平成27年度地域商業自立促進事業モデル事例集 全国商店街の挑戦
事業の経緯
人通りの少ない東側エリアに賑わい拠点を計画
JR鎌倉駅から鶴岡八幡宮をつなぐ表参道に位置する八幡宮前商店街。年間2,300万人ほどの観光客が訪れる国内有数の観光地の鎌倉だが、観光客の大半は商店街から一本道を挟んで並行する「小町通り」を通り、特に商店街の東側エリアは観光客をあまり呼び込めていなかった。
この状況を打開するため計画したのが商店街の東側エリアにある鎌倉彫資料館を活用したコミュニティカフェの整備だ。人通りの少ない東側エリアに観光客を引きつける拠点を設置することで、観光客に対し商店街全域の回遊性を向上させ、商店街内の消費促進につなげようとした。また“鎌倉彫”という地域の伝統工芸を活用することで、地域住民にも親しまれる施設となることを狙った。
事業の展開と成果
“鎌倉彫”の魅力を活かした施設を整備
鎌倉彫とは鎌倉市特産の彫刻漆器の一つで、その起源は鎌倉時代にまで遡る。鎌倉彫資料館では従来から1階に約50点の鎌倉彫を展示しその歴史や製造方法などを紹介していたが、今回の事業では商店街と鎌倉彫協同組合の連携のもと、これらの展示物を利用されていなかった3階へ移設。空いた1階をリニューアルしコミュニティカフェを整備した。高野豆腐と季節の鎌倉野菜の刻御膳、オリジナルハンバーグや、建長寺にゆかりがあるけんちん汁などが人気だ。また食器には鎌倉彫を使用することで飾る食器から使う食器へとイメージの転換を促し普及を図っている。併設のショップではカフェオリジナルの鎌倉彫の食器などを販売しており、カフェで実際に鎌倉彫の食器に触れてもらうことでショップの売上にもつなげていく狙いだ。
2階・4階は鎌倉彫の体験教室、自治会の会議や子ども会の交流イベントの会場として使用できるスペースとした。併せて、トイレやエレベーター、階段を補修し来街者が利用しやすい環境を整えた。
今後の事業展開
事業実施で会員の意識も変化
商店街はコミュニティカフェの整備と並行して、商店街内の回遊性を高めるための「リアルスゴロクイベント」も開催。イベントには50名の参加があり、実施後のアンケート調査によると1組平均5店舗を巡っており、「初めて行く店ばかりで楽しかった」と好評。商店街の認知度向上やファンづくりに向けて、今後も継続的な開催を検討中だ。
本事業の実施を通して、商店街内にいっそうの連帯感が生まれ、これまでは会費を払うだけで会合には参加しなかった会員が参加するようになったなど、会員の意識も変化しつつある。商店街一丸となった来街者増加への取組はこれからも続いていく。



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