第2章 成長分野等への挑戦に向けた投資の促進
第1節 事業再構築の後押し
1.(再掲)中小企業等事業再構築促進事業【令和4年度補正予算:5,800億円】
第2節 生産性向上・技術力の強化
1.中小企業生産性革命推進事業【令和4年度補正予算:2,000億円の内数】
働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など相次ぐ制度変更等に対応するため、中小企業基盤整備機構が複数年にわたり中小企業の生産性向上を継続的に支援する。
具体的には、設備導入、IT 導入、販路開拓、事業承継への支援を一体的かつ機動的に実施するとともに、グリーン分野への投資加速化、大胆な賃上げ、インボイスへの対応を支援する。先進事例を収集し、各種支援策とともに幅広く情報発信を行う。加えて、制度変更に係る相談対応や国内外の事業拡大等に係る専門家支援等のハンズオン支援を行う。
2.成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)【令和5年度当初予算:132.8億円】
中小企業等が行う、特定ものづくり基盤技術及びIoT、AI等の先端技術を活用した高度なサービスに関する研究開発や試作品開発等の取組を支援する。
3.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【令和5年度当初予算:産業技術総合研究所運営費交付金618.0億円の内数】
産総研の技術シーズと中小企業等のニーズを橋渡しするコーディネータにより、適切な専門家を紹介し、自社だけでは研究できないテーマについては、受託研究や共同研究などを実施する。
4.医工連携イノベーション推進事業【令和5年度当初予算:19.0億円】
ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、開発・事業化事業において、医療機器研究開発の採択を行う予定。
また、開発資金支援だけではなく、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目ない支援として、専門家による助言(伴走コンサル)も実施し、事業化を加速させるための取組を行う。
また、2023年度より、地域の特色を活かした独自性のある拠点整備を進めるとともに事業化人材を中心とした企業等への支援を行うため、地域における医療機器開発エコシステムの構築を目的とする地域連携拠点自立化推進事業の中でより医療機器開発に特化した、「医療機器実用化支援タイプ」の採択を行う予定。
5.SBIR制度に基づく支援
指定補助金等ではスタートアップ企業等によるイノベーションの促進に向けて、公募・執行に関する各省庁統一的な運用や、段階的に選抜しながらの連続的支援を実施する。また、新産業の創出につながる新技術開発のための特定新技術補助金等を指定するほか、支出の目標額等の方針の策定により、国の研究開発予算のスタートアップ企業等への提供拡大及び技術開発成果の事業化を図る。
6.中小企業等経営強化法(経営力向上計画)
特定事業者等が、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した経営力向上計画を策定し、認定された事業者に対し、税制面や中小企業者に対する株式会社日本政策金融公庫の融資制度等の金融面の支援を講じる。また、経営力向上計画の電子申請を普及する。
7.中小企業経営強化税制【税制】
中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置を講じる。なお、令和5年度税制改正において、その適用期限を2年延長することとされた。
8.先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例【税制】
市町村が定める「導入促進基本計画」等に基づき認定を受けた先端設備等導入計画に従って取得した先端設備等に係る固定資産税について、新たに課税される年から3年間に限り、課税標準を2分の1とする措置を講じる。(適用期間:令和5年4月1日~令和7年3月31日まで)
加えて、雇用者給与等支給額を1.5%以上増加させる方針を従業員に表明した場合は、令和6年3月末までに取得した設備は新たに課税される年から5年間、令和7年3月末までに取得した設備は新たに課税される年から4年間に限り、課税標準を3分の1とする。
9.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】
中小企業の積極的な研究開発を促進する観点から、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「中小企業技術基盤強化税制」において、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を適用する(大企業は一般型で1%~14%)とともに、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合又は試験研究費の増加割合が12%を超える場合に控除上限を上乗せする措置を講じる。また、スタートアップとの共同研究や高度研究人材等の活用を促進するため、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の額に係る税額控除制度については対象の拡大等を行う。
第3節 グリーン化・デジタル化への対応の促進
1.地域デジタル人材育成・確保推進事業【令和5年度当初予算:15億円の内数】
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を支える人材を育成するため、デジタル人材育成プラットフォームにおいて、基礎的なデジタルスキルを学べる教育コンテンツを整備するとともに、企業データに基づく実践的なケーススタディ教育プログラムや、地域企業と協働したオンライン研修プログラムを実施し、2026年度までに、地域企業のDXを進められる人材を1,300人育成することを目指す。
2.地域DX促進環境整備事業(地域DX支援活動型)【令和5年度当初予算:15億円の内数】
地域ぐるみで企業のDXを促進するため、幅広い業種の企業に対し、産学官金が参画する支援コミュニティが行う、DX戦略策定に向けた伴走型支援やマッチング等の実施を支援する。
3.地域DX促進環境整備事業(業種等特化型DX促進事業(地域DX支援活動型))【令和4年度補正予算:112.8億円の内数】
地域の主力産業が抱える課題に精通した産学官金の専門家による地域企業への課題分析・DX戦略策定・サイバーセキュリティ対策の伴走型支援の実施を支援する。
4.地域DX促進環境整備事業(地域デジタルイノベーション実証型)【令和5年度当初予算:15億円の内数】
地域の特性や強みとデジタル技術を掛け合わせ、地域企業等が行う新事業創出の実証事業を支援する。
5.地域DX促進環境整備事業(業種等特化型DX促進事業(地域デジタルイノベーション実証型))【令和4年度補正予算:112.8億円の内数】
創出される波及効果がより広範に及ぶ地域のサプライチェーン等に着目し、多数の地域企業等が連携した実証プロジェクトの創出を支援する。
6.(再掲)中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業【令和5年度当初予算:2.0億円】
7.IT活用促進資金【財政投融資】
株式会社日本政策金融公庫による融資を引き続き実施し、令和5年度からは、設備資金のうち、無形固定資産又は繰延資産に計上される資産を資金使途とする場合であって、担保を徴しない場合、0.5%を控除する措置を新たに実施する。
8.新規輸出1万者支援プログラム
これから輸出を考え始める人から、既に輸出をしている人まで、海外に関する全ての相談を受け、経済産業省、中小企業庁、JETRO及び中小企業基盤整備機構が一体となり、中堅・中小企業、地域企業の新規輸出の取組への支援を一気通貫で支援する。
本プログラムのポータルサイトをJETROに設置しており、ポータルサイトへの登録後、専門家が個別に現況についてカウンセリングを実施し、輸出の実現に向け、支援事業等の紹介など段階に応じて最適な方法をナビゲートする。
9.現地ニーズ等活用促進事業【令和5年度当初予算:35.0億円の内数】
海外ビジネスに直結するニーズや最新のトレンド情報を、JETROを通じて、現地のディストリビューターやマーケティング会社等から直接入手し、これらを中小企業が扱いやすい形に加工・編集した上で即座に情報提供することで、優れた商品やサービスを持つ国内中小企業の効果的な海外市場開拓を後押しする。
10.中小企業海外ビジネス人材育成塾【令和5年度当初予算:35.0億円の内数】
中小企業の海外ビジネス担当者を対象に、座学学習に加え、グループワークを通じた課題解決の実践や商談スキルの習得等ができるプログラムを提供する。
11.技術協力活用型・新興国市場開拓事業【令和5年度当初予算:39.1億円】
我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下の事業を実施する。
〔1〕海外進出先での事業を担う現地人材の育成のため、日本企業による日本国内での受入研修、現地への専門家派遣、海外高等教育機関での寄附講座開設等の取組への補助を行う。
〔2〕海外展開等を目指す日本企業における高度外国人材の活用を進めるため、海外学生等のインターンシップ受入れ機会を提供する。
〔3〕中堅・中小企業等が新興国の企業・大学等と共同で進める現地の社会課題の解決のための製品・サービスの開発や現地事業創出支援等への補助を行う。
12.安全保障貿易管理の支援【令和5年度当初予算:16.8億円の内数】
外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性を向上させるため、企業の大多数を占める中小企業を対象に輸出管理の普及・啓発及び管理体制構築を支援する。中小企業等を対象とした安全保障貿易管理に係る説明会及び相談会を開催し、専門家による輸出管理体制構築支援を行うとともに、2022年度までの間に支援した中小企業等に対してその後の運用状況の確認、アドバイス等のフォローアップ支援を実施する。
また、日本商工会議所及び商工会議所と連携し、東京・名古屋・大阪の各商工会議所に輸出管理の専門相談窓口を配置する。
13.海外サプライチェーン多元化支援事業【令和4年度補正予算:116.7億円】
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高く、サプライチェーンの途絶によるリスクが大きい重要な製品・部素材等の日本企業による海外生産拠点の多元化や高度化に向けた設備導入等の支援を実施する。
14.新輸出大国コンソーシアム【令和5年度当初予算:265.7億円の内数】
JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野の専門家を確保し、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで、総合的に支援する。
15.越境EC等利活用促進事業【令和5年度当初予算:265.7億円の内数】
海外の主要ECサイトに「ジャパンモール」を設置し、日本商品の販売促進を実施するとともに、自ら越境ECでの販売を目指す中堅・中小企業を支援する越境EC出品支援事業を拡大する。
16.Japan Innovation Bridge(J-Bridge)事業【令和5年度当初予算:266億円の内数】
JETROが運営するビジネスプラットフォーム「Japan Innovation Bridge(J-Bridge)」を通じて、スタートアップを含む外国企業との協業・連携による、ビジネス開発や新規事業創出を目指す日本企業を支援する。具体的には、国内外JETRO事務所とコーディネーターが連携し、有望な海外スタートアップ企業等の協業先発掘や面談アレンジ、専門的助言、各種イベント等を実施する。
17.中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業【令和5年度当初予算:2.4億円】
中堅・中小企業の輸出を支援する民間事業者による新たなビジネスモデルについて、有望な事例を公募し、EC サイト構築費、プロモーション経費、商談会経費等について実証的に支援する。
18.現地進出支援強化事業【令和5年度当初予算:35.0億円】
中小企業等に対して、情報提供、海外展示会や商談会等を通じた販路拡大支援、商談後のフォローアップ、現地進出後の事業安定・拡大支援(プラットフォーム事業)、海外ビジネス人材の育成等、段階に応じた支援を提供し、輸出、海外進出、またそれらを発展させるまで一貫して支援する。また、中小企業等が多く進出している国の税制、執行実務、課税問題等について、セミナーやワークショップの実施等により情報提供を行うことで、海外展開を行う中小企業等の税務に係る体制整備の支援に取り組む。
19.JICA海外協力隊(民間連携)の活用及び帰国隊員とのマッチング【令和5年度当初予算:1,503億円の内数】
グローバルな視野や素養を備える企業が社員を育成するためJICA海外協力隊として途上国に派遣するJICAの民間連携制度を周知し、活用を促進することで、企業の海外展開等を支援する。また、国際キャリア総合情報サイトでの求人情報等の掲載や交流会の開催等を通じて、帰国したJICA海外協力隊員と途上国を熟知した人材の採用を希望する企業とのマッチング支援を行う。
20.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【令和5年度当初予算:1,634億円の内数】
途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業等の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業等の製品に対する認知度の向上等を図るもの。
21.中堅・中小企業向け海外安全対策啓発【令和5年度当初予算:0.5億円の内数】
世界的な水際措置の緩和に伴い国際的な人の往来が活発化する中、中堅・中小企業関係者に、「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」、「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」、デジタル広告、セミナー等を通じ、テロ・誘拐対策を含む海外安全に関する情報提供・啓発を行う。対面式のセミナーや訓練も拡大し、より実践的な安全対策を身に付けられるよう支援する。また、LINEやメールマガジンに加え、更に多様な媒体を活用し海外安全情報がより多くの中堅・中小企業関係者の目に直接触れるよう努める。
22.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置
中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)が代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じる。
23.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)
株式会社日本政策金融公庫やJETRO等が全国で主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行う。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険を中心に、分かりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、引き続き貿易保険の一層の理解と普及に努める。
24.貿易保険へのアクセス改善
中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、2011年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足。提携機関は年々拡大し、また、2016年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、全国110金融機関によるネットワークを構築(2023年2月現在)。引き続きネットワークを通じた海外展開支援の拡大を図る。
2022年12月に株式会社日本政策金融公庫および中小企業基盤整備機構と三者で構築した「海外ビジネス支援パッケージ」の推進。沖縄県貿易協会と業務協力に関する覚書の締結を通じた沖縄県企業の貿易保険利用促進。
25.民間損保企業との協業による海外投資保険の提供(NEXI再保険スキーム)
中堅・中小企業の海外展開を支援するため、貿易保険法の施行令を2019年7月に改正し、NEXIが、民間損保企業から海外投資保険の再保険を引き受けることを可能とした。大手損保企業を中心に、同年8月以降、全国の損保代理店を通じ、海外投資保険を提供。
協業先である民間損保企業と共に、本スキームに関する知名度向上のための更なる情報発信を行い、一層の利用拡大に努める。
26.海外展開・事業再編資金【財政投融資】
株式会社日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)を通じて、経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、もしくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するための融資に加え、中小企業の海外子会社に対する直接融資の特例(クロスボーダーローン)による必要な融資を実施する。
27.JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業
中小企業等が有する優れた技術や製品、アイディアを用いて、途上国が抱える課題の解決と企業の海外展開、ひいては各地の地域活性化も兼ねて実現することを目指すもの。
中小企業等にとって、より使いやすい制度とするため、2022年度に制度改編をおこない、従前の「普及・実証・ビジネス化事業」に加え、「ニーズ確認調査」及び「ビジネス化実証事業」の募集を開始した。