平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
大涌谷での噴火により観光客数が激減
日本有数の温泉地であり、年間約2,000万人もの観光客で賑わう箱根町。強羅は箱根町のほぼ中央の地域で、箱根登山鉄道、箱根登山ケーブルカー、箱根登山バスなど交通ターミナルの要衝だ。小売店や飲食店のほか、宿泊施設などを含め約130店が営業しているが、観光地としての賑わいは今一つで、素通りさせないよう来街者の興味をいかに引きつけられるかが長年の課題だった。また、平成27年5月から6月にかけ大涌谷の火山活動が活発化した影響で、平成27年7月の箱根全体の観光客数は対前年同月比-524,658人と約30%も減少した。危険というイメージの払拭とともに、災害時の情報提供機能の強化や、外国人観光客の取り込みなどが急務となっていた。
事業の展開と成果
様々な機能を集約し、多様な来街者のニーズに対応
そこで、「安心・安全な観光地 強羅」のPRを進めていく拠点として、箱根強羅観光協会の空きスペースにアンテナショップを併設した観光客向けの案内所を設置した。案内所には、一般的な観光案内に加え、災害時における避難所や退避場所も案内できるコンシェルジュ室を整備。また、商店街の飲食店や宿泊施設などの情報を検索できるパソコンを設置し、外国人観光客にも対応できるよう案内サイン看板や英文のチラシも設置した。
アンテナショップには、強羅のゆるキャラ「ごうらん」グッズや、「箱根強羅エッセンスフェイスパック」「ごうらんまんじゅう」などの地域物産を取り揃え、地域のPR活動を積極的に展開していった。また、周辺には授乳できる場所がなく、やむを得ず強羅駅の駅長室を臨時授乳室として使っていたため授乳室も整備。3月25日のプレオープンでは、早速授乳室の利用があった。4月の全面オープン後は1日30人程度の利用があるが、その大半が外国人観光客で、きめ細かい案内が可能になっている。
今後の事業展開
誰もが安心して滞在できる国際的な観光地へ
現在、強羅エリアには7軒の空き店舗があるが、外国人観光客の取り込みなどで地域の商業を活性化することが、新規出店につながると考えている。2020年に迫った東京オリンピックの開催に向け、外国人観光客数はさらに増加が見込まれることから、言葉の壁を取り払うシステムの整備も急務だ。
また、高低差の激しい地形上、安全対策はもちろん、高齢者や障がい者の受入れ策もより推進していく必要がある。誰もが安心して滞在できる国際的な観光地を目指し、今後は災害に悩むほかの観光地とも交流を図り、互いの意見を出し合えるサミットの開催なども視野に入れている。



(お問い合わせ先) 中小企業庁経営支援部商業課電話:03-3501-1929(直通) |