第5章 地域経済活性化・新陳代謝の促進
第1節 経営支援体制の強化
1.中小企業連携組織対策推進事業【27年度予算:7.1億円】
中小企業連携組織支援のための専門機関である全国中小企業団体中央会を通じて、経営革新・改善に取り組む組合等に対して、その実現化等に要する経費の一部の助成などの支援を行ったほか、指導員向けの研修等も支援した。また、外国人技能実習生受入事業を行う組合(監理団体)等の事業の適正化を支援した。
2.経営支援と一体となった高度化融資による設備資金の支援
中小企業が事業環境の改善や経営基盤の強化を図るために、事業協同組合等が共同で取り組む事業に対し、中小機構と都道府県が協調し、事業計画への診断・アドバイスを行うとともに、必要な設備資金について、長期・低利(又は無利子)の貸付を行った。
3.中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【27年度予算:39億円】
中小企業・小規模事業者が抱える様々な経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置し、一歩踏み込んだ専門的な助言を行うとともに、特に高度・専門的な経営課題に対しては専門家の派遣を実施した。
4.小規模事業者等人材・支援人材育成事業【27年度予算:4.5億円】
小規模サービス事業者や地域のサービス産業活性化を担う人材と、成功企業(異業種も含む)や成功地域とのマッチングを行い、座学に留まらないインターンシップ型の研修を組成し、こうしたマッチングやインターンシップに係る費用の補助を行った。
また、小規模事業者を支援する経営指導員が、個々の小規模事業者の強みを分析し、その強みに応じた対策を提案・実行できるようにするため、全国各地で研修を行うとともに、特に先進的な支援機関において、経営支援等のノウハウを体得する機会を提供した。(再掲)
5.ローカルベンチマークの策定
企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールとしてローカルベンチマークを策定。
ローカルベンチマークは、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待される。具体的には、エクセルシートで提供する「参考ツール」を活用して、「財務情報」(6つの指標※1)と「非財務情報」(4つの視点※2)に関する各データを入力することにより、企業の経営状態を把握することで経営状態の変化に早めに気付き、早期の対話や支援につなげていく。
(※1)6つの指標;〔1〕売上高増加率(売上持続性)、〔2〕営業利益率(収益性)、〔3〕労働生産性(生産性)、〔4〕EBITDA有利子負債倍率(健全性)、〔5〕営業運転資本回転期間(効率性)、〔6〕自己資本比率(安全性)
(※2)4つの視点;〔1〕経営者への着目、〔2〕関係者への着目、〔3〕事業への着目、〔4〕内部管理体制への着目
第2節 地域資源の活用
1.ふるさと名物支援事業【27年度予算:16.1億円の内数】
中小企業・小規模事業者が、地域資源の活用や農林漁業者との連携により行う、国内外の市場を見据えた新商品・新サービスの開発、販路開拓を支援した。また、地域資源の活用や、農林漁業者との連携により行う商品開発等に取り組む事業者に対して、一般社団法人等が行う消費者嗜好に関する情報提供、マッチング支援などの取組を支援した。(再掲)
2.JAPANブランド育成支援事業【27年度予算:16.1億円の内数】
中小企業の海外販路開拓の実現を図るため、複数の中小企業が連携し、自らが持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定や、当該戦略に基づいて行う商品の開発や海外見本市への出展等の取組を支援した。(再掲)
3.小規模事業対策推進事業【27年度予算:46.5億円】
小規模支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援するとともに、地域一体となって取り組む特産品の開発や販路開拓等を支援した。
また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:123件、本体事業(1年目:56件、2年目:31件)に対し、幅広い支援を行った。(再掲)
4.伝統的工芸品の指定
伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」という。)に基づき、伝統的工芸品への指定の申出があった工芸品について調査、検討を行った後、産業構造審議会の意見を聴いて、以下の3品目について、伝統的工芸品の指定を行った。
宮城県「仙台箪笥」、東京都等「江戸鼈甲」及び「東京アンチモニー工芸品」平成27年6月18日指定
5.伝統的工芸品産業振興関連補助事業【27年度予算:13.6億円】
(1)伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」という。)に基づき、伝統的工芸品産業の振興のため以下の支援を行った。
〔1〕産地の製造協同組合等が実施する以下の事業に対する補助
- 後継者育成事業
- 原材料確保対策事業
- 意匠開発事業
- 連携活性化事業
- 産地プロデューサー事業 等
〔2〕伝産法第23条に基づく一般社団法人・一般財団法人が実施する以下の事業に対する補助
- 人材確保および技術技法継承事業
- 産地指導事業
- 普及推進事業
- 需要開拓事業 等
(2)被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の国指定の伝統的工芸品の震災復興のための以下の支援を行った。
〔1〕被災3県について実施する後継者育成・需要開拓・意匠開発・情報発信などの産地活性化事業
〔2〕被災3県における伝統的工芸品の生産活動を震災前の水準にまで戻すことを目的とした設備整備や原材料確保などの生産基盤確立・強化事業
6.伝統的工芸品の普及・推進事業
伝統的工芸品に対する国民の理解を増進するため、毎年11月を「伝統的工芸品月間」とし、伝統的工芸品月間国民会議全国大会の開催等の普及・啓発事業を実施。平成27年度においては、富山県で全国大会を開催した。
第3節 商店街・中心市街地の活性化
1.地域商店街の活性化に向けた総合的支援
地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じた。
2.全国商店街支援センターによる人材育成等
中小企業関係4団体が共同で設立した「全国商店街支援センター」において、人材育成、ノウハウ提供等の支援を行った。
3.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、独立行政法人中小企業基盤整備機構(「以下「中小機構」という。)に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行った。
4.中心市街地商業活性化アドバイザー派遣事業【中小機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会等が抱える様々な課題に対応するため、中小機構に登録された商業活性化に関する各分野の専門家を派遣した。
5.中心市街地商業活性化診断・サポート事業【中小機構交付金の内数】
中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における商業活性化の取組を支援するため、中小機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行った。
6.土地譲渡所得の特別控除【税制】
地域商店街活性化法の認定を受けた商店街振興組合等に対し、認定商店街活性化事業計画等に基づく事業の用に供するために土地等を譲渡した場合には、土地等の譲渡所得に係る1,500万円特別控除の対象とする措置を引き続き講じた。
7.地域商業自立促進事業【27年度予算:23.0億円】
地域経済循環の促進に資する、インキュベーション施設の整備や店舗誘致等の地域住民のニーズに合った商店街の新陳代謝を図る取組やコミュニティスペース等の地域経済を循環させる基盤となる地域コミュニティの形成に向けた取組に対して支援を行った。平成27年度においては、調査分析事業を60件、支援事業を53件採択した。
8.中心市街地再興戦略事業【27年度予算:6.0億円】
地域経済において重要な役割を果たす中心市街地について、事業を絞って重点的に支援を行った。具体的には、地元住民や自治体等による強いコミットがあり、当該中心市街地だけではなく、周辺地域の経済活力を向上させる波及効果の高い民間プロジェクト(商業施設等の整備)を支援した。また、地域の拠点となるにふさわしい魅力ある中心市街地の形成を図るためのソフト事業、専門人材活用等を支援した。
9.中心市街地活性化のための税制措置【税制】
中心市街地活性化法の改正により創設した「特定民間中心市街地経済活力向上事業」に基づいて行われる、〔1〕建物及び建物附属設備、構築物の取得に対し、5年間30%の割増償却制度、〔2〕不動産の取得に対し、その不動産の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率を1/2とする措置を講じた。
第4節 販路・需要開拓支援
1.小規模事業対策推進事業【27年度予算:46.5億円】
小規模支援法に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援するとともに、地域一体となって取り組む特産品の開発や販路開拓等を支援した。
また、地域の小規模事業者による全国規模の市場に向けた事業展開を促進するため、商工会・商工会議所等が事業者と協力して進める、特産品開発や観光開発及びその販路開拓等の事業(調査研究事業:123件、本体事業(1年目:56件、2年目:31件)に対し、幅広い支援を行った。(再掲)
2.各種展示会や商談会等による販路開拓支援【中小機構交付金の内数】
中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小機構が展示会や商談会等の開催を通じて、販路開拓・拡大を支援する。
3.販路開拓コーディネート事業【中小機構交付金の内数】
中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手がかりを掴むとともに、販路開拓の力をつけることを中小機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)が支援した。
4.販路開拓サポート支援事業【中小機構交付金の内数】
中小機構が、自ら主催する展示会またはそれらの同時開催展等に出展する企業に対し、バイヤーの招聘や販路開拓のアドバイス等を行うことにより、マッチングを促進し、中小・ベンチャー企業の販路開拓を支援した。
5.新事業創出支援事業【中小機構交付金の内数】
中小機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業新事業活動促進法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。
6.J-GoodTech(ジェグテック)【中小機構交付金の内数】
中小機構が、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。
第5節 人材・雇用対策
1.中小企業・小規模事業者人材対策事業【27年度予算:16.1億円】
経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者の人材の確保を支援することを目的に、地域の中小企業・小規模事業者のニーズを把握して、地域内外の若者・女性・シニア等の多様な人材から地域事業者が必要とする人材を発掘し、紹介・定着まで支援を行った。
2.中小企業大学校における人材育成事業【中小機構交付金の内数】
全国9か所にある中小企業大学校において、中小企業支援人材の能力向上のための研修を実施するとともに、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題に直接結びつくような研修を実施した。
3.ふるさとプロデューサー育成支援事業【27年度補正予算:30.0億円の内数】
地域の関係者を巻き込み、地域資源を活かした魅力ある産品を「地域ブランド化」し、海外市場を見据えて販路開拓を行う取組の中心的担い手となることができる人材育成の取組を支援した。
4.労働者の雇用維持対策【27年度予算:192.7億円】
景気の変動等に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給した。また、本助成金については、不正受給防止対策にも積極的に取り組んでおり、不正受給を行った事業主名等の公表、実地調査の実施等、本助成金のより一層の適正な支給に努めた。
5.魅力ある雇用創出に向けた雇用管理の改善の支援【27年度予算:48.4億円】
企業の雇用管理改善の取組を支援し、魅力ある雇用創出を図るため、中小労確法に基づき各都道府県知事に改善計画の認定を受けた重点分野等の中小企業団体(事業協同組合等)が、労働環境向上事業を行った場合に助成金を支給した。また、重点分野等の中小企業・小規模事業者等が労働協約・就業規則等を変更し、雇用管理制度を新たに導入した場合及び従業員の離職率を低下させた場合に助成金を支給した。
6.人材不足分野における人材確保のための雇用管理改善促進事業【27年度予算:10.1億円】
人材不足分野の事業を営む事業主が、人材確保のために従業員の処遇や職場環境の改善などの雇用管理改善を行う場合に、雇用管理制度の導入支援等を実施し、「魅力ある職場づくり」を支援した。
〔1〕モデル調査コース
事業主が取り組むべき雇用管理の内容が明確となっていない分野を対象として、雇用管理上の課題を抱える事業主に対し、その課題の解消に資する様々な雇用管理制度をモデル的に導入・運用するためのきめ細かなコンサルティングを実施した。
〔2〕啓発実践コース
人材不足分野のうち、今後ますます需要の拡大が見込まれる介護分野や建設分野について、雇用管理改善の実践段階に課題を抱える事業主に対し相談支援を行い、業界ぐるみの雇用管理改善の実践や、雇用管理改善に積極的に取り組む事業主を中心とした地域ネットワーク・コミュニティによる地域ぐるみの雇用管理改善の実践を促進した。
7.地域雇用開発奨励金【27年度予算:50.4億円】
地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域求職者を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発奨励金を支給した。
8.戦略産業雇用創造プロジェクト【27年度予算:92.1億円】
良質かつ安定的な雇用機会の創出に向けた取組みを推進するため、製造業などの戦略産業を対象として、産業施策と一体となって実施する地域の自主的な雇用創造プロジェクトを支援する戦略産業雇用創造プロジェクトを実施した。
9.雇用促進税制【税制】
平成23年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に始まる各事業年度において、雇用保険一般被保険者が5人(中小企業は2人)以上かつ10%以上増加等の要件を満たす企業に対し、増加した雇用保険一般被保険者一人当たり40万円の税額控除することができる税制措置を実施した。
10.失業なき労働移動の促進【27年度予算:349.4億円】
労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等に対して、その再就職を実現するための支援を民間職業紹介事業者に委託等して行う事業主に対して助成を行った。また、労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金(人材育成支援))により、再就職援助計画等の対象となった労働者を雇入れ、又は移籍等により労働者を受入れ、その労働者に対して訓練を行った事業主に対して助成を行った。さらに、平成27年度より、労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金(早期雇入れ支援))により、再就職援助計画等の対象者を離職後3ヵ月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れた事業主に対して助成を行った。
11.地域人づくり事業
女性や若者、高齢者の活躍推進等を通じた雇用の拡大を図るとともに、賃金引上げ等の処遇改善を推進し、地域の実情に応じた「人づくり」を支援するための事業を実施した。
12.福祉人材確保重点プロジェクト【27年度予算:14.6億円】
福祉(介護・医療・保育)分野におけるサービスを担う質の高い人材の安定的な確保のため、全国の主要なハローワークに設置する「福祉人材コーナー」を中心に、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施した。
13.若者応援宣言事業の促進【27年度予算:5.1億円の内数】
若者の採用・育成に積極的で、企業情報等を積極的に公表する中小企業については、「若者応援宣言企業」として情報発信の後押しを行った。
14.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【27年度予算:5.1億円の内数】
若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定する制度を創設し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援した。
15.三年以内既卒者等採用定着奨励金
既卒者や中退者の新規学卒枠での応募機会の拡大及び定着・促進を図るため、既卒者等が応募可能な新卒求人の申込み又は募集を新たに行い、一定期間定着させた事業主に対して「三年以内既卒者等採用定着奨励金」を支給した。
16.最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【27年度予算:24.1億円】
最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援として、〔1〕経営改善と労働条件管理の相談等にワンストップで対応するための「最低賃金総合相談支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を行うとともに、〔2〕業種別全国中小企業団体が行う賃金の引上げに向けた取組に対する助成(業種別団体助成金、上限2000万円)及び〔3〕労働能率増進のための設備投資等を行い、事業場内の時間給800円未満の労働者の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者に対する取組経費の助成(業務改善助成金、上限100万円、助成率1/2(企業規模30人以下の小規模事業者は3/4))を実施した。
なお、平成27年度は、〔1〕について利用者の利便性向上のため、電話やメールによる相談を実施する「全国最低賃金総合電話相談センター」を設置した。
17.地域若者サポートステーション事業【27年度予算:37.2億円】
ニート等の若者の職業的自立を支援するため地域若者サポートステーションを設置し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談や各種プログラムの実施など、多様な就労支援メニューを実施する予算を措置した。平成27年度においては、引き続き本事業を全国で実施するとともに、就労後の定着やより安定した就労へのステップアップに向けた支援の実施を全国に拡大し、職業的自立に向けた就労支援の強化を図った。
18.キャリア教育専門人材養成事業(大学等)(キャリア教育等の推進)【27年度予算:0.1億円】
大学等のキャリアセンターの中核人材やキャリアコンサルタント等を対象に、厚生労働省が有する雇用・労働に関する知見やキャリア教育や就職支援に資するツール、キャリアコンサルティングやその担い手であるキャリアコンサルタントに係る知識及びその活用方法等についての理解を深める講習を実施し、大学等におけるキャリア教育を推進するとともに、大学等におけるキャリアコンサルタントの活用促進を図った。
第6節 創業・第二創業支援
1.創業・第二創業促進補助金【27年度予算:7.6億円】
女性・若者等の創業者や、事業承継を契機に既存事業の全部又は一部を廃止し、新分野に挑戦する第二創業者に対して、店舗借入費や設備費等(第二創業の場合、廃業コストを含む)に要する費用の一部の支援をした。
2.新創業融資制度【財政投融資】
新たに事業を開始する者や事業を開始して間もない者に対し、無担保・無保証人で日本公庫が融資を行う制度。
3.女性、若者/シニア起業家支援資金【財政投融資】
多様な事業者による新規事業の創出を支援するため、女性や30歳未満の若者、55歳以上の高齢者のうち、開業して概ね7年以内の者を対象に、日本公庫(中小企業事業・国民生活事業)が優遇金利で融資する制度である。平成11年の制度創設から、平成27年12月末までに、135,455件、6,798億円の融資を実施している。
4.再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)【財政投融資】
日本公庫が、事業に失敗した起業家の経営者としての資質や事業の見込み等を評価することにより、再起を図る上で、困難な状況に直面している者に対して融資を実施した。
5.創業者向け保証
民間金融機関による創業者への融資を後押しするため、信用保証協会において、これから創業する者又は創業後5年未満の者等を対象とする保証制度を実施した。
6.起業・創業時に必要となるリスクマネーの供給強化
平成28年1月末までに、産業革新機構がベンチャー企業に対して、74件、1861億円の投資を実施した。また、株式会社日本政策投資銀行や株式会社商工組合中央金庫(以下、「商工中金」という。)の活用等により、起業・創業時及び事業化に必要となるリスクマネーの供給を図った。
7.ファンド出資事業(起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド)
民間の投資会社が運営する投資ファンドについて、中小機構が出資(ファンド総額の1/2以内)を行うことで、民間資金の呼び水としてファンドの組成を促進し、創業又は成長初期の段階にあるベンチャー企業(中小企業)や新事業展開等により成長を目指す中小企業への投資機会の拡大を図る事業である。起業支援ファンドについては、累積出資先ファンド数91件、出資約束総額1,508億円、累積投資先企業数2,381社に至った(平成27年3月末)。また、中小企業成長支援ファンドについては、累積出資先ファンド数75件、出資約束総額4,356億円、累積投資先企業数801社に至った(平成27年3月末)。
8.ベンチャー創造支援事業【27年度予算:3.4億円】
起業家や、大企業等で新事業開拓を担う社内起業家の候補等を、世界をリードするベンチャー企業を輩出するシリコンバレー等に派遣して、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業目線の高い新事業を創出する人材の育成を図った。また、起業家やベンチャー支援人材、大企業等からなる「ベンチャー創造協議会」において、ビジネスマッチングの開催や広範なネットワーク形成の場を提供するとともに、イノベーションの創出に大きく貢献したベンチャー企業を称える「内閣総理大臣賞」の授与等を行い、新事業創出のための基盤形成を図った。
9.地域創業促進支援委託事業【27年度予算:4.4億円】
全国で「創業スクール」を開催し、創業予備軍の掘り起こしをはじめ、創業希望者の基本的知識の習得からビジネスプランの策定までを支援した。また、大学等における起業家教育の普及や、小中学校を対象にした地元起業家等との交流などにより「起業家教育」の充実化を図り、創造性や積極性等からなる「起業家精神」を有する人材の裾野拡大を図った。
10.エンジェル税制【税制】
創業後間もないベンチャー企業への個人投資家(エンジェル)による資金供給を促進するため、一定の要件を満たす中小企業に対して、個人投資家が投資を行った時点と、当該株式を譲渡した時点において所得税の優遇を受けることができる制度である。平成9年の制度創設から、平成28年1月末までに、635社に対し、約133億円の投資が行われた。
11.企業のベンチャー投資促進税制【税制】
企業が、産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けたベンチャーファンドを通じてベンチャー企業に出資した場合に、その出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる制度である。
12.経営革新支援事業
新事業活動促進法に基づき、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図ることを目的として作成し、承認された経営革新計画に対し、低利の融資制度や信用保証の特例等の支援策を通じ、その事業活動を支援した。
13.地域における創業支援体制の構築
地域の創業を促進させるため、産業競争力強化法において、市区町村が民間の創業支援事業者と連携して創業支援事業計画を作成し、国の認定を受けた場合、計画に基づく創業支援を受けた創業者に対し、信用保証の拡充、税制(株式会社の設立登記に係る登録免許税の軽減)等の支援を行うとともに、創業支援事業者に対し信用保証等の支援を行った。
14.地域経済循環創造事業交付金【27年度予算:23.1億円】
産学金官地域ラウンドテーブルを構築し、地域の資源と資金(地域金融機関の融資等)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げる「ローカル10,000プロジェクト」を推進するため、民間事業者が事業化段階で必要となる初期投資費用等について、地方自治体が助成する経費に対し、交付金を交付した。
第7節 事業承継支援
1.地域課題解決ビジネス普及事業【27年度予算:0.6億円】
ソーシャルビジネス・コミュニティービジネスといった地域の課題をビジネスの手法により解決に取り組む事業者の事業活動を促進するために、資金面の環境整備を目的として金融機関向け手引き、事業者向け手引きを策定するとともに、その普及を後押しするため、全国10か所でシンポジウムを開催した。
2.事業引継ぎ支援事業【27年度予算:44.8億円の内数】
後継者不在等の問題を抱える中小企業・小規模事業者に対し、47都道府県の各認定支援機関に設置されている「事業引継ぎ相談窓口」において事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行うとともに、支援体制が整った地域には、後継者問題に悩む経営者とその経営資源を活用し事業を拡大したい会社等のマッチング支援を手掛ける「事業引継ぎ支援センター」を設置した。「事業引継ぎ支援センター」は、平成27年度に全国展開を行った。
3.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度(事業承継税制)【税制】
事業承継税制は、後継者が経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続、遺贈又は贈与により取得した場合において、その後継者が事業を継続することを前提に、相続税・贈与税の納税を猶予し、後継者の死亡等の一定の場合には猶予税額を免除する制度である。平成21年度より事業承継税制の適用の基礎となる認定を開始し、平成27年12月末までに、相続税に係る認定を827件、贈与税に係る認定を431件実施した。
平成27年度税制改正(平成27年4月1日施行)において、以下のとおり事業承継税制の拡充を行った。
1代目→2代目→3代目と株式が贈与される場合において、〔1〕経営承継期間後に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目も納税猶予の適用を受けることが必要)、2代目の猶予税額は免除される。〔2〕経営承継期間内であっても、2代目がやむを得ない事情(※)で代表を辞して、3代目に株式を贈与した場合(3代目も納税猶予の適用を受けることが必要)、2代目の猶予税額は免除される。〔3〕上記〔1〕〔2〕の場合において、1代目が死亡すれば、3代目の猶予されている贈与税が相続税に切り替わる(2代目が死亡しても相続税には切り替わらない)。
※やむを得ない事情とは、主に以下のとおり。
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた(障害等級1級に限る)
- 身体障害者手帳の交付を受けた(身体上の障害の程度が1級又は2級に限る)
- 要介護認定を受けた(要介護状態区分が要介護5に限る)
4.小規模企業共済制度の見直し
小規模企業の経営者に退職金を支給する小規模企業共済制度について、経営の新陳代謝の円滑化に係る機能を強化するため、親族内への事業譲渡に係る共済事由の引き上げを行った。
5.経営承継円滑化法による総合的支援
経営承継円滑化法には、遺留分の制約を解決するための民法の特例をはじめとした総合的支援が盛り込まれており、平成27年12月末までに、民法特例の適用の基礎となる経済産業大臣の確認を108件実施した。
6.事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金の内数】
全国各地で中小企業の事業承継を広範かつ高度にサポートするための事業承継支援ネットワーク体制の形成、中小企業支援者向けの研修や事業承継フォーラムによる中小企業経営者等への普及啓発を実施した。
第8節 その他の地域活性化施策
1.地域の企業立地の促進【27年度予算:8.0億円の内数】
企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律(平成19年法律第40号)に基づき、地域が自らの特色を活かした企業立地を促進し、地域産業活性化を目指す取組を支援するため、産業関連施設等の整備にかかる経費の一部補助や、工場立地法の特例措置、日本公庫を通じた中小企業向け低利融資、企業立地に係る地方交付税措置を実施した。
2.地域経済循環創造事業交付金【27年度予算:23.1億円】
産学金官地域ラウンドテーブルを構築し、地域の資源と資金(地域金融機関の融資等)を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げる「ローカル10,000プロジェクト」を推進するため、民間事業者が事業化段階で必要となる初期投資費用等について、地方自治体が助成する経費に対し、交付金を交付した。(再掲)
3.戦略産業支援のための基盤整備事業【27年度予算:8.0億円】
戦略分野ごとに複数名の戦略分野コーディネーターを指名し、大企業のニーズを踏まえた中核企業候補に対する幅広い情報の提供、大企業側へ中核企業候補の持つ優れた技術情報の提供、更には地域の支援機関等との連携促進を支援することで、大企業と中核企業候補とのマッチングを進めてきた。また、戦略分野を対象とし、人材育成、販路開拓等の支援機能を有した企業集積・連携の拠点等の整備を支援し、地域に根ざした中核企業候補及び周辺企業群の創出・育成及びイノベーションの促進につなげた。
4.企業の地方拠点強化税制の拡充【税制】
地方創生のためには、東京一極集中を是正し、地方に良質な雇用を創出することが必要である。このため、平成27年度税制改正により、企業の本社機能等の東京圏から地方への移転や地方における拡充への取組を後押しするため、計画の認定を受けた企業のオフィスにかかる建物等の取得等について、取得価額の15%の特別償却(移転の場合には、取得価額の25%)又は取得価額の4%の税額控除(移転の場合には、取得価額の7%)の選択適用、その地方拠点において雇用した者に対する雇用促進税制の特例の措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税の措置を講じた。
5.新分野進出支援事業【27年度予算:16.7億円の内数】
地域に密着して活躍する中核企業やその候補・取引先(中堅・中小企業)に対し、腕利きの「プロジェクトマネージャー」が新事業進出のコンセプト作りから、開発時の産学連携、事業パートナー発掘、販路開拓に至るまで一貫した支援を実施する。
6.連携中枢都市による新たな広域連携の構築等【27年度予算:2.0億円】
地域において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化により、一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点である連携中枢都市圏を形成することやその取組を支援した。平成27年度より圏域全体の経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化及び生活関連機能サービスの向上に資する取組を支援するため、連携協約を締結しビジョンを策定した市町村の取組に対して、地方交付税措置を実施した。平成28年2月末時点で、5圏域で連携中枢都市圏が形成されている。
7.企業活力強化資金【財政投融資】
中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化、中小企業者のものづくり基盤技術の高度化の促進並びに下請中小企業の振興を図るため日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行った。平成27年度(平成28年1月末時点)の貸付実績は、10,315件、890億円となった。
8.消費税免税店の拡大及び利便性向上を図るための税制措置【税制】
平成27年度税制改正において、商店街・ショッピングセンター等における免税手続を「免税手続カウンター」を営む事業者に委託することを可能とする制度を創設。これにより、商店街等において、複数の店舗における購入金額の合計額により購入下限額の判定を可能とした。
9.地域中核企業支援貸付制度【27年度予算:財投計画額80.0億円】
地域の中核を担い地域経済へ一定の影響力を有する中堅中小企業が、新分野への進出等のイノベーションの取組や戦略的な経営改善の取組を行う場合に、商工中金が地域中核企業支援貸付制度により、長期・一括返済・成功払いによる融資を行った。平成27年度の実績は、52件、66億円となった(平成28年2月末現在)。