第2章 中小企業の生産性向上支援
第1節 技術力の強化
1.戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【平成28年度:139.7億円】
中小ものづくり高度化法の計画認定を受けた中小企業・小規模事業者が大学、交接し等の研究機関等と連携して行う、研究開発等に関する取り組みを支援する。
また、中小企業新事業活動促進法に基づいて認定された異分野連携新事業分野開拓計画に従って行う中小企業・小規模事業者が、産学官連携して行う新しいサービスモデルの開発等を支援する。(継続)
2.中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業【27年度補正予算:11.0億円】
中堅・中小企業等は特定の優れた技術を有していても、事業化を目指すためにはそれのみでは不十分なことがある。
このため、優れた基盤技術等を有する機関がその技術を中堅・中小企業等に橋渡しすることにより、実用化を促進することが重要となる。
そこで、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において、革新的な技術シーズを事業化に結びつける「橋渡し研究機関」として、全国144の公設試等の機関の確認を行うとともに、中堅・中小企業等が、「橋渡し研究機関」の能力を活用して共同研究等を実施する際に、助成(補助率2/3以内、補助上限1億円)を行う。(継続)
3.国立研究開発法人産業技術総合研究所における中小企業への橋渡しの取組【産業技術総合研究所運営費交付金の内数】
国立研究開発法人産業技術総合研究所において、地域の中堅・中小企業のニーズ等を把握している公設試験研究機関に産総研のイノベーションコーディネータを配置する等の全国規模の連携体制を構築し、地域企業の有する革新的な技術シーズを事業化につなぐ「橋渡し」機能の強化に取り組み、中堅・中小企業等の研究開発を支援する。(継続)
4.中小企業のものづくり基盤技術の高度化に向けた総合支援
中小ものづくり高度化法に基づき、高度化指針に沿った特定研究開発等計画について認定を行い、計画が認定された中小企業・小規模事業者に対して戦略的基盤技術高度化支援事業や、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施する。(継続)
5.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】
中小企業・小規模事業者等による研究開発投資について、試験研究費の額の12%相当額の税額控除ができる措置(税額控除限度額は法人税額の25%)及び特別試験研究費(大学等との共同・委託研究や中小企業者からその有する知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究など)の20%又は30%相当額の税制控除ができる措置(税額控除限度額は法人税額の5%)を講じる。
上記に加え、〔1〕試験研究費が過去3年平均より5%超増加する等の場合に、その増加した試験研究費に試験研究費の増加割合(上限30%)を乗じた額を控除できる制度又は〔2〕試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合に、その超過額に一定の割合を乗じた額を控除できる制度のいずれかを選択して適用できる措置(税額控除限度額は法人税額の10%(平成28年度末まで))を講じる。(継続)
6.中小企業技術革新制度(SBIR制度)に基づく支援
新産業の創出につながる新技術開発のための特定補助金等の指定、支出の目標額、特定補助金等を利用して開発した成果の事業化支援措置等の方針の作成等により、引き続き国の研究開発予算の中小企業・小規模事業者への提供拡大、及び技術開発成果の事業化を図る。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、特定補助金等の採択企業の技術力をPRするデータベースや日本公庫による低利融資等の事業化支援措置を中小企業・小規模事業者等に周知し、利用促進を図るとともに、特定補助金等への多段階選抜方式の導入拡大を図る。(継続)
7.異分野連携新事業分野開拓【財政投融資】
中小企業新事業活動促進法に基づき、異分野の中小企業が連携し、その経営資源(技術、販路等)を有効に組み合わせて行う新商品・新サービスの開発・販売等の事業計画に対して認定を行い、補助金による支援を行うとともに、融資、保証の特例等により総合的な支援を実施する。(継続)
8.医工連携事業化推進事業【28年度予算:35.0億円】
医療機器開発支援ネットワークを推進し、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目ない支援として伴走コンサルを実施する。また、ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、平成28年度は実証事業において50件程度の医療機器実用化を支援する。(継続)
9.企業活力強化資金(ものづくり関連)【財政投融資】
中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化、中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進並びに下請け中小企業の振興を図るため日本公庫が必要な資金の貸付を行う。(継続)
第2節 取引条件の改善
1.下請等中小企業の取引条件の改善
下請等中小企業の取引条件の改善に幅広く取り組むため、「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」の下で、大企業・中小企業に対する大規模な調査を実施しており、今後、調査結果を踏まえて必要な対策を講じていく。(新規)
2.下請代金法の運用強化【28年度予算:9.9億円の内数】
下請取引の公正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請代金法を執行する。平成28年度においても、公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施するとともに、下請代金法違反事実に関する情報提供・申告等を行うための「申告情報受付窓口」により、下請代金法違反に関する情報収集を行い、下請代金法の厳格な運用に努める。さらに、11月に実施する「下請取引適正化推進月間」においては、特別事情聴取を実施し、下請代金法の厳格な運用を図る。また、年末の金融繁忙期に向けた下請事業者の資金繰り確保の点から、親事業者代表取締役(約20万社)及び関係事業者団体代表者(約600団体)に対し、経済産業大臣、公正取引委員会委員長の連名で、下請代金法に基づく下請取引の適正化の要請文を発出し、同法の周知徹底を図る。(継続)
3.相談体制の強化と下請取引適正化【28年度予算:9.9億円の内数】
全国48か所に設置する「下請かけこみ寺」において、中小企業の企業間取引に関する相談に対応する(平成26年度の相談件数は5,473件、無料弁護士相談681件)。さらに、27年度補正予算事業として、下請等中小企業の経営者や営業担当者が、親事業者の調達部門への価格交渉を行う上で必要な価格交渉ノウハウについて、個別指導やセミナー等を行う。また、下請代金法等の違反行為を未然に防止するため、親事業者の調達担当者等を対象とした講習会を開催し、一層の周知を図るほか、全国で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請代金法等の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催する。さらに、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を構築するためのガイドライン(下請適正取引等の推進のためのガイドライン。経済産業省、国交省及び総務省の所管16業種。)について、全国で説明会を開催する。(継続)
4.下請中小企業・小規模事業者の自立化支援【28年度予算:9.9億円の内数】
下請中小企業振興法に基づき、特定の親事業者への取引依存度の高い下請中小企業・小規模事業者が連携して課題解決型ビジネスを行う事業計画の認定を行い、補助金、融資、保証の特例により支援を実施する。また、親事業者の生産拠点が閉鎖又は縮小(予定も含む)された地域における下請中小企業等が行う新分野進出等に対し、補助金により支援を実施する。(継続)
5.下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【28年度予算:9.9億円の内数】
新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対して、「ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)」の運用により、自社の希望する業種、設備、技術等の条件に合った製造委託等の受発注情報の提供を行う。また、新たな販路開拓を支援するため、広域商談会を開催する。(継続)
6.下請け事業者への配慮要請等【28年度予算:9.9億円の内数】
下請中小企業振興法に基づく下請事業者及び親事業者がよるべき一般的基準(振興基準)等について、講習会等で周知を図る。加えて、下請事業者への配慮等を行うよう、関係事業者団体の代表者宛てに要請文を発出する。(継続)