その結果、中小受託事業者791者に対し、製造委託等代金の減額分の返還等、総額約5億3,800万円の原状回復が行われた。このうち、措置請求(勧告)相当事案は9件あり、下請事業者718者に対し、総額約5億3,000万円の原状回復が行われた。
(表)自発的申出件数と原状回復額の推移
| 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | |
|---|---|---|---|
| 新規に受けた自発的申出(件) | 14 | 16 | 39 |
| 処理件数(前年度に受けたものも含む) | 13 | 3 | 27 |
| 自発的申出による原状回復額(百万円) | 18 | 0.4 | 538 |
| 原状回復を受けた中小受託事業者数 | 801 | 1 | 791 |
(※1)1つの案件について、新規受付と処理が異なる年度になる場合がある。
(※2)集計の考え方を見直したため、昨年度の公表数値とは異なる場合がある。
第2 フリーランス・事業者間取引適正化法第2章の処理状況について
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号。通称「フリーランス・事業者間取引適正化等法」。以下「法」という。)は、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備等を目的として、令和5年4月28日に成立し、令和6年11月1日に施行された。
中小企業庁は、書面調査(※1)などを通じて、法に違反する疑いのある行為の発見に努め、違反行為が認められた業務委託事業者に対しては、法に基づき迅速かつ適切に対処することとしている。
中小企業庁におけるフリーランスに係る取引の適正化に向けた取組(法第2章の処理状況)は、以下のとおりである。
(※1) 公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省が共同し、法の規定に基づきフリーランスとの取引に関する調査(書面調査)を3万名の発注事業者に対して実施。
(件数)
| 令和6年度 | 令和7年度 | |
|---|---|---|
| 申出(法第6条)(※2) | 57 | 430 |
| 立入検査(法第11条第1項) | 1 | 119(※3) |
(※2)特定受託事業者は法に基づき、法に違反する事実がある場合は、公正取引委員会又は中小企業行に適切な措置をとるべきことを申し出ることができる。なお、件数については、中小企業庁で受理したもののみを計上。以下同じ。
(※3)書面調査の結果に基づき、事業者に対して行った立入検査の件数を含む。
(件数)
| 業務委託事業者(発注事業者)に対する指導(法第22条)等(※4) | 1,191 | 1,227 | ||
| 内訳 | ||||
| 取引条件の明示義務(法第3条) | 4,004 | 4,302 | ||
| 支払期日等(法第4条) | 442 | 434 | ||
| 遵守事項(法第5条) | 受領拒否(第1項第1号) | 5 | 0 | |
| 減額(第1項第2号) | 140 | 250 | ||
| 返品(第1項第3号) | 0 | 0 | ||
| 買いたたき(第1項第4号) | 167 | 114 | ||
| 購入利用強制(第1項5号) | 7 | 8 | ||
| 不当な経済上の利益提供要請(第2項第1号) | 25 | 40 | ||
| 不当な給付内容の変更・やり直し(第2項第2号) | 34 | 49 | ||
(※4)令和7年度は申出に基づく指導の他、書面調査の結果に基づき、事業者に対して行った注意喚起の件数を含む(令和6年度は注意喚起のみを実施)。
(件数)
| 業務委託事業者(発注事業者)に対する助言(法第22条) | 7(※5) | 68 |
(※5) 令和6年11月1日から令和7年5月31日までに実施した助言の件数(令和7年6月20日中小企業庁公表「(お知らせ)フリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の処理状況について」参照)
本発表のお問い合わせ先
中小企業庁事業環境部取引課長 小高
- (取適法)
担当者: 久田、山田
電話:03-3501-1511(内線 5293) - (フリーランス法)
担当者: 塚本、鈴木、栁橋
電話:03-3501-1511(内線 5291~2)