第11節 産業立地

続いて、企業の産業立地の状況について確認する。第1-3-46図は、我が国の工場の事業所敷地面積の推移を見たものである。これを見ると、工場の事業所敷地面積は2011年以降、工場の新規立地が進展したことを受け、緩やかに増加していることが分かる。

第1-3-46図 工場の事業所敷地面積の推移

第1-3-47図は、「2023年度新規事業所立地計画に関する動向調査」を用いて、国内事業拠点に関する立地計画を持つ事業者の割合を見たものである。これを見ると、国内事業拠点に関する立地計画(新設・増設・移転)を持つ事業者の割合は年々増加傾向にあり、特に直近3年を見ると、製造業、物流業共に大きく伸びていることが分かる。

第1-3-47図 国内事業拠点に関する立地計画を持つ事業者の割合

第1-3-48図は、経済産業省「工場立地動向調査」を用いて、企業の立地選定理由について見たものである。これを見ると、立地選定理由として、「本社・ほかの自社工場への近接性」や、「インフラの整備が充実している」などを重視している企業が多いことが分かる。このことから、産業立地を進めるためには、道路や工業用水等のインフラ整備の重要性が示唆される。

第1-3-48図 立地選定理由

さらに、感染拡大や地政学リスク、円安等の為替変動などの顕在化した外的要因を背景に、半導体等の経済安全保障上重要な産業分野をはじめとして、関連サプライヤー(中堅・中小企業)も含めた、国内回帰・国内生産体制の強化に向けた投資が進展しつつある。特に、内閣官房・経済産業省による「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」では、2023年12月21日に「国内投資促進パッケージ」を発表し、政府では2027年度経団連目標の115兆円超を達成し、賃金・所得や物価が同時に上がり続ける消費・投資拡大の好循環に向けて、先端半導体の国内生産拠点の確保等についても取組を進めている55

55 詳細は、経済産業省ほか(2023)を参照。

第1-3-49図は「中小企業が直面する外部環境の変化に関する調査」を用いて、業種別に半導体製造企業の新規立地による効果を見たものである。これを見ると、半導体製造企業による経済波及効果として、特に製造業においては従業員の賃金上昇が期待されるほか、製造業以外においても住民増加による消費拡大などが期待され、地域経済の活性化にもつながり得ることが示唆される。

第1-3-49図 半導体製造企業の新規立地による効果(業種別)

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