第3章 小規模事業者の労働生産性分析
本章では、小規模事業者の労働生産性について中規模企業、大企業と比較して見ていく。労働生産性とは、従業者がどれだけ効率的に利益等の付加価値を生み出したかを示す指標である。
第1節 小規模事業者の労働生産性
小規模事業者の労働生産性について、「製造業」、「非製造業1」に分けて、企業規模別の比較と推移を見ていく。続けて資本装備率、資本生産性を関連させて分析する。
1 本章では業種特性上、資本装備率が他業種に比べて著しく高い傾向にある不動産業を除いて集計している。
1 労働生産性の比較
直近の労働生産性の状況について、中央値、上位10%、下位10%で比較し、規模別の違いを示す。
〔1〕企業規模別の労働生産性(製造業)
第1-3-1図は、製造業の規模別の労働生産性を見たものである。中央値で見ると、小規模事業者の労働生産性は、中規模企業や大企業に劣っているものの、小規模事業者のうち上位10%は、大企業の中央値に近い労働生産性となっている。

〔2〕企業規模別の労働生産性(非製造業)
第1-3-2図は、非製造業の企業規模別の労働生産性を見たものである。非製造業においても、中央値で見ると、小規模事業者の労働生産性は、中規模企業や大企業に劣っているものの、小規模事業者のうち上位10%は大企業の中央値より大幅に高い労働生産性となっている。
全体的な傾向で見ると小規模事業者の労働生産性は中規模企業や大企業より低いが、小規模事業者の中にも高い労働生産性の企業がいることが分かる。

〔3〕企業規模別の労働生産性の推移(製造業)
第1-3-3図は製造業の企業規模別の労働生産性の推移について見たものである。1983年から比較すると、労働生産性の格差が大企業と小規模事業者間だけではなく、中規模企業と小規模事業者間でも広がっていることが分かる。

〔4〕企業規模別の労働生産性の推移(非製造業)
第1-3-4図は非製造業の企業規模別の労働生産性の推移について見たものである。1983年から比較すると、製造業と同様に小規模事業者と大企業・中規模企業の間の格差が広がっていることが分かる。
