付注1-1-1 円安が10%進んだことによる各産業への短期的な影響の試算方法

各効果の算出式については下記の通りである。なお、それぞれの価格変動分については、付加価値比で表示している。

【輸入品価格の変化率について】

輸入品価格の変化率においては、ドル建て取引による為替レートの変化率が、産業連関表の各部門の製品の価格に及ぼす影響として、「ドル建て為替レートの変化率×ドル建て取引の比率×部門別の輸入品中間投入比率」によって算出している。

輸入品中間投入比率については、2015年基本表の非競争型輸入表の輸入品中間投入比率を、競争型取引額表の2015年と2019年の中間投入比率の変化率で調整している。

【輸入価格の国内生産価格への波及効果について】

ドル建て取引分の輸入品価格の変化による各部門の製造品(サービスを含む)の価格変化率×逆行列係数により、ドル建て取引の輸入品の価格変動による各部門の生産物(製品+サービス)の価格の影響(変化率)を計算。これを生産コスト増減の全体分としている。

このうち、為替レートによる直接の生産コスト変化分を「直接効果」とし、生産コスト増減の全体分から直接効果分を差し引いたものを「間接効果」としている。

為替レートが変化することによる国産品の「生産者価格」への波及効果について、下記の方程式により算出。

ΔPd=(I-A'd-1・A'im・ΔPim

ΔPd:国産品価格の変化率ベクトル、

A'd:国産品の投入係数行列

A'im:輸入品投入係数行列

Δpim:輸入品価格の変化率ベクトル

【輸出価格への影響について】

海外市場規模が変わらないことを前提に、為替レートが10%変化した場合のドル建て取引分の輸出価格の減少分が需要量を増加させ、その金額分の輸出額を増加させるとして、付加価値に対する増額分として算出。

具体的には、輸出額×為替レート変化率×ドル建て取引変化率/付加価値で計算している。

【海外直接投資収益への影響】

財務省、日本銀行「業種別・地域別直接投資(平成31(令和元)年)」における業種別直接投資収益について、10%分の価格を海外直接投資収益上昇率としている。

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