平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
高齢者と子育て世代両方の来街を促すために
駒川商店街がある東住吉区は毎年高齢者の人口比率が増加しており、また、府内のほかの地域に比べて人口減少率が特に大きい地域だ。商店街の歩行者通行量は、平成15年から平成25年の10年間で約20%も減少。ここ数年は商店街周辺に新しいマンションが建ちはじめ子育て世代の住民の増加が見込まれるが、平成27年2月に実施した歩行者通行量調査では子連れで来街する母親は来街者全体の10%程度にとどまっていた。
これらの状況を踏まえ、商店街は高齢者がもっと利用しやすい環境を整えることと、子育て世代の親子が来街するきっかけをつくる必要があると考えた。そこで着手したのが、空き店舗を活用した2階建てのコミュニティ施設「コマステーション」の整備だ。高齢者も子育て世代も利用できる施設とすることで、単に来街者を増やすだけではなく、新たなコミュニティの創造につなげていこうと考えた。
事業の展開と成果
1つのコミュニティ施設で高齢者と子育て支援
商店街は東西方向に約190m、南北方向に約540mの十字型となっており、高齢者にとってはこの長い距離を移動するだけでも大きな負担だ。そこで高齢者などが気軽に立ち寄って休憩できるよう、「コマステーション」の1階にはバリアフリーのコミュニティスペースを設置。健康づくり体操や福祉相談など高齢者向けの事業も開催し、利用者同士の情報交換の場にもなっている。
一方、2階部分は子育て世代向けに、子どもの一時預かりサービスなどを提供する子育て支援スペース「JONANこどもひろば KOMAクル!」として整備。近隣地域にある大阪城南女子短期大学の学生が保育研修場所として運営しており、商学連携の取組で利用者負担無料を実現した。「JONANこどもひろば KOMAクル!」はもともと商店街内の別の場所で運営されていたが、人通りが少ない場所であったためより多くの人に利用してもらいたいと今回の移転が決まった。以前より人通りの多い場所に移り、高齢者向けの健康相談会をはじめ、チャリティやアートイベントの開催などで賑わいの創出に寄与している。
今後の事業展開
情報発信を強化しさらなる利用促進へ
「コマステーション」の整備後、歩行者通行量は前年比約3.2%増加。商店街の満足度調査でも、商店街について満足していない、または不満と回答した人の割合が前年の約48%から約39%に改善された。
今後はさらなる利用者数増加を目指して情報発信を強化するとともに、「コマステーション」休業日の新たな活用方法などを検討していく予定だ。



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