トップページ 商業サポート 商業活性化 平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦 竹田城下まち商店街/NPO法人Lazo/朝来市商工会

平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦



事業の経緯

「天空の城」ブームを起爆剤に、一度は解散した商店街の再生へ

 「天空の城」として知られる竹田城跡は、全国でもまれな完存している山城遺跡として国史跡に指定されている。その麓に位置する竹田城下まち商店街は、1800年代中頃に木製家具の生産技術を導入されて以来「家具の街」として歩み、昭和30年頃に婚礼家具セットの製造が始まると「竹田の家具」として全国に名声を博していた。
 しかし、時代の流れとともに家具の販売が減少していき、少子・高齢化による後継者不足も相まって平成25年に商店街が解散してしまう。
 そのような状況が続いたが、平成22年頃から竹田城跡の雲海に包まれた姿が、「天空の城」や「日本のマチュピチュ」として多くのマスメディアなどで取り上げられたことがきっかけとなり、それまで年間2万人余であった竹田城跡への観光客が平成27年度には約42万人までに増加した。
 その過程の中で、竹田城跡付近のまちなかで飲食や買い物がしたいという観光客のニーズが増していき、平成26年に商店街が再結成。ここで、朝来市商工会が竹田地区を創業支援の重点地区として活動を行っていたことや、竹田城跡の観光事業も実施していることを受け、商工会と連携して地域商業の活性化に向けて始動することとなった。
 まず、第一に取りかかったのは観光客へのニーズ調査から求められていたお土産屋と飲食施設の計画。商工会と連携したことで、竹田地区で起業を志していたIターン・Uターンの若手事業者などが入居する複合商業施設「竹田インキュベーション段々」として平成27年3月に実現させた。
 一つニーズを満たした商店街ではあったが、まだ観光客が十分に楽しめるまちなかになったとは言い難い。
 さらなる活性化を目指し、商店街は観光客がより街を回遊・滞在できるよう、宿泊施設の整備を検討していくこととなった。


事業の展開

地域経済の自立を目指して、オール地元の総力で「宿泊施設+飲食店」を整備

 竹田城跡への観光客のニーズ調査を実施したところ、竹田地区で宿泊しない観光客の71.6%が「竹田地区での宿泊に興味がある」との結果が出ていた。さらに、同時に行ったマーケティング調査により、観光客がそれまでの団体客から個人客へとシフトしてきていることが判明。これらの結果より、メインターゲットを竹田城跡への個人観光客に設定し、宿泊施設づくりを検討していった。なお、過大なものとならぬよう、観光客が希望する利用人数や価格帯の調査結果から、規模や料金設定を入念に検討し、採算性の向上に努めた。
 施設の運営事業者は、売上を地域に還元し地域経済の自立を促すため、商工会の女性経営者セミナーに参加していたグループが竹田地区の課題解決のために立ち上げたNPO法人Lazoに決定。これにより、女性視点でのきめ細やかな施設づくりが可能となったが、一方で宿泊施設の運営が初めてであったため、事業を進めるうえで不安があった。
 そのため、開業するまでに商店街の関係者がモニターとして協力し問題点を指摘・改善を繰り返していき、また、商工会が伴走して経営支援をすることによって、より魅力的な宿泊施設としての「竹田城下まち 朱々−shu shu−」(以下、「朱々」)を平成28年4月にオープンするに至った。
 さらに、朱々の整備に併せて、「宿泊施設+飲食店」としての相乗効果を生み出していくため、レストラン「Lunch & Bar 凱(Gai)」を整備。宿泊者の食事の場として利用されており、地元の食材である但馬牛や岩津ネギ、米などをふんだんに活用した料理は、地域(ローカル)の資源・魅力を最大限に活かした、ここでしか味わえない体験を創り出している。
 「宿泊施設+飲食店」は主に観光客向けの施設としてのものだが、副次的な効果として、地域住民にも利用されるようになってきている。たとえば「朱々」については、都市部に出ている家族が法事や盆暮れ正月などに帰省した時に利用されたり、レストランについては地元の高齢者の利用が多く、そのほか地域住民の忘年会などにも利用されるなど、地域のコミュニティの場としても機能し始めている。

事業の成果

宿泊施設の稼働率は100%、商店街全体の売上も増加し、新たな店舗も開店

 「朱々」はオープンしてから利用者数が伸びて、半年余りで稼働率が100%になり、平成29年度には黒字化する予定だ。スタッフも12人雇用しており、地域雇用の創出に寄与している。また、台湾などの外国のマスメディアで竹田城跡が取り上げられたことにより、最近は外国人観光客の利用も多くなっている。
 レストランについても順調に利用者数は伸びており、地元の高齢者からは「竹田で今まで食べられなかった本格的なイタリアンも食べることができ嬉しい」との声が聞かれ、観光客だけでなく地元客も得られる手応えを感じている。
 商店街としては、平成26年の再結成から歩行者通行量及び売上が向上しており、また、地元の食材を扱う店舗など2軒が商店街の空き店舗に新規出店。その結果、現在利用可能な空き店舗は0にまでなっている。
 さらに、鳥取・岡山・大分・長崎県内の商工会などから「地域全体でお金を稼ぐ仕組みづくり」についての視察が朝来市商工会に来ており、また、兵庫県神河町の寺前駅前銀座商店街においては同様の取組を予定しているなど、他地域への波及効果が出てきている。

今後の事業展開

オール地元の総力で常に考え行動することで竹田地区の継続的な発展を目指す

 「10年、20年継続して事業を運営し成功していけるよう、時代の流れとともに変わっていく観光客・地域住民のニーズに合わせながら新たな取組をしていかないといけません」と竹田城下まち商店街代表 古屋耕三氏が語るように、今後も様々な取組を検討している。
 たとえば、商店街に飲食店が増えたことから、竹田城跡が「恋人の聖地」と認定されていることに連動した形での飲食店マップを作成し、竹田城から商店街へのさらなる回遊を促す計画だ。
 また、「天空の城」「日本のマチュピチュ」として全国に“認知”された竹田城跡だが、1月初旬〜2月末までの閉山にともない観光することができなくなってしまい、その間いかに観光客や地域住民に商店街を利用してもらうかが慢性的な課題となっている。
 そのため、今後の閉山時期には、竹田の家具づくりやきれいな星空を見る体験ツアーの企画、そのほか名産の岩津ネギや松葉ガニなどの「食」を活用した「ここでしか味わえない」イベントを次々に実施することで継続的な集客を図っていく予定だ。
 今回の事業において、「竹田城跡」という観光資源を商店街の活性化につなげることができた成功のポイントは、商店街だけではなく、商工会、NPOなどが“オール地元”の総力で取り組んだところにある。今後も竹田地区の面としての魅力を創出する「商工会」、線としての「商店街」、点としての「NPO」が一体的に協力することで地域経済を活性化させていく。



(お問い合わせ先)

中小企業庁経営支援部商業課
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