第6章 業種別・分野別施策
第1節 中小農林水産関連企業対策
1.中小農林水産事業者向け支援
(1)農山漁村振興交付金(農山漁村発イノベーション対策)【令和4年度当初予算:97.5億円の内数】
農林水産物や農林水産業に関わる多様な地域資源を活用し、新事業や付加価値を創出することによって、農山漁村における所得と雇用機会の確保を図る取組等を支援した。
(2)地域食品産業連携プロジェクト(LFP)推進事業【令和4年度当初予算:1.4億円】
地域の農林水産物が地域産業の中で有効活用されるように、地域の食品産業を中心とした多様な関係者が参画した地域食品産業連携プロジェクト(LFP)を構築して行う、社会的課題解決と経済的利益の両立を目指した持続可能な新たなビジネスモデルの創出を支援した。
(3)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金【638億円(融資枠)】
木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資した。
(4)木材加工設備導入等利子助成支援事業【令和4年度当初予算:1.1億円の内数】
品質・性能の確かな木材製品を低コストで安定的に供給するため、製材業を営む企業等が実施する設備導入等と共に、川中事業者を核とする安定供給体制の構築に必要な借入金に対して利子助成を行った。
(5)森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策のうち林業・木材産業成長産業化促進対策(うち木材加工流通施設等の整備)【令和4年度当初予算:115.6億円の内数】
木材産業等の競争力強化を図るため、意欲と能力のある林業経営者との連携を前提に行う、輸入木材不足への対応として国産材の供給力強化に資する木材加工流通施設等整備の支援を行った。
(6)強い農業づくり総合支援交付金による乳業再編整備等への支援【令和4年度当初予算:125.7億円の内数】
中小乳業の製造販売コストの低減や衛生水準の高度化を図るため、乳業工場施設の新増設・廃棄等を支援した。
(7)マーケットイン輸出ビジネス拡大支援事業【令和4年度当初予算:26.2億円】
2030年5兆円目標の実現に向けて、戦略的な輸出拡大へのサポート、品目団体の輸出力強化、輸出に取り組む優良事業者の表彰、日本食・食文化の魅力発信による日本産品の海外での需要拡大を支援した。
(8)輸出環境整備推進事業【令和4年度当初予算:16.7億円】
農林水産物・食品の更なる輸出拡大を図るため、農林水産物・食品輸出本部の下、畜水産物モニタリング検査、インポートトレランス申請、国際的認証取得・更新などの輸出に取り組む事業者による輸出環境課題の解決に向けた取組等を支援した。
(9)地理的表示保護・活用総合推進事業【令和4年度当初予算:1.3億円】
地理的表示(GI)保護制度の活用促進や輸出拡大のため、GI登録申請から登録後のフォローアップまでの一貫したサポート体制の構築、販路拡大等のための活動に対する支援、国内外へ向けたGI産品の情報発信、海外における知的財産の侵害対策強化等の取組を実施した。
(10)水産加工業者向けワンストップ窓口の設置・運営
水産施策や中小企業施策等の各種支援策等が水産加工業者に適切に周知され、かつ有効に活用されるよう、関係道府県に設置したワンストップ窓口において水産加工業者の相談に適切に対応した。
(11)水産バリューチェーン事業【令和4年度当初予算:5.9億円】
生産・加工・流通・販売が連携しマーケットニーズに応えるバリューチェーンの構築を支援するとともに、加工原料の安定供給を図る取組や加工・流通業者等が加工原料を新たな魚種に転換する取組、産地の水産加工業の中核的人材育成等の取組等を支援した。
(12)株式会社日本政策金融公庫による各種融資【財政投融資】
〔1〕特定農産加工業者の経営改善
〔2〕特定農林畜水産物の新規用途又は加工原材料用新品種の採用の推進
〔3〕食品等製造業者等と農林漁業者等の安定取引関係構築及び農林漁業施設の整備等
〔4〕食品の製造又は加工を営む者に対するHACCP導入等のための体制、施設、設備の整備等
〔5〕水産加工業の体質強化
〔6〕農業生産関連事業の事業再編等
〔7〕農林水産物及び食品の輸出促進
のために、農林水産事業者及び食品産業事業者に対して、融資を行った。
2.研究開発等横断的分野等における支援
「知」の集積と活用の場によるイノベーションの創出【令和4年度当初予算:39.7億円の内数】
農林水産・食品分野におけるイノベーションを創出するため、様々な分野の多様な知識・技術等を結集し、スマート農業技術等の研究開発を重点的に推進する提案公募型研究を実施した。また、農林水産・食品分野において新たなビジネスを創出するため、フードテック等の新たな技術シーズを基に事業化を目指すスタートアップ等への支援を実施した。
第2節 中小運輸業対策
1.倉庫業への支援
経済・社会環境の変化の中で高度化・多様化する物流ニーズやトラックドライバー不足に対応することを目的とし、物流の省力化・効率化を図るため、物流総合効率化法により輸送機能と保管機能が連携した倉庫の整備や物流DX関連機器の導入を促進した。
また、倉庫の脱フロン及び低炭素化を促進するため、省エネ型自然冷媒機器や自立型ゼロエネルギー倉庫モデルの導入を促進した。
2.内航海運・国内旅客船事業対策【財政投融資】
鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度により、内航海運のグリーン化に資する船舶や離島航路の維持・活性化に資する船舶といった政策的意義の高い船舶の建造を促進した。
3.中小造船業・舶用工業対策
(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組んだほか、経営技術に関する講習を実施した。
(2)海事産業強化法に基づき、造船・舶用事業者が生産性向上や事業再編等に取り組む事業基盤強化計画の認定を進め長期・低利融資(ツーステップローン)、事業再編に係る登録免許税の軽減、共有建造制度の拡充等の支援措置等も活用しながら造船業の事業基盤強化に取り組んだ。【財政投融資・税制】
(3)造船業・舶用工業全体の生産性向上を図るため、サプライチェーンにおける造船プロセスの最適化に資する実証事業に取り組んだ。【令和4年度当初予算:1.0億円の内数、令和3年度補正予算:1.0億円の内数】
(4)中小企業等経営強化法に基づき、中小造船業・舶用工業の生産性向上を図るため、国土交通省が定めた「船舶産業分野に係る経営力向上に関する指針」に沿って中小企業・小規模事業者が策定した経営力向上計画の認定を行い、税制措置等により設備投資等を促進した。【税制】
(5)産学官で構成される地方協議会において、中小造船業・舶用工業の業界への理解熟成や関心を高める取組として、工業高校の生徒のインターンシップの調整や、小中学生等を対象とした施設見学会を実施した。加えて、外国人造船就労者受入事業の適正な運営を図るとともに、特定技能制度について、適切な制度運用に努めた。【令和4年度当初予算:0.7億円の内数】
(6)開発・設計、建造から運航・メンテナンスまでの船舶のライフサイクル全体を効率化する「DX造船所」へとビジネスモデルの転換を促すため、造船所における実証を実施した。【令和4年度当初予算:1.5億円の内数】
第3節 中小建設・不動産業対策
1.地域建設産業の生産性向上・持続性確保支援事業【令和4年度当初予算:0.1億円】
建設産業の大宗を占める中小中堅企業では、経営者の高齢化に伴う持続性の確保や投資余力や人材が限られる中での生産性向上が課題である。本事業では、新型コロナウイルス感染症を契機とした非接触化や省人化といった新技術導入による生産性向上及び企業活動の持続性確保を図るために、ICT技術活用や事業承継に係る現状・課題の把握、専門家によるコンサルティングのほか、事例集等を通じたノウハウの横展開と普及啓発を実施した。
2.建設業における金融支援の実施
(1)地域建設業経営強化融資制度の実施
元請建設企業の資金調達の円滑化を図るため、中小・中堅元請建設企業が工事請負代金債権を担保に、融資事業者(事業協同組合等)から工事の出来高に応じて融資を受けることを可能とする「地域建設業経営強化融資制度」を実施した。なお、本制度では、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。
(2)下請債権保全支援事業の拡充・実施
下請建設企業等の債権保全や資金繰りの改善を図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する「下請債権保全支援事業」について、2022年12月1日から、金額が確定している個別債権の買取も対象とするよう制度を拡充した。なお、本事業では、ファクタリング会社に対して一定の損失補償を実施し、下請建設企業等が負担する保証料(買取料)について助成を行っている。
3.建設業の海外展開支援【令和4年度当初予算:0.7億円の内数】
我が国の中堅・中小建設企業の海外市場への進出を促進するため、海外へ事業展開する際に考慮すべき事項等をセミナーを通じて情報提供するとともに事業計画の策定を支援。また、各種専門家による相談窓口を設置し中堅・中小建設企業からの海外進出に係る様々な相談に応じた。さらに、海外訪問団をベトナム(ハノイ・ホーチミン)、インドネシアへ派遣し現地視察・ビジネスマッチング・ジョブマッチング・建設技術セミナー等を実施し、対象国への技術の売込みや現地関係者とのコネクション構築、現地高度人材採用を支援した。加えて、高度外国人材の採用・育成を支援するためのセミナーや、国際建設契約に関するセミナーを開催した。
4.中小不動産業者に対する金融措置
中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施した。
5.地域型住宅グリーン化事業【令和4年度当初予算:200億円の内数】
地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅(ZEH等)の整備に対して支援を行った。
6.木造住宅・都市木造建築物における生産体制整備事業【令和4年度当初予算:5.0億円の内数】
木造住宅の担い手である大工技能者の減少・高齢化が進む中、木造住宅や都市部における非住宅や中高層の木造建築物(都市木造建築物)の生産体制の整備を図るため、民間団体等が行う大工技能者の確保・育成の取組等に対する支援を行った。
第4節 生活衛生関係営業対策
1.生活衛生営業対策【令和4年度当初予算:11.6億円】
理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施した。また、委託事業として、生活衛生関係営業のデジタル化を推進するため、業種に応じた研修やモデル事業、地域における相談員の育成等を実施した。
2.生活衛生関係営業に関する貸付【令和4年度当初予算:33.7億円の内数】
生活衛生関係営業の衛生水準の維持向上を図るため、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)の融資により生活衛生関係営業者への資金繰り支援を行っている。2022年度は、生活衛生関係営業者の円滑な創業支援を目的とした創業者向け融資制度の拡充(東京圏から過疎化が進行する地域にUターン等し、創業する生活衛生関係営業者への利率引下げ等)や、新型コロナウイルス感染症の影響により、業況悪化を来している生活衛生関係営業者への資金繰り支援を継続して行った。また、物価高騰等の影響により、業況悪化を来している生活衛生関係営業者への資金繰りを強力に支援するため、日本政策金融公庫による「セーフティネット貸付」の金利引下げ措置に必要な財政支援を行った。