3 就業構造から見た地域の特徴
以上では、地域の違いを生産活動の側面から捉えてきたが、以降では、地域の特徴を就業構造の側面から見ていく。地域別に就業者数(1都道府県当たり平均値)を見てみると、地域3が最も多く、続いて地域1、地域2となっている。年代別の平均変化率を見ると、1980年代は全体として大きく増加する中で、地域3が最も高く、続いて地域2、地域1となっている(第1-3-26図)。1990年代は全体として緩やかな増加となる中で、地域3が最も高く、続いて地域2、地域1となっている。2000年代に入ると全体として減少に転じる中、どの地域でも減少しており、減少の度合いは地域1が最も大きく、続いて地域2、地域3となっている。
業種別に見ると、製造業では、地域別の就業者数は、地域3が最も多く、1980年代前半までは地域1、地域2と続いているが、1980年代後半以降は地域2、地域1となっている。年代別の平均変化率を見ると、1980年代は全体として大きく増加する中で、地域3が最も高く、続いて地域2、地域1となっている。1990年代は全体として減少に転じる中で、どの地域でも減少しており、減少の度合いは地域1が最も大きく、地域2、地域3は同程度となっている。2000年代は全体として引き続き減少する中、減少の度合いは地域1が最も大きく、続いて地域2、地域1となっている。
非製造業では、地域別に就業者数を見てみると、地域3が最も多く、続いて地域1、地域2となっている。年代別の平均変化率を見ると、1980年代は全体として大きく増加する中で、地域3が最も高く、地域1、地域2は同程度となっている。1990年代は全体として引き続き大きく増加となる中で、地域3が最も高く、続いて地域2、地域1となっている。2000年代に入ると全体として緩やかな増加となる中で、地域3が最も高く、次いで地域2となっている一方、地域1では減少している。
次に、地域別の就業者数の変化を業種別に詳細に見ていく。1980年時点と1990年時点を比較すると、この間、どの地域でも、農林水産業の就業者数が減少している一方、サービス業の就業者数が大きく増加しており、全産業の就業者数の増加に大きく寄与している(第1-3-27図)。1990年時点と2000年時点を比較すると、この間、どの地域でも、農林水産業に加え、製造業の就業者数が減少している一方、サービス業の就業者数が引き続き大きく増加することで、全産業の就業者数の増加を下支えしている。2000年時点と2008年時点を比較すると、この間、どの地域でもサービス業を除く全ての業種で就業者数が減少している一方、サービス業の就業者数が引き続き大きく増加している。
以上から、どの地域においても農林水産業、製造業を始めとして就業者数が減少する一方、サービス業の就業者数は大きく増加していることが分かった。
さらに、地域別に製造業の就業者数の変化を年代別に詳細に見ていく。1980年時点と1990年時点を比較すると、この間、特に地域2、地域3では電気機械の就業者数の増加が大きいことが分かる(第1-3-28図)。また、1990年時点と2000年時点を比較すると、この間、どの地域においても繊維とその他の製造業の就業者数の減少が大きく、地域2、地域3では電気機械の就業者数の減少も大きい。2000年時点と2008年時点を比較すると、この間、どの地域においてもその他の製造業、繊維、電気機械の減少が大きいことが分かる。他方、輸送機械の就業者数のみがどの地域でも唯一増加しており、地域3の増加が最も大きく、続いて地域2、地域1となっている。
次に、サービス業の従業者数の変化について詳細に見ていく(第1-3-29図)。1980年時点と1990年時点を比較すると、この間、対事業所サービスの従業者数の増加が最も大きく、続いて医療・福祉、飲食・宿泊となっている。1990年時点と2000年時点を比較すると、この間、医療・福祉の従業者数が大きく増加し、最も多くなっており、続いて対事業所サービス、飲食・宿泊となっている。2000年時点と2008年時点を比較すると、この間、引き続き医療・福祉の従業者数が増加しており、続いて対事業所サービスとなっているが、飲食・宿泊は減少している。