第1章 中小企業の現状
第1部 平成28年度(2016年度)の中小企業の動向
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第1章 中小企業の現状
第1節 我が国経済の現状
我が国経済は、2012年末から、企業収益の拡大や雇用環境の改善等の持ち直しの動きを示しており、消費税率引上げ等の影響を受けつつも、おおむね緩やかな回復基調が続いている。本節では、最近の我が国の経済動向について概観する。
はじめに、我が国の経済成長率を示す実質GDP成長率の推移を確認する(第1-1-1図)。2016年の実質GDP成長率は4期連続でプラスとなり、年間成長率は1.0%と2013年以来3年ぶりに1%を上回るなど、堅調な動きとなった。
需要項目別に見ると、個人消費については第1四半期から第3四半期までプラス成長で、第4四半期は横ばいと、堅調に推移したものの、2016年4月の熊本地震の影響で伸び率は下押しされた。輸出については、アジア向け電子部品・デバイス等を中心に持ち直しており、第3四半期以降上昇に寄与した。
次に、実際の企業の景況感を見るため、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(以下、「日銀短観」という。)の業況判断DIの推移を確認する(第1-1-2図)。
2013年から2015年にかけて、業況判断DIは消費税率の引上げによって上下したものの、総じて上昇の動きを示していた。2016年に入ると、2016年3月、6月調査では、新興国経済の減速、消費の伸び悩みを背景に、製造、非製造業ともに下落した。2016年後半に入ると、輸出の持ち直しを背景に製造業で改善の動きを見せ、9月調査で1ポイント、12月調査で3ポイント上昇した。非製造業についても、9月は天候要因等で1ポイント低下したものの、12月は2ポイント上昇した。直近の2017年3月についても、製造業、非製造業ともに改善した。水準としては、2016年を通じて0を上回って推移しており、最近の業況について「良い」と答えた企業の割合が、「悪い」と答えた企業の割合を上回っている。
さらに、実際の企業の活動の状況について、製造業について鉱工業生産指数を確認すると、2016年の鉱工業生産指数は上昇傾向にあり、足下の第4四半期では、2014年第1四半期以来の指数水準となっている(第1-1-3図)。また、第3次産業について、第3次産業活動指数を確認すると、2016年は緩やかな上昇傾向となり、2014年第1四半期と同程度の指数水準で推移している。さらに、建設業の活動状況を示す建設業活動指数も第4四半期を除けば上昇傾向にある。
上記3つの指数を統合した、我が国全体の企業活動の状況を示す全産業活動指数を見ても、年間を通じて緩やかに上昇しており、企業の実際の活動も、特に2016年後半から活発化していることが分かる。
実質GDPは年間を通じてプラス成長となり、企業の景況感も緩やかに改善している。実際の企業活動についても持ち直しているなど、我が国経済は、緩やかな回復基調にあるといえる。
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