平成27年度において講じた小規模企業施策

第6章 業種別・分野別施策

第1節 中小農林水産関連企業対策

1.6次産業化の推進

(1)6次産業化ネットワーク活動交付金【27年度予算:23.3億円の内数】

地域の創意工夫を生かしながら、多様な事業者がネットワークを構築して取り組む新商品開発や販路開拓、農林水産物の加工・販売施設の整備等の取組及び市町村の6次産業化戦略に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組を支援した。

(2)農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用

農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となって流通・加工業者等と連携して取り組む6次産業化の事業活動に対し、出資等による支援を実施した。

(3)知的財産保護・活用推進事業【27年度予算:2.0億円の内数】

地理的表示の登録申請を支援する相談窓口(GIサポートセンター)を設置し、GIへの登録申請に係る相談等の支援を行ったほか、我が国農林水産物・食品等の海外における知的財産の侵害対策強化等の取組を支援した。

(4)農山漁村活性化再生可能エネルギー総合推進事業【27年度予算:2.0億円の内数】

地域主導で再生可能エネルギーを供給する取組を推進し、そのメリットを地域に還元させることを通じて、地域の農林漁業の発展を促進した。

2.中小農林水産事業者向け支援

(1)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金【27年度融資枠:700億円の内数】

木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資した。

(2)木材加工設備導入利子助成支援事業【27年度予算:0.1億円の内数】

木材製品の高付加価値化や経営の多角化等を図るための設備導入とそれに伴う施設・設備廃棄等に必要な資金の借入に対する利子助成を行った。

(3)森林・林業再生基盤づくり交付金(木材加工流通施設等の整備)【27年度予算:27.0億円の内数】

価格・量・品質面において安定的・効率的な供給ができるサプライチェーンを構築するため、広域流通型の構想や地域循環型の構想の実現に必要な木材加工流通施設の整備を支援した。

(4)強い農業づくり交付金及び産地活性化総合対策事業による乳業再編整備等への支援【27年度予算:強い農業づくり交付金:230.9億円の内数、産地活性化総合対策事業:23.4億円の内数】

(施策の目的)

(施策の概要)

(5)食品の製造過程の管理の高度化に関する支援

食品の安全性の向上と消費者の信頼を確保するため、食品の製造管理の高度化に関する臨時措置法に基づき、〔1〕HACCP導入のための施設、設備の整備、〔2〕HACCP導入の前段階の一般的衛生管理や品質管理を行うための体制、施設・設備の整備(高度化基盤整備)への金融支援を行った。(食品産業品質管理高度化促進資金)

(6)輸出総合サポートプロジェクト事業【27年度予算:13.8億円の内数】

(施策の目的)

(施策の概要)

(26年度からの変化)

(7)輸出に取り組む事業者向け対策事業【27年度予算:8.4億円の内数】

(施策の目的)

(施策の概要)

(26年度からの変化)

3.研究開発等横断的分野等における支援

(1)農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業【27年度予算:52.4億円の内数】

農林水産・食品分野の諸課題の解決や革新的な技術の開発につながる技術シーズ(新技術や新事業・アグリビジネスの創出につながる技術要素)を開発するための基礎段階、創出されたシーズを基に、実用化段階の研究開発に向けて発展的に進めるための応用段階、国の重要施策や農林水産・食品分野の多様なニーズに対応した技術の実用化段階の各段階における研究開発を推進、また産学官の技術力を活かし、実需者等の多様なニーズに応じた新品種の開発を推進した。

(2)日本公庫による各種融資【財政投融資】

第2節 中小運輸業対策

1.倉庫業への支援

経済・社会環境の変化の中で高度化する物流ニーズに対応すべく、物流総合効率化法等により効率的な物流や3PL事業を促進し、施設における物流機能の高度化の推進を行った。

2.内航海運・国内旅客船事業対策

(1)内航海運暫定措置事業

内航海運暫定措置事業の円滑かつ着実な実施を図るため、同事業に要する資金について政府保証枠の設定による支援措置を講じた。

(2)船舶共有建造制度【財政投融資】【27年度予算:284億円の内数】

鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度により、内航海運のグリーン化に資する船舶や離島航路の維持・活性化に資する船舶といった政策的意義の高い船舶の建造を促進した。

3.中小造船業・舶用工業対策【27年度予算:[1]0.5億円の内数、[2]160億円(25年度予算)の内数、[3]8.1億円の内数、[4]1.0億円】

(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組むほか、〔1〕【経営技術の近代化に向けた講習会を全国8か所で実施するとともに労働災害の防止に向けての統括安全衛生責任者研修会を実施】した。

(2)今般の東日本大震災では、東北の太平洋側に位置する37の造船所全てと多くの造船関連事業者が壊滅的な被害を受けたところ。国土交通省では、中小企業庁等、関係省庁との連携により、「中小企業等復旧・復興支援(グループ化)補助事業」の活用支援や、設備の早期復旧に必要な資機材の調達支援を行う。また、被災地域の水産業に大きく貢献する地元造船産業の復興を促進するため、地域基幹産業である水産業に貢献し、地盤沈下により復興が困難な中小造船関連事業者の集約等に対し、事業者により共有される建造・修繕施設、係留施設等の施設の建設費等に対して補助を行うための基金を設置し、8件、19事業者に対して114.2億円の補助金交付の決定を行い、うち2件については、補助事業完了により、補助金を交付した。〔2〕造船業等復興支援事業費補助金

(3)我が国海洋産業の戦略的育成のための海洋資源開発技術と船舶からのCO2を削減する世界最先端の海洋環境技術の技術研究開発費に対し32件(うち、中小企業の参加するプロジェクトは11件)補助を行った。〔3〕海事産業関連技術研究開発費補助金

(4)造船業への理解を深め、造船業を目指す若者を増やすため、造船所等の見学会、高校生や大学生の造船所でのインターンシップ、地元の高校教員と造船企業による教育研究会の開催などを実施した。(継続・新規)造船業において、平成27年4月から平成32年度末まで緊急かつ時限的措置として、即戦力となる技能実習修了者に対して、最大3年間の就労を認める外国人造船就労者受入事業を導入し、平成28年1月までに約900人の外国人材が就労した。〔4〕造船業における人材の確保・育成

第3節 中小建設・不動産業対策

1.地域建設産業活性化支援事業【27年度予算:1.9億円の内数】

社会資本の整備・維持管理や地域の防災・減災など、地域社会を支える中小・中堅建設企業及び建設関連企業(測量業、建設コンサルタント及び地質調査業)に対して、人材開発の専門家や中小企業診断士等の活性化支援アドバイザーが、経営上の課題又は施工管理等の技術的な課題の解決に資する幅広いアドバイスを実施。

また、担い手の確保・育成や生産性向上に資する取組でモデル性の高い案件については、重点支援として専門家の支援チームによる計画策定等の目標達成までの継続支援や計画実行段階の経費の一部支援を実施。

2.建設業における金融支援の実施

(1)地域建設業経営強化融資制度の実施

元請建設企業の資金調達の円滑化を一層図るため、中小・中堅元請建設企業が公共工事請負代金債権を担保に、融資事業者から工事の出来高に応じて融資を受けることが可能となる「地域建設業経営強化融資制度」について、事業期間を延長した。なお、本制度においては、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。

(2)下請債権保全支援事業の実施

下請建設企業等の債権保全及び資金調達の円滑化を一層図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する場合に、そのリスクを軽減する損失補償を実施し、また、当該下請建設企業等が負担する保証料について助成を行う「下請債権保全支援事業」について、事業期間を延長した。

3.建設業の海外展開支援【27年度予算:0.4億円の内数】

中堅・中小建設企業の海外進出を支援するため、経営者層を対象とした海外進出のための海外進出戦略策定セミナーを開催し、訪問団をインドネシアに派遣した。また、建設・不動産企業を対象とした海外ビジネスフォーラム2016及び個別相談会を開催した。そのほか、海外建設・不動産市場データベース等を通じた最新情報の発信、知的財産を活用した海外展開支援等の取組みを行った。

4.中小不動産業者に対する金融措置

中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施した。

5.地域型住宅グリーン化事業【27年度予算:110億円の内数】

地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・建築物の整備に対して支援を行う。

6.木造住宅施工技術体制整備事業【27年度予算:6.0億円の内数】

新規大工技能者の育成や大工技能者の技術力の向上に資するリフォーム技術講習等の取組に対する支援を行う。

第4節 生活衛生関係営業対策

1.生活衛生営業対策【27年度予算:10.3億円の内数】

理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施した。平成27年度においては、生活衛生関係営業を取り巻く構造的な悪循環から脱却し、業界を活性化し、持続的発展を後押しするため、生活衛生関係営業の強み・特殊性を活かした計画を策定し、生活衛生関係営業における好循環構造の定着・促進を図る事業(生活衛生関係営業好循環促進計画策定事業)などを重点的に実施した。

2.生活衛生関係営業に関する貸付【27年度予算:21.8億円の内数】

生活衛生関係営業の資金繰り支援を行うことで公衆衛生の向上及び増進を図るため、株式会社日本公庫(生活衛生資金貸付)において、低利融資を行った。平成27年度予算においては、バリアフリー等関連施設に係る貸付金利の引下げなどの貸付条件の改善を行ったほか、平成27年度補正予算においては、地方で若者を雇用する者や地方に本社を移転する者等に対して貸付金利の引下げを行った。

第5節 環境・エネルギー対策

1.中小企業等の温室効果ガス削減量等を認証する制度(J-クレジット制度)における手続等支援【27年度予算:5.8億円の内数】

J-クレジット制度は、中小企業等の設備投資による温室効果ガスの排出削減量等をクレジットとして認証する制度であり、制度運営や事業計画の作成支援等を実施した。

また、本事業では、カーボンフットプリント(CFP)制度で「見える化」された、製品・サービスのCO2排出量をクレジットにより埋め合わせるカーボン・オフセットの仕組みの基盤整備を実施し、J-クレジット制度の下で創出されるクレジットの需要開拓も推進した。

本事業により、中小企業等の省エネ設備投資等を促進し、クレジットの活用による国内での資金環流を促すことで環境と経済の両立を図った。

2.CO2排出量の「見える化」とクレジットの活用による環境配慮型事業活動の促進【27年度予算:1.0億円の内数】

中小・小規模企業等の製品やサービスについて、カーボンフットプリントにより製品・サービスのライフサイクル全体のCO2排出量が見える化され、クレジットで埋め合わされた(オフセットされた)ことを認証するとともに、専用ラベル(どんぐりマーク)の貼付を認める制度を運用し、カーボン・オフセット製品等の普及を支援した。

また、専用ラベル集票により、学校などの地域団体に環境に優しい製品・サービスが還元される仕組みを運用し、消費者に環境配慮製品の購買促進を図るとともに、中小企業・小規模事業者等の環境に配慮した事業活動を後押しした。本制度には33事業者104件が参加した。

3.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)

中小企業の公害対策を促進するため、公害防止設備を導入する事業者に対して日本公庫による低利融資を行う制度である。平成27年度においては、必要な見直しを行い、措置期間を平成28年3月31日まで延長した。

[融資実績](平成27年4月~平成28年1月)
  件数 金額
大気汚染関連 4件 111百万円
水質汚濁関連 3件 57百万円
産業廃棄物・リサイクル関連 53件 4183百万円

4.公害防止税制【税制】

公害防止税制は、中小企業を含む事業者の公害防止対策に対する取組を支援するため、公害防止用設備(汚水又は廃液処理施設)に係る課税標準の特例及び、公害防止用設備を取得した場合の特別償却等の措置を講じるものであり、平成27年度末に適用期限が到来する公害防止用設備(汚水又は廃液処理施設)に係る課税標準の特例措置について、適用期限を2年延長した。

5.エネルギー使用合理化等事業者支援事業【27年度予算:410億円の内数】

工場・事業場等における省エネ設備・システムへの入替や製造プロセスの改善等の改修により省エネや電力ピーク対策を行う際に必要となる費用に対し補助を行った。また、平成27年度からは工場間で一体となった省エネの取組を支援対象に加えた。

6.エネルギー使用合理化特定設備等導入促進事業【27年度予算:26.1億円の内数】

省エネ設備や一部のトップランナー機器の導入を促進するため、民間金融機関等から融資を受ける事業者に対し、利子補給を行った。事業実施に当たっては地域金融機関等との連携を強化し、地域の中小・中堅企業等の積極的な省エネ投資を後押しした。

7.省エネルギー対策導入促進事業【27年度予算:5.5億円の内数】

中小企業者等に対し、省エネ・節電ポテンシャルの導出をはじめとした診断事業等を実施した。また、診断事業で得られた事例や省エネ技術を様々な媒体を通じて情報発信した。

8.中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業【27年度補正予算:442.0億円の内数】

導入する設備ごとの省エネ効果等で簡易に申請が行える制度を創設し、高効率な省エネ設備への更新を重点的に支援することで、中小企業等の事業の生産性や省エネ性能を向上させ、競争力の強化につなげる。

9.環境関連投資促進税制【税制】

青色申告書を提出する個人及び法人が省エネや再エネの導入拡大に資する設備を取得等した場合には、初年度においてその取得額の30%の特別償却又は7%の税額控除(中小企業者等)ができる税制措置を引き続き講じた。また、風力発電設備を取得等し、その後事業の用に供した場合には、普通償却限度額に加え、取得価額まで特別償却ができる税制措置(即時償却)が、平成27年度税制改正において、1年延長された。

10.地域低炭素投資促進ファンド事業【27年度予算:46.0億円の内数】

一定の採算性・収益性が見込まれるものの、リードタイムや投資回収期間が長期に及ぶこと等に起因するリスクが高く、民間資金が十分に供給されていない再生可能エネルギー事業等の低炭素化プロジェクトに民間資金を呼び込むため、これらのプロジェクトに対し、「地域低炭素投資促進ファンド」からの出資を行った。

11.エコリース促進事業【27年度予算:18.0億円の内数】

低炭素機器の導入に際して多額の初期投資費用(頭金)を負担することが困難な中小企業等に対し、リース料総額の一部を補助することによって、頭金なしの「リース」の活用を促進し低炭素機器の普及を図った。

12.エコアクション21

「エコアクション21」は、平成27年12月末時点で認証・登録事業者数は7500となった。より中堅・中小事業者等に取り組み易い環境経営システムとなるよう、エコアクション21ガイドラインの改訂検討を開始した。また、エコアクション21の仕組みを基礎に、CO2削減に特化したプログラムの試行事業を行い、250社の中堅・中小企業が環境経営を開始した。

第6節 IT化の促進

1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】

中小企業におけるIT・デジタルコンテンツの普及変化に関連した事業環境の変化に対応するため、日本公庫による融資を着実に実施した。平成27年度(平成28年1月末時点)の貸付実績は2,493件、272億円となった。

第7節 知的財産対策

1.特許出願技術動向調査【27年度予算:11.7億円の内数】

日本産業界の研究開発戦略や知的財産戦略の構築を支援するために特許出願動向等について調査を行い、特許庁ホームページ等を通じて情報発信している。

平成27年度は、「情報セキュリティ技術」等の社会的に注目を集めている技術分野や「情報端末の筐体・ユーザインターフェース」等の中国において出願が急増している技術分野等の20の技術テーマについて調査を実施した。

2.中小企業等外国出願支援事業【27年度予算:6.3億円の内数】

中小企業等による戦略的な外国出願を促進するため、都道府県等中小企業支援センター及び全国実施機関としてジェトロを通じて、外国への事業展開等を計画している中小企業に対して、外国への出願に要する費用(外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等)の一部を助成した。

3.知的財産権制度に関する普及【27年度予算:0.8億円の内数】

知的財産権制度に関する知見・経験のレベル応じて、知的財産権制度の概要や基礎的知識について説明する初心者向けと、特許・意匠・商標の審査基準や、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容を分野別に説明する実務者向け、及び最新の法令改正事項を広く説明する法改正の説明会を開催した。

平成27年度は、47都道府県において初心者向け説明会を57回、全国の主要都市で実務者向け説明会を62回、法改正の説明会を33回実施した。

4.中小企業等海外侵害対策支援事業【27年度予算:1.2億円の内数】

中小企業の海外での適時適切な産業財産権の権利行使を支援するため、ジェトロを通じて、模倣品に関する調査から模倣品業者に対する警告・行政摘発手続に要する費用を補助した。採択件数は23件と26年度に比して倍増した。また27年度からは新たに、海外で現地企業等から知財権侵害で訴えられた場合の弁護士への相談費用や訴訟に要する費用についても補助を行った。採択件数は2件であった。

5.特許戦略ポータルサイト【27年度予算:0.1億円の内数】

特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトでは、パスワード交付申込みのあった出願人に対し、インターネットを通じて、自社の直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供した。

6.中小企業向けの特許料等の軽減

積極的に研究開発を行う中小企業等を対象として、審査請求料や特許料(第1年分から第10年分)を半額に軽減する措置を引き続き実施した。

また、2014年から中小ベンチャー企業・小規模企業等を対象として、審査請求料、特許料(第1年分から第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/3に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の2/3に相当する額を交付する措置を実施した。

7.早期審査・早期審理制度

出願人や審判請求人が中小企業・小規模事業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審判を受けられるようにした。平成27年度の早期審査の申請件数は12,412件に上った(平成27年12月末現在)。

8.中小企業の知財に関するワンストップサービスの提供(知財総合支援窓口)【27年度予算:29.0億円の内数INPIT交付金含む】

中小企業等が企業経営の中で抱える知的財産に関する悩みや課題に対し、その場で解決を図るワンストップサービスを提供するため、「知財総合支援窓口」を都道府県ごとに設置し、窓口に支援担当者を配置した。また、専門性が高い課題等には知財専門家を活用し解決を図るほか、中小企業支援機関等との連携、知的財産を有効に活用できていない中小企業等の発掘等を通じて、中小企業等の知財活用の促進を図った。平成27年度は、全窓口に配置している弁理士及び弁護士の配置回数を原則倍増したほか、平成27年度特許法改正を受け、職務発明規程に関する支援を行う専門家の拡充を行うなど、支援体制を強化した。平成27年度の支援件数は約140,000件に上った(平成28年1月末現在)。

9.営業秘密に関するワンストップ支援体制の整備(「営業秘密・知財戦略相談窓口~営業秘密110番~」【27年度予算:INPIT交付金の内数】

平成27年2月2日に独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)に新設した「営業秘密・知財戦略相談窓口~営業秘密110番」においては、知財総合支援窓口とも連携して、主に中小企業を対象に特許としての権利化、営業秘密としての秘匿化を含むオープン・クローズ戦略等の具体的な知的財産戦略に加え、秘匿化を選択した際の営業秘密の管理手法、また営業秘密の漏えい・流出等に関する相談に専門家が対応した。特に営業秘密の漏えい・流出事案や情報セキュリティ対策、サイバーアタックについても、相談内容に応じて、警察庁や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とも連携して対応可能な体制を継続した。加えて、営業秘密・知財戦略セミナーの開催やeラーニングコンテンツ開発等による普及・啓発活動も実施した。

10.新興国等知財情報データバンク【27年度予算:0.3億円の内数、INPIT交付金の内数】

新興国等でのビジネスに関わる我が国の企業の法務・知財担当者等を対象に、各国の知財情報を幅広く提供することを目的とする情報発信ウェブサイトであり、新興国等を対象に出願実務、審判・訴訟実務、ライセンス実務情報、統計・制度動向等の情報を提供している。

平成27年度は、中東、アフリカ地域を中心に記事を作成した(平成28年2月末現在:掲載記事数1467件)。

11.海外知的財産プロデューサー派遣事業【27年度予算:INPIT交付金の内数】

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)において、海外での事業内容や海外展開先の状況・制度等に応じた知的財産戦略策定等、海外における事業展開を知的財産活用の視点から支援するため、海外での事業展開が期待される有望技術を有する中小企業等に対して、知的財産マネジメントの専門家(海外知的財産プロデューサー)を派遣している。

平成27年度は、5人の海外知的財産プロデューサーにより、282者(平成28年2月末現在)の支援を行った。

12.出張面接審査・テレビ面接審査【27年度予算:0.2億円の内数】

全国各地の中小・ベンチャー企業等の方々への支援を目的として、全国各地の面接会場に審査官が出張する面接審査、及び、インターネット回線を利用し出願人自身のPCから参加できるテレビ面接審査を実施した。

13.中小企業等特許情報分析活用支援事業【27年度予算:1.4億円の内数】

中小企業等における効果的な研究開発や権利化等の知財活用を促進するため、中小企業に加えて、地方公共団体、公設試験研究機関、商工会や商工会議所等も対象とした「研究開発」、「出願」及び「審査請求」の各段階のニーズに応じた包括的な特許情報分析支援を行った。

14.知財金融促進事業【27年度予算:1.0億円の内数】

中小企業の知財を活用したビジネスの価値・評価を「見える化」して、金融機関からの融資につなげる包括的な取組を実施した。具体的には、調査会社が中小企業の知財を活用したビジネスの価値・評価を「見える化」した「知財ビジネス評価書」を作成し、知財の専門人材が不足している金融機関に提供することで、同ビジネスが、中小企業への融資判断に適切に反映されることを目指した。知財ビジネス評価書の作成支援件数は150件。

また、知的資産経営についても普及・支援を実施した。

15.日本発知財活用ビジネス化事業【27年度予算:5.6億円の内数】

中堅・中小企業の知的財産を活用した外国でのビジネス展開の促進を支援するため、ジェトロを通じて以下の取組を行った。

〔1〕専門家による国内でのセミナー・研修や、海外での複数回にわたる個別面談などを通じて、海外でのライセンスビジネスにつなげるビジネスモデル構築を支援し、イベント等商談機会を提供した。

〔2〕海外での展示会出展、商談会参加等を通じ、ビジネスパートナー候補との商談機会の提供等の支援を実施した。

〔3〕技術流出の予防を目的として、知財専門家による助言等を実施した。

〔4〕有望な知財を保有する我が国の中堅・中小企業の魅力を技術流出に配慮しながら海外に多言語で発信した。

16.地域中小企業知的財産支援力強化事業【27年度予算:1.5億円の内数】

中小企業の様々な課題や地域特性等に応じたきめ細かな支援により中小企業の知財保護・活用を促進するため、意欲の高い地域の支援機関等から先導的・先進的な知財支援の取組を経済産業局を通じ募集し、広域の連携した先導的仕組みづくりを重視した15件の取組を支援した。

17.特許情報の提供

特許情報について、高度化、多様化するユーザーニーズに応えるべく「特許電子図書館」を刷新し、新たな特許情報提供サービス「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」の提供を平成27年3月より開始した。J-PlatPatは使いやすいインターフェースを備え、国内の特許、実用新案、意匠、商標の公報の検索や、経過情報の照会機能等を有している。

また、外国特許文献、特に急増する中国・韓国特許文献を日本語で調査できるように「中韓文献翻訳・検索システム」の提供を平成27年1月より、ASEAN等の日本企業の進出が著しい諸外国の特許情報を照会する「外国特許情報サービス(FOPISER)」の提供を平成27年8月よりそれぞれ開始した。

第8節 標準化の推進

1.中堅・中小企業等における標準化の戦略的活用の推進

「日本再興戦略」改訂2015、知的財産推進計画2015に基づき「新市場創造型標準化制度」を活用して、日本工業標準調査会において、中堅・中小企業から提案のあった9件について、平成27年5月と12月、平成28年1月に標準化を行うことを決定した。さらに、自治体・産業振興機関、地域金融機関、大学・公的研究機関(パートナー機関)と一般財団法人日本規格協会(JSA)が連携し地域において標準化の戦略的活用に関する情報提供・助言等を行う「標準化活用支援パートナーシップ制度」を平成27年11月に創設・運用開始した。

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