第9節 事業継続計画
2020年以降の感染症の感染拡大だけでなく、令和6年能登半島地震をはじめ、我が国では自然災害が絶えない状況となっている。経営においても、不測の事態に際して業務の中断リスクを下げる、若しくは短期間で復旧を行うため、「事業継続計画」(BCP:Business Continuity Plan)(以下、「BCP」という。)の策定が重要となっている。本節では、事業継続計画に関連する現況について確認する。
第1-3-42図は、「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)」54を用いて、企業規模別にBCP策定率の推移を見たものである。これを見ると、いずれの企業規模においても、BCP策定率は上昇傾向で推移しており、2023年の大企業のBCP策定率は35.5%であるのに対して、中小企業は15.3%となっている。
54 (株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)」:(株)帝国データバンクが2023年5月、全国27,930社の企業を対象にアンケート調査を実施(有効回答11,420件、回収率40.9%)。

第1-3-43図は、「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)」を用いて、中小企業における事業中断リスクに備えた実施・検討内容について見たものである。これを見ると、「従業員の安否確認手段の整備」と回答した企業の割合が最も高く、65.1%となっている。次いで、「情報システムのバックアップ(54.1%)」、「緊急時の指揮・命令系統の構築(38.4%)」となっている。また、「災害保険への加入」や「事業所の安全性確保(建物の耐震補強、設備の転倒・落下対策など)」についても実施・検討を行っている企業が一定数見られることから、中小企業において、自然災害等による事業中断リスクに対する備えとして具体的な取組を進めていることが分かる。

