01 青森県の企業を徹底支援!
経営体力に不安を感じたら、経営再建に向けて相談を
左から、南山泰政社長、柿崎貞二統括責任者
青森県
株式会社南山デイリーサービス様
青森県中小企業活性化協議会は、産業競争力強化法第134条に基づき認定を受けた公益財団法人21あおもり産業総合支援センター内に設置されている公的機関です。企業再生に関して専門的な知識を有する常駐専門家が、幅広い相談に応じています。
実際に中小企業活性化協議会を利用した経験のある南山デイリーサービス代表取締役 南山泰政さん(八戸市)と青森県中小企業活性化協議会の統括責任者・柿崎貞二さんが同協議会による経営改善支援と、そのメリットについて語り合いました。
01 相談のきっかけは市場環境の変化に伴う資金繰り
面談をして協議会への印象が変わったと話す南山泰政社長
柿崎:まずは南山デイリーサービス様の沿革についてご説明ください。
南山:当社は1960年4月に私の父がアイスクリームの卸売業・南山商店として八戸市で創業し、私が89年に事業承継しました。94年から乳製品の宅配事業を始め、現在は乳製品の卸販売と宅配事業を手掛けています。2003年には業容拡大に伴い有限会社に法人化して社名を改称、14年には株式会社へと組織変更しています。パートとアルバイトを含めた従業員数は約80人。青森県内では本社所在地の八戸市に加えて青森市・十和田市・三沢市に、県外では盛岡市と秋田市の計6市に営業所を構えており、顧客からは日中の対面配達を生かした触れ合いや、きめ細かなサービスなどが好評を得ています。
柿崎:ご相談のきっかけは。
南山:アイスクリーム事業は市場環境の変化に伴い、次第に利益が上がらず赤字がかさむようになったことから、90年代には乳製品の宅配事業に大きくシフトし、00年には十和田市に、05年には三沢市に出店するなど規模を広げていきました。業績は若干改善傾向にあったものの累積赤字の解消には至らず、過剰債務が重荷となり資金繰りが厳しくなりました。
そこで12年に顧問の会計事務所に相談したところ、経営改善を支援する公的機関として青森県中小企業活性化協議会を紹介されました。
柿崎:活性化協議会の印象についてお話しください。
南山:当時は協議会の存在を知らなかったことや、頭の中が資金繰りでいっぱいだったこと、自分なりに一生懸命動いてきたのにうまくいかなかったことから、正直なところ「これ以上うまくいくのだろうか」と半信半疑でした。相談を申し込む段階では、私はネガティブな発想の塊だったと記憶しています。
しかし、今回の対談相手でもある柿崎さんと初めて面談した時から、協議会への印象が変わってきたことは今でもはっきり覚えています。柿崎さんは聞き上手で人間味があり、まずは私の話を全て聞いてくれた上で当社の良い点や悪い点をはっきり伝えてくれました。当社の事業内容や財務状況などのデータに加え、私の父や金融機関との関係など、経営者としての私を全て受け止めてもらえたと感じ「経営再建に向けて一緒に一歩を踏み出してみたい」と思えるようになりました。
02 活性化協議会の支援内容
青森県中小企業再生支援協議会(現青森県中小企業活性化協議会)、中小企業再生支援全国本部(現中小企業活性化全国本部)などを経て2022年から現職の柿崎貞二統括責任者
柿崎:南山社長はとても誠実な方だと思いました。日中の対面配達を適じて顧客とコミュニケーションを取ることの社会的意義などをお話しいただき、ニーズが高くこれからも伸びていく事業だと感じました。また売り上げが増えており、利益もある程度確保できていたことから「事業再生支援」が適当と判断しました。
外部の中小企業診断士などによる事業調査や、公認会計士・税理士による財務調査を行い、返済額をキャッシュフローに合わせて適正化した上で収益重視に転換する再生計画を策定しました。アイスクリーム事業からの撤退に加え、社長が希望していた盛岡市への出店も盛り込みました。金融機関に対するリスケジュール(返済計画見直し)の合意形成なども行い、社長の悩みを一つ―つ解決できるよう心掛けました。
計画がスタートしてから3年閻フォローしましたが、社長自ら進行管理や業務改善に取り組まれた結果、計画を超える売上高や経常利益を上げていただけました。
柿崎:支援の後、経営状態はどのようになりましたか。
南山:現在は協議会への相談当時と比べて売上高が2割弱伸び、経常利益も新しい挑戦ができるまでに改善しています。
計画を実施して気付いたのは人材の重要性です。従業員に責任や権限を持たせることで仕事への満足度を高めながら売り上げを伸ばしたいと考え、全スタッフに企業理念や経営方針を伝える定期研修会を開いています。明確な経営意思や数値に基づく経営の重要性にも気づき、重点施策を各店責任者に理解してもらった上で、販売予算達成に向け毎月の進捗確認を徹底するようにしました。
また資金繰りの心配がリセットされたことから、いかに宅配事業を伸ばしてお客さまに喜ばれるサービスを徹底するかに集中できるようになりました。お客さまを見守る「お元気確認サービス」を16市町の地域包括支援センターと連携協定を結んで行っているほか、ミルクカルシウムとシールド乳酸菌を配合した健康志向の羊羹「3時のサプリ」を開発し、昨年11月から拡販中です。
柿崎:他の支援機関との違いは。
南山:当社は民間のコンサルティング会社などによる経営サポートを受けていないため相対比較はできませんが、当初は経営成績や財務諸表などの資料ベースだけで判断され、過剰債務の解消や収益力向上のため機械的に手続きを進められるのではないかと思っていました。実際には協議会には私の話をしっかり聞いていただき、当社のこれまでの経緯や事業内容を踏まえた上で、最良と思われる経営再建の手段について私自身が納得するまで説明していただきました。そして外部専門家を選定の上で再生計画の策定を進めていただいたことは、今振り返ると的確な支援だったと思います。
協議会が厳しい経営環境にある会社の再生に向かって真剣に取り組んでいただけるのは、それだけ多くの支援実績があり、長く経験を蓄積されているからではないでしょうか。
03 これから相談を受ける企業へのメッセージ
南山:当時の私にメッセージを送るなら「スピード感が大切」だと思います。アイスクリーム事業は祖業であり、資金が回っていたことから撤退の決断が遅れて赤字が膨らみ、より厳しい状況を招いてしまいました。経営者は孤独で相談相手がいないと感じがちですが、悩んでばかりではなく協議会のように一生懸命話を聞いてくれるところに相談し、速やかな決断と行動を取ることが大切だと思います。
柿崎:例え事業が回っていても、キャッシュフローより返済額が多いと資金がなくなっていきます。人の体で例えると「なんとなく調子が悪い」という段階でぜひお越しいただき、資金繰り悪化の原因を明確にして取り除くことが大切です。
対処が早いほど立ち直りが早く、金融機関にも重い負担をお願いせずに済みます。資金繰り以外の経営課題もぜひご相談いただければ秘密を厳守し、お悩み解決に向けたアドバイスや収益力改善・事業再生に向けた計画の策定を支援いたします。
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