2 資本装備率、資本生産性の比較
続いて労働生産性と関連が強い指標である資本装備率2と資本生産性3について見ていく。
2 資本装備率とは、資本ストック(有形固定資産)を従業者数で除したものであり、従業者一人当たりの設備等の保有状況を示す。一般に、この指標が高いと、生産現場における機械化が進んでいることを示す。
3 資本生産性とは、付加価値額を資本ストック(有形固定資産)で除したものであり、資本ストック1単位が生み出す付加価値額を示す。一般に、この指標が高いと、生産設備を効率的に使用できていることを示す。
〔1〕企業規模別の資本装備率の推移(製造業)
第1-3-5図は、1983年から2016年までの製造業の資本装備率の推移を見たものである。小規模事業者の数値は上昇しているものの、大企業・中規模企業との格差は依然として存在している。

〔2〕企業規模別の資本装備率の推移(非製造業)
第1-3-6図は、1983年から2016年までの非製造業の資本装備率の推移を見たものである。小規模事業者の数値は上昇しているが、依然として大企業・中規模企業と比べると低い水準にある。

〔3〕企業規模別の資本生産性の推移(製造業)
第1-3-7図は、製造業の企業規模別の資本生産性の推移を示している。1980年代から小規模事業者の方が大企業・中規模企業に比べて高い資本生産性であるが、近年は規模間の差がほとんどなくなっている。

〔4〕企業規模別の資本生産性の推移(非製造業)
第1-3-8図は、非製造業の企業規模別の資本生産性の推移を示している。90年代までは、小規模事業者の方が大企業・中規模企業に比べて高い資本生産性であったが、近年は逆転している。

1980年代には、小規模事業者においては少ない設備等を従業者が効果的に活用することで、大企業・中規模企業を超える高い資本生産性を実現していたが、近年は低下傾向が続き、非製造業においては大企業や中小企業に逆転されている。以上を踏まえると、労働生産性の格差拡大の背景には、資本装備率の格差拡大に加えて、資本生産性の変動の寄与も大きいものと推察される。