東京都品川区 武蔵小山商店街
ポイントサービス事業で固定客大幅増
ポイントサービス事業を実施することで、イベント売上げに顕著な変化。今後はLANシステム活用へ。
事業実施の背景

武蔵小山商店街は東京都品川区にある買回り品を中心とした商店街で、大型店はなく、交通の要所でもなく、住宅地と商業地が混在している地域型商店街である。昭和22年に組合を設立し、31年に第1期アーケードを、37年に駐車場を設置した。来街者はこの頃より急速に増加していった。
しかし、2回に渡るオイルショックの頃から停滞ぎみの時期がしばらく続いた。そこで、昭和60年、アーケードと道路のリニューアルを契機として愛称の公募や、イタリアミラノの2つの商店街と友好関係を結んだほか、岩手県東山町等と文化交流提携をするなど、催事を次々に実施して、かつての賑わいを取り戻していった。
昭和27年にスタートしたクレジット事業は、同40年に磁気カードに移行、同60年にCTA端末を導入してオンライン化する一方、顧客に対しても劇場招待会など、様々なサービスを行ってきた。
特に平成元年より始めたクレジット会員に対するサービス事業は、当初の予想をはるかに上回る効果がみられ、クレジットの売り上げが20%も上がる実績があった。
しかし、現金で買い物をする顧客に対しては、中元と歳末の売り出しでの福引き抽選程度しかなく、あまり固定客へのサービスとは成り得なかった。
そこで、すべての顧客に満足してもらえるように満遍なくサービスをして固定客を増やしていく方法として、ポイントサービス事業を実施することとなった。
事業の概要

「ポイントサービス事業」
ポイントサービス事業の方法としては、100円お買い上げごとに1ポイントを付与し、500ポイントにより買い物券や各種イベント券、旅行券などと交換できることとした。
また、顧客への内容告知のため、常に3つのキャンペーンを展開して販促活動を行っている。
(1)「買物の前にカードを持って」
ワゴンによる新規会員募集キャンペーン
(2)「貯める楽しみ」
毎月ポイント2倍セールキャンペーン
(3)「使う楽しみ」
貯める楽しみだけではなく、ポイントを使っていただく楽しみとして、毎月2倍セールに合わせて「ポイント別先着プレゼント」や「500ポイントで抽選」のイベントを実施し、旅行やグルメへのペア招待などを基本に企画し、また抽選は500ポイントで最低500円の買い物券とした等価交換方式をとっている。
会員募集時に得た情報として会員の年齢、性別、地位別の購買顧客情報を分析し、セールのDM案内や購買層に合わせた景品設定などの販促活動を可能としている。
事業の効果
ポイントサービス事業の結果、固定客が大幅に増えただけではなく、導入前の1年余にわたり連続して減少を続けていたクレジットの売り上げが平成9年9月以降プラスに転じたほか、「貯める楽しみ」や「使う楽しみ」のイベント時の売り上げに顕著な変化が見られている。
ポイントサービスは買回り品商店街には向かないとされてきたが、商店街ではクレジットでの実績をふまえ、必ず受け入れられると確信のもと、実施当初から160店以上の参加店が協力した。また、顧客の70%を占める女性客にも好評であったものと思われる。
平成15年度、次世代カード端末システム導入に向けた検討会を重ね、翌年度、その結果を踏まえポイントカードシステムの大幅なリニューアルが行われた。これは、単なるシステムの切替ではなく、LANシステムを構築することで、顧客のみならず商店街会員の利便性の向上をも図り、商店街全体のイメージアップに大きく貢献することとなった。更に、平成17年度には、このLAN設備を活用して、万引きなどの犯罪を未然に防ぐ抑止効果を期待し防犯カメラ24台を設置しており、顧客が「安心」して買い物ができるよう安全な街づくりの促進への一助となっている。
ポイントサービス稼動状況(平成18年1月現在)
●発行数 81,677,066ポイント(総発行数 954,453,343ポイント)
●交換数 79,532,845ポイント(総発行数 663,171,282ポイント)
事業の課題
会員数30万人を目指しており、今後は、参加店の増加と「貯める楽しみ」や「使う楽しみ」の内容の充実を図ることが必要。また、平成16年度に敷設したLANについて、商店街事業への活用や地域ニーズへの応用が今後の大きな課題となっている。商店街では、今後も商店街の付加価値、存在意義を高めて地域コミュニティの核となるよう努力していきたいと考えている。