平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
地域住民だけでなく観光客の取り込みも課題
会津地方に唯一あった百貨店の撤退や郊外への大型店舗の出店により、会津若松市役所通り商店街にも空き店舗が目立つようになった。市には、鶴ヶ城をはじめ様々な歴史的観光資源があるが、年間300万人の観光客は商店街を素通りしており、地域住民にとっても観光客にとっても魅力的な商店街づくりが急務となっていた。この状況を踏まえ、商店街では、市や会津大学、福島県建築設計協同組合などをメンバーに加えた「まちづくり会議」を平成26年度から定例的に開催。ほかにも、民間のまちづくり会社と連携を密に図り、また、様々な団体と連携することで組織力や推進力を強化し、商店街の活性化策を検討していった。
事業の展開と成果
商店街の魅力と機能の向上へ
地域住民と観光客の商店街への誘引を図るためにまず取り組んだのが、空き店舗を活用したテナントミックス事業。商店街が空き店舗を借り受け、内装などの改修を施したうえで転貸するというサブリース方式を採用し、会津産食材を活用した飲食店を誘致した。地域の若者や女性のほか、観光客からも利用され話題を呼んでいる。今後も多世代の起業を支援し地域の活気につなげていく。
また、住民同士の交流や観光客の滞留を促進するため、コミュニティスペースの整備を実施。商店街の中心にある既存店舗内の一部に、イス、テーブルなどを配備し、パソコン貸出やWiFi利用に対応するほか、トイレや授乳スペース、会津観光や市内の商店街などを紹介するスペースなど、様々な機能を集約。いずれも無料で利用でき、誰もが気軽に立ち寄れる交流拠点となっている。
これらの整備を行うと同時に、地域住民も観光客も歩いて楽しいまちにするため注力したのが、賑わい創出イベント事業だ。
身体の悪いところと同じ部分をさするとその痛みを和らげてくれるというご利益がある「おさすり地蔵」を地域資源として活用した「おさすり地蔵祭り」など多世代型の屋外イベントを開催し多くの人から好評を博している。
今後の事業展開
他団体との連携を広げ、エリア全体の活性化を目指す
今後は、「まちづくり会議」などで事業効果の検証を行い、効果が見られなくなった事業は改めて市民や観光客にニーズ調査を行い、より効果的なテナントミックス事業や賑わい創出イベント事業を再度検討していく。
なお、イベント事業では、他団体との連携により経費負担が軽減し、継続的な開催につながっているため、今後は、周辺地域の商店街との連携も視野に入れ、エリア全体の回遊性向上に努めていく。



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