第2部 深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命 

3 中小企業における賃上げの状況

次に、前掲第2-1-23図において、労働人材不足に対する中小企業の対応方法として上位に挙げられていた、「賃上げ等の労働条件改善による採用強化」、加えて「多様な人材の活用」として重要であると考えられる女性・シニアに焦点を当て、その実態について説明していく。なお、「従業員の多能工化・兼任化」、「業務プロセスの改善や工夫」、「IT導入、設備投資による省力化」、「労働人材が担っていた業務のアウトソーシング」の取組についての分析は、第2章以降にて行っていくこととする。

まずは、中小企業における賃上げの状況について概観していく。経済産業省「平成29年中小企業の雇用状況に関する調査」によると、2017年に賃金の引上げを行った中小企業の割合は、「正社員」で66.1%、「非正規雇用」で36.5%となり、前年度を上回る取組状況となっている。中小企業における賃上げが進んでいることが推察される(第2-1-24図)。

第2-1-24図 中小企業における賃上げの状況
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次に、厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」を用いて、企業規模別の一人当たり平均賃金の改定率の推移を確認する。これを見ると、従業員100~299人の企業は他の従業員規模の企業の賃上げ率を下回る形で推移してきたが、足下について見ると規模間での差は縮小しており、規模の小さい企業が賃上げに取り組んでいる傾向が読み取れる(第2-1-25図)。

第2-1-25図 賃上げ(一人当たり平均賃金の改定率)の推移
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労働分配率の推移を確認すると、労働分配率は足下の約25年で大企業が50~65%で推移している一方、中小企業は約70~80%で推移していることが分かる(第2-1-26図)。中小企業の付加価値額における人件費割合は大企業よりも高く、中小企業の経営者は限られた利益の中から大企業を超える割合で給与を捻出していることが推察される。

第2-1-26図 労働分配率の推移
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