平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
高齢者と子育て世代の両方に対応した取組を思案
鳥取本通商店街は鳥取駅から県庁までを結ぶ国道53号線に立地しており、平成17年には地域交流の拠点として市民交流ホールを併設した商業施設「パレットとっとり」を、平成22年には子育て支援団体との共同事業による子育て支援施設「すぺーすcomodo」を設置するなど、地域住民の生活を支える場としても活動を進めてきた。
鳥取市の高齢化率は全国平均とほぼ同じ25.5%だが、商店街の周辺地域では32.8%に達しており、市内でも特に高齢化率が高い地域(平成26年9月時点)。来街者もここ数年で高齢者の割合が増えたが、一方で、商店街区にある保育園などを利用する子育て世代の来街も増えていた。
高齢者と子育て世代両方に対応した取組として、子育て支援施設として運営していた「すぺーすcomodo」のサービスを拡充し、高齢者支援機能を新たに付加することで、多世代が集う拠点を整備する計画が始まった。
事業の展開と成果
多世代拠点で様々な講座やイベントを開催
まずは事業拡大のため「すぺーす comodo」の移転を決定。商店街が所有するビルの1階部分を改装し、「本通コミュニティプラザ すぺーす comodo」として生まれ変わらせた。以前の「すぺーす comodo」は施設も狭く子ども達が身体を動かして遊べる場所がなかったが、移転先ではボールプールや鏡張りのスタジオなどを備えており、子ども達が走り回って遊ぶ様子が見られるようになった。
また、カルチャー教室を設置し、子ども向けには英語や音楽などの講座、高齢者向けには健康体操やヨガなどの講座を開催。ベビーマッサージなど親子で参加できる講座もあり内容はバラエティに富んでいる。新たに整備したコミュニティカフェでは保護者が子育ての情報を交換したり講座の受講者が感想を言い合ったりする様子も見られ、利用者の憩いのスペースとなっている。
今後の事業展開
地域通貨を用いた商店街の利用促進を計画
本事業については新聞などで数多く紹介され、幅広い世代に向けた取組が注目を浴びている。地域住民からも「街なかに子どもの遊び場・交流の場があることは大変ありがたい」「幅広い世代と子どもが関わるのは良いこと」など好評だ。商店街の歩行者通行量は増加傾向で、街なかに活気が生まれてきた。
今後の展開として、商店街は、高齢者の生きがいづくりとしての有償ボランティア事業の実施を検討中。地域通貨である「フローラ」を対価とすることで、地域コミュニティのさらなる活性化や商店街利用の促進につなげていく考えだ。



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