平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
後継者不足、来街者の高齢化…街の賑わいを取り戻すには
岩手県のほぼ中央に位置し、水や交通の便に恵まれた北上市は、東北有数の工業都市として発展してきた。中心市街地に位置する北上市本通り商店街もその賑わいの中心を担ってきたが、近年は幹線道路沿いに郊外型の大型・中型小売店が増加し、人口や商業機能が郊外に移動しつつあった。一方、商店街の構成店舗のうち半数以上が小売店だが、後継者不足の店が多く、空き店舗の増加が懸念されていた。また、既存客も高齢化しており、若年の新規客層を取り込むことができないでいた。
この状況を踏まえ、商店街では、商店街内の新規創業を支援するとともに、幅広い世代に商店街を活用してもらう必要があると考えた。
事業の展開と成果
様々な人材が商店街を活動の場として利用
まずは商店街に人を呼び込むため、商店街の空き店舗を利用した3つの交流事業を実施。「まちなかサロン」では、空き店舗を市内の高校の商業科の生徒に貸し出し、販売実習などの職業体験の場として活用。高校生は現実に即した商業を体験することができ、商店街は将来的に商店街への出店につながることを期待するとともに若い世代に商店街の雰囲気を知ってもらうことができる。「まちなか学校」は、商店街内の各店主が講師となって講座を開設し、専門的な知識やスキルを伝える事業。店主との直接交流を通して店を知ってもらい個店のファンを増やす狙いだ。「まちなか産直」は、週2回(火曜・金曜)地域の農業者が地元の新鮮野菜を空き店舗に持ち込んで販売するというもので、商店街には生鮮食品を扱う小売店がないことから、商店街としての機能を高める役割も担っている。
一方で、若手商業者の人材育成を行うチャレンジショップ事業にも着手。金融機関、商工会議所、市と連携し、新規出店希望者に対し出店前研修を行うなど、次代の商店主を育成するシステムを構築していく。出店前研修はすでに開催されたが、まだ出店には至っておらず、今後も住民のニーズに合致した魅力的な新規出店の促進を支援するべく引き続き希望者を募って出店計画を調整していく予定だ。
今後の事業展開
満足度向上のために、商店街の取組にゴールはない
本事業の実施により、商店街の歩行者通行量は増加。特に「まちなか学校」では「お茶の入れ方講座」「フラワーアレンジメント講座」「子供ギター教室」などを開催したことで、高齢者だけでなく子育て世代の来街につながった。
今後も、継続的な商店街ニーズ調査を実施し、常に前年の満足度を上回れるよう、地域の課題に合致した取組を実行していく姿勢だ。



(お問い合わせ先) 中小企業庁経営支援部商業課電話:03-3501-1929(直通) |