第2節 中小企業の現状
前節では実質GDP成長率の堅調な伸び、景況感の好調な推移、そして企業活動の活発化に見られるように、我が国経済は緩やかに回復していることを確認した。このような状況において、本節では特に中小企業に焦点を当て、業況、収益、投資、資金繰りや倒産状況、取引関係をめぐる状況、そして海外展開に係る状況について概観していく。
1 業況
はじめに中小企業の現状を見ていくに当たって、調査対象の8割が小規模企業である、中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」(以下「景況調査」という。)の業況判断DI(前期に比べて業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの)の推移を確認する(第1-1-4図)。

中小企業(中規模企業及び小規模事業者)の業況判断DIを過去10年間の推移で見ると、中規模企業、小規模事業者とも、2009年に大きく落ち込んで以降、東日本大震災や消費税率引上げの影響で落ち込みが見られた期間も存在したが、総じて改善傾向で推移している。足下の2017年は、年間を通じて見ると全ての規模において緩やかな改善基調にあり、リーマン・ショック前の2007年を上回っている。
続いて、前述の景況調査で確認した業況判断DIの推移を地域別2に分けて見ていくと、地域によって水準や動きにばらつきがあるものの、年間を通して見ると中小企業の業況は総じて改善傾向にある(第1-1-5図〔1〕)。また、業種別に分けて見ても、地域別に見たときと同様に業種によってばらつきはあるが、年間を通して見るといずれの業種においても業況は改善傾向にあることが分かる(第1-1-5図〔2〕)。
2 三大都市圏又は三大都市圏以外の地域の業況判断DIについては、付注1-1-1を参照。

