平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
後継者不足による空き店舗の増加に対策を
竜馬通り商店街の名は幕末の志士・坂本龍馬が定宿とした寺田屋の東側にあることに由来しており、近年は地域住民だけでなく観光客も訪れるようになっていた。しかし店主の高齢化に伴う後継者不足などで商店街には空き店舗が目立つようになり、地域住民と観光客それぞれのニーズを満たしながらその対策を行うことが課題となっていた。
平成26年度に空き店舗活用についてのニーズ調査を地域住民と観光客に行った結果、いずれも「伏見の清酒や名産を味わえる店舗」への要望があがった。この結果を受け、商店街は空き店舗の所有者である民間の不動産会社と連携し、集客の核となる飲食店の誘致を行うことにした。
事業の展開と成果
伏見の清酒が味わえる商店街のシンボル的な店を誘致
伊藤産業株式会社が所有している連なった空き店舗4軒を改築し、1つの大きな店舗として整備。出店が決定したのは伏見地域ですでにシンボル的な飲食店となっていた「鳥せい本店」の新たな店舗である鉄板串焼き店「咲蔵(さくら)」だ。それまで商店街周辺にはなかった鉄板串焼きで伏見の清酒を味わうという独自のスタイルで、既存の飲食店との差別化を図っている。
平成28年3月30日の開業に当たっては、パンフレットやチラシを作成し新聞折り込みなどで広報を行った。その甲斐あってオープン当日の開店から閉店まで満席で、現在は予約が取れない日もあるなど評判は上々だ。地域住民からも観光客からも利用されており、特に観光客からは「伏見の清酒をゆっくり楽しめる」などの声が聞かれている。
今後の事業展開
空き店舗活用の成功事例を商店街内に波及させる
商店街は、空き店舗への新規出店を促すためには、まず成功事例をつくることが必要だと考えていた。今回整備した店舗は来街者から高評価を得て順調に運営されていることから、これを第一の成功事例として位置付け、今後もほかの空き店舗活用に取り組んでいく予定だ。また、新規に出店した店舗が成功することで、商店街の既存店舗も自身のサービスの見直しを行うなど、商店街全体の変化にもつなげていきたいとしている。
商売の場としてだけではなく、時世に応じた地域ニーズの充足や地域課題の解決を実現することで地域に必要とされる存在となるために、平成27年4月には伊藤産業株式会社とともに「竜馬通り商店街将来ビジョン検討委員会」を立ち上げた。本事業終了後も商店街の将来的なビジョンを議論するための場として継続しており、今後は古くからの住民のニーズと新たな観光客のニーズそれぞれに応えられる商店街を目指していく。



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