第3章 生産性向上による成長促進

第1節 生産性向上・技術力の強化

1.中小企業生産性革命推進事業【令和3年度補正予算:2,001億円】

働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など相次ぐ制度変更等に対応するため、中小企業基盤整備機構が複数年にわたり中小企業の生産性向上を継続的に支援した。

具体的には、〔1〕設備導入、IT 導入、販路開拓、事業承継・引継ぎ等への支援を一体的かつ機動的に実施するとともに、〔2〕先進事例を収集し、各種支援策とともに幅広く情報発信を行った。加えて、〔3〕制度変更にかかる相談対応や国内外の事業拡大等にかかる専門家支援等のハンズオン支援を行った。

2.成長型中小企業等研究開発支援事業【令和4年度当初予算:104.9億円】

令和4年度に事業名称を改め、「戦略的基盤技術高度化・連携支援事業」から「成長型中小企業等研究開発支援事業」として、特定ものづくり基盤技術及びIoT、AI等の先端技術を活用した高度なサービスに関する研究開発や試作品開発等の取組を支援した。また、「出資獲得枠」を創設し、民間ファンド等から出資を受ける予定がある研究開発等を行う場合には補助上限額を引き上げる措置を講じた。

3.(再掲)ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業【令和4年度当初予算:10.2億円】

4.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【令和4年度当初予算:産業技術総合研究所運営費交付金620.6億円の内数】

産総研の技術シーズと企業等のニーズを橋渡しするコーディネータを189名配置(2023年1月時点)。中小企業等を支援するコーディネータにより、適切な専門家を紹介し、自社だけでは研究できないテーマについては、受託研究や共同研究などを実施した。

5.医工連携イノベーション推進事業【令和4年度当初予算:19.2億円】

ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、開発・事業化事業において本年度は9件の採択を行い、その内プログラム医療機器は2件の採択を行った。

開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目なく支援するため、専門家による助言(伴走コンサル)も実施し、事業化を加速させた結果、本事業の支援を受けて上市した製品は、累計113製品(約141億円の売上げ)となった。

地域の特色を活かした独自性のある拠点整備を進めるとともに事業化人材を中心とした企業等への支援を行うため、地域連携拠点自立化推進事業において本年度は2拠点を採択した。

6.展示会等のイベント産業高度化推進事業【令和4年度当初予算:2.4億円】

国内展示会の更なる海外需要獲得に向け、中小展示会主催者の取組の支援やデジタル技術等を活用した先進的な展示会の開催を推進することで、国内展示会における新たなビジネスモデルの構築を行った。

7.共創型サービスIT連携支援事業【令和4年度当初予算:2.5億円】

複数の中小サービス事業者及び複数のITベンダー等がコンソーシアムを組成し、サービス業の現場の生産性を向上させるべく、API連携等により複数のITツールを連携・組合せたものを導入するとともに、導入後、機能向上(UIやUXの改善を含む)を行い、パッケージ化・汎用化による業界内他社や他地域への当該ツールの普及に資する案件を重点的に支援した。2022年度の補助事業件数は11件。

8.SBIR制度に基づく支援

指定補助金等ではスタートアップ企業等によるイノベーションの促進に向けて、公募・執行に関する各省庁統一的な運用や、段階的に選抜しながらの連続的支援を実施。また新産業の創出につながる新技術開発のための特定新技術補助金等を指定。支出の目標額等の方針の策定により、国の研究開発予算のスタートアップ企業等への提供拡大及び技術開発成果の事業化を図った。

9.中小企業等経営強化法(経営力向上計画)

経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した経営力向上計画を策定し、認定された事業者に対して、税制面の後押しや日本政策金融公庫の融資制度等の金融面の支援を講じた。

また、経済産業部局宛ての申請は、原則電子化に移行する等、電子申請の普及にも努めた。

10.中小企業経営強化税制【税制】

中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置を講じた。

11.生産性革命のための固定資産税の減免措置【税制】

市区町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小企業者等の先端設備等導入計画に記載された一定の機械・装置等であって、生産、販売活動等の用に直接供されるものに係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする措置を講じた。

12.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業の積極的な研究開発を促進する観点から、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「中小企業技術基盤強化税制」において、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を適用する(大企業は一般型で2%~14%)とともに、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合又は試験研究費の増加割合が9.4%を超える場合に控除上限を上乗せする措置、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の総額に係る税額控除制度等を引き続き講じた。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上げが基準年度と比べ2%以上減少しているにもかかわらず、試験研究費を増加させる場合には税額控除の上限を5%引き上げる措置を引き続き講じた。

第2節 グリーン化・デジタル化への対応の促進

1.(再掲)中小企業生産性革命推進事業【令和3年度補正予算:2,001億円】

2.(再掲)中小企業等事業再構築促進事業【令和4年度予備費:1,000億円、令和3年度補正予算:6,123億円】

3.地域デジタル人材育成・確保推進事業【令和3年度補正予算:13.6億円、令和4年度当初予算:地域未来DX投資促進事業(15.9億円)の内数】

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を支える人材を育成するため、デジタル人材育成プラットフォームにおいて、基礎的なデジタルスキルを学べる教育コンテンツを整備するとともに、企業データに基づく実践的なケーススタディ教育プログラムや、地域企業と協働したオンライン研修プログラムを実施した。

4.(再掲)共創型サービスIT連携支援事業【令和4年度当初予算:2.5億円】

5.地域DX促進活動支援事業【令和4年度当初予算:15.9億円の内数】

地域企業の経営・デジタルに関する専門的知見・ノウハウを補完し、地域ぐるみで地域企業のDXを支援するため、産学官金の関係者が一体となった支援コミュニティを27件採択し、支援コミュニティが実施する課題分析・戦略策定の伴走型支援、ITベンダー等とのマッチング支援等を支援した。

6.地域デジタルイノベーション促進事業【令和4年度当初予算:15.9億円の内数】

地域企業等のDXを推進するため、地域の特性や強みとデジタル技術を掛け合わせ、新たなビジネスモデルの構築に取り組む実証プロジェクト(試作品製作、事業性評価等)を、16件採択し支援した。また、新事業実証等のための環境整備として、経済産業省HP上の公設試保有機器等検索システムを更新するとともに、地域未来牽引企業の経営状況等に関する調査を実施した。

7.デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業(ECサイトセキュリティ対策促進事業)【令和3年度補正予算:12.4億円の内数】

ECサイト改ざんによる個人情報・クレジットカード番号等の流出など、ECサイトを狙ったサイバー攻撃被害の急増を踏まえ、ECサイトのセキュリティの実態を調査し、対策ガイドラインの策定・普及活動を行った。

8.中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業【令和4年度当初予算:3.1億円】

中小企業を含むサプライチェーン全体のサイバーセキュリティ強化のため、主要産業のサプライチェーン上の中小企業に対するサイバー攻撃の実態調査等を実施し、必要な対策の検討や中小企業のサイバーセキュリティ対策の普及啓発を行うとともに、中小企業向けセキュリティサービスの普及を図った。

9.IT活用促進資金【財政投融資】

中小企業の生産性向上に寄与するIT活用を促進するため、日本政策金融公庫による融資を着実に実施した(2022年度の実績は7件、7.45億円(2022年12月末時点))。

第3節 強靱な地域経済と小規模事業者の持続的発展支援

1.新事業創出支援事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業基盤整備機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業等経営強化法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細かな支援を行った。

2.中小企業連携組織支援対策推進事業【令和4年度当初予算:6.0億円】

中小企業組合を支援する専門機関の全国中小企業団体中央会等を通じて、経営革新・改善に取り組む中小企業組合等に対して、その実現化に向けた取組を支援した。さらに、外国人技能実習生受入事業を行う中小企業組合(監理団体)等の事業が適正に行われるように支援を行った。

3.地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業【令和4年度当初予算:4.6億円】

中小商業者等のグループが商店街等において行う、地域住民のニーズに沿った新たな需要を創出する施設等の導入や最適なテナントミックスの実現に向けた実証事業として、地方公共団体と連携し、18地域支援した。

また、地域に外部の専門人材を派遣し、テナントミックスの実現に向けた推進体制の構築や計画策定等を後押しするワークショップを全国16地域で実施するとともに、取組を普及するためのシンポジウムを全国3カ所で開催した。

4.地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【令和4年度当初予算:10.9億円】

ビジネスプランに基づいた経営を推進していくため、地方公共団体が、小規模事業者の経営計画作成や販路開拓等を支援する場合に、国がその支援施策の実行に係る経費の一部を支援(交付決定数:27件)した。

5.小規模事業対策推進等事業【令和4年度当初予算:53.3億円】

小規模事業者支援法第7条に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援(採択数:1,478件)した(伴走型小規模事業者支援推進事業)。また、全国商工会連合会、日本商工会議所が各地の商工会、商工会議所等と連携して行う地域産業の活性化や観光ルート開発など地域の経済活性化に向けた取組を支援した(地域力活用新事業創出支援事業)。さらに、新型コロナウイルスによる影響や働き方改革等の制度改正等による諸課題に対し、小規模事業者が円滑に対応できるよう全国団体を通じて商工会・商工会議所等が窓口相談・巡回指導や講習会等を行うための専門家派遣を行った(制度改正等の課題解決環境整備事業)。

6.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、中小企業基盤整備機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行った。2023年1月末時点で、235件の相談対応を実施した。

7.中小企業アドバイザー(中心市街地活性化)派遣事業(旧中心市街地経済活性化アドバイザー派遣事業)【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が抱える様々な課題に対応するため、中小機構に登録された経済活性化に関する各分野の専門家を派遣した。2023年1月末時点で、6地域に専門家を派遣した。

8.中心市街地経済活性化診断・サポート事業(旧中心市街地商業活性化診断・サポート事業)【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における経済活性化の取組を支援するため、中小機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行った。2023年1月末時点で、10地域でセミナーを開催し、75地域へ助言等を実施した。

9.地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業【令和4年度当初予算:6.5億円の内数】

地域・社会課題を地域で持続的に解決していくため、地域内外の中小企業等が地域内の関係主体と連携しつつ、5地域以上で共通する課題の解決と収益性との両立を目指す取組を19件支援した。また、地域で持続的に課題解決を行うため、地方公共団体の課題を整理し、明確化するとともに、地方公共団体と課題解決に取り組む中小企業やデザイン人材等とのマッチング事業を7件実施した。

10.(再掲)ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【令和4年度当初予算:5.0億円の内数】

11.(再掲)ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業【令和4年度当初予算:10.2億円】

12.海外展開のための支援事業者活用促進事業(JAPANブランド育成支援等事業)【令和4年度当初予算:5.5億円の内数】

中小企業者等が海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を行う場合に、その経費の一部を補助した。その際、海外展開においては現地のマーケットに関する知見やネットワークを持つ支援機関・支援事業者を活用しながら事業を実施することが極めて重要であることから、経済産業省が有力な支援機関・支援事業者を「支援パートナー」として選出・公表し、中小企業と支援パートナーとの出会いの場を創出した。

13.各種展示会や商談会等による販路開拓支援【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小企業基盤整備機構を通じて、展示会や商談会等の開催を行い、販路開拓・拡大を支援した。

14.販路開拓コーディネート事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、マーケティング企画から首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手掛かりをつかむとともに、販路開拓の力をつけることを中小企業基盤整備機構に配置されている商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家が支援した。

15.J-GoodTech【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業基盤整備機構を通じて、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。

16.(再掲)地域DX促進活動支援事業【令和4年度当初予算:15.9億円の内数】

17.(再掲)地域デジタルイノベーション促進事業【令和4年度当初予算:15.9億円の内数】

18.観光産業等生産性向上資金【財政投融資】

観光産業等の生産性向上及び観光消費の底上げを通じた日本経済の活性化を図るため、中小企業に対して日本政策金融公庫が必要な資金の貸付けを行った。

19.企業活力強化資金(流通・サービス業関連)【財政投融資】

中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化並びに空き店舗等の解消を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行った。2022年12月末時点で、1,686件支援した。

20.小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【財政投融資】

小規模事業者を金融面から支援するため、商工会、商工会議所、都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人・低利で融資を行った。(2022年度の実績は、20,090件、1,157億円(2022年12月末時点))。

21.小規模事業者支援法による経営発達支援計画の認定

小規模事業者支援法第7条に基づき商工会・商工会議所が関係市町村と共同して、小規模事業者の技術の向上、新たな事業分野の開拓、その他の小規模事業者の経営の発達に資する計画を作成し、経済産業大臣が認定する。2021年度(第9回)において、442計画(515単会、482市町村)の認定を行った。

22.地域商店街の活性化に向けた総合的支援

地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じた。

23.全国商店街支援センターによる人材育成等

中小企業関係4団体が共同で設立した「全国商店街支援センター」において、人材育成、ノウハウ提供等の支援を行った。2023年1月末時点で、89件支援した。

24.地域経済を牽引する企業に対する集中的な支援

地域未来投資促進法に基づき都道府県が承認する地域経済牽引事業計画について、2022年12月までに3,633計画が承認され、これらの計画に係る地域の特性を生かして地域経済を牽引する事業に対し、税制措置・金融措置・規制緩和・予算措置等による支援を行った。また、地域経済の中心的な担い手となりうる「地域未来牽引企業」に対して、予算措置等により販路開拓や設備投資等を集中的に支援した。

25.中心市街地活性化のための税制措置【税制】

中心市街地活性化法による認定を受けた「特定民間中心市街地経済活力向上事業計画」に基づいて行われる不動産の取得等に対し、その不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を軽減する措置を講じた。

26.地方拠点強化税制【税制】

地方における雇用創出のため、企業の本社機能(事務所、研究所、研修所)を東京23区から地方へ移転する場合や地方において拡充をする場合に、税制上の措置を引き続き講じた。具体的には、計画の認定を受けた企業のオフィス等に係る建物等の取得等について、取得価額の15%(移転型事業の場合、25%)の特別償却若しくは取得価額の4%(移転型事業の場合、7%)の税額控除の選択適用又はその地方拠点における雇用者数の増加に応じた税額控除を講じる措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税による減収補塡措置等を講じた。令和4年度税制改正では、本税制の適用期限を2年間延長するとともに、税制の適用対象となる事業部門に「情報サービス事業部門」を追加するなどの拡充を行った。

第4節 海外展開支援

1.海外展開のための支援事業者活用促進事業(現地ニーズ等活用促進事業)【令和4年度当初予算:5.5億円の内数】

海外ビジネスに直結するニーズや最新のトレンド情報を、JETROを通じて、現地のディストリビューターやマーケティング会社等から直接入手し、これらを中小企業が扱いやすい形に加工・編集した上で即座に情報提供することで、優れた商品やサービスを持つ国内中小企業の効果的な海外市場開拓を後押しした。

2.デジタルツール等を活用した海外需要拡大事業【令和3年度補正予算:12.4億円の内数】

中小企業者等が、越境EC(電子商取引)を活用した海外需要の取り込みを拡大させていくために、それに適したブランディング、プロモーション等の取組を行う際に、その経費の一部を補助した。その際、海外展開におけるブランディングやプロモーション分野で専門知識を持つ支援機関・支援事業者を活用しながら事業を実施することが極めて重要であることから、経済産業省が有力な支援機関・支援事業者を「支援パートナー」又は「クリエイティブパートナー」として選出・公表し、中小企業との出会いの場を創出した。

3.中小企業海外ビジネス人材育成支援事業(中小企業・小規模事業者人材対策事業)【令和4年度当初予算:8.4億円の内数】

中小企業の海外ビジネス担当者を対象に、座学学習に加え、グループワークを通じた課題解決の実践等ができるプログラムを提供した。加えて、非対面・遠隔での商談形態が浸透していることを踏まえ、こうした商談の成立において重要となる、資料作成やプレゼンテーション、会議運営等の技術の習得を支援した。

4.技術協力活用型・新興国市場開拓事業【令和4年度当初予算:40.7億円】

我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下の事業を実施。

〔1〕海外進出先での事業を担う現地人材の育成のため、日本企業による日本国内での受入研修、現地への専門家派遣、海外高等教育機関での寄附講座開設等の取組への補助を行う。

〔2〕海外展開等を目指す日本企業における高度外国人材の活用を進めるため、海外学生等のインターンシップ受入れ機会を提供する。

〔3〕中堅・中小企業等が新興国の企業・大学等と共同で進める現地の社会課題の解決のための製品・サービスの開発や現地事業創出支援等への補助を行う。

5.安全保障貿易管理の支援【令和4年度当初予算:18.5億円の内数】

外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性を向上させるため、企業の大多数を占める中小企業を対象に輸出管理の普及・啓発及び輸出管理体制構築を支援した。2023年1月までに、中小企業等を対象とした安全保障貿易管理に係る説明会を47回(内訳:集合形式8回、オンライン形式39回)開催するとともに、個別相談会を49社に対し実施した。専門家による輸出管理体制構築支援を前年度からの継続も含め78社に対し実施し、以前に支援した中小企業等に対しては、その後の状況調査、フォローアップを実施した。また、日本商工会議所及び商工会議所と連携し、東京・名古屋・大阪の各商工会議所に輸出管理の専門相談窓口を配置した。

6.海外サプライチェーン多元化支援事業【令和2年度3次補正予算:116.7億円】

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、我が国サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高く、サプライチェーンの途絶によるリスクが大きい重要な製品・部素材等の日本企業による海外生産拠点の多元化や高度化に向けた設備導入の支援を実施した。

7.(再掲)海外展開のための支援事業者活用促進事業(JAPANブランド育成支援等事業)【令和4年度当初予算:5.5億円の内数】

8.新輸出大国コンソーシアム【令和4年度当初予算:255.0億円の内数】

JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野における314名の専門家を確保(令和5年2月13日時点)し、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで、総合的な支援をきめ細かに実施した。

9.越境EC等利活用促進事業【令和4年度当初予算:255.0億円の内数】

JETROが60以上の海外主要ECサイトに日本商品特設サイト「ジャパンモール」を設置し、約2,000社の販売支援を実施するとともに、米国等のアマゾンへの出品プログラム「ジャパンストア」において、約1,000社の出品支援を行った。

10.Japan Innovation Bridge(J-Bridge)事業【令和4年度当初予算:255億円の内数】

JETROが運営する国内外企業の協業促進のためのビジネスプラットフォーム「J-Bridge」を通じて、国内外で、令和4年4月~12月の間に、ウェビナー、ピッチイベント等を80回開催するとともに、J-Bridge会員に対して、外国企業の発掘・面談アレンジ、専門家による助言等の支援を260件以上行い、複数の協業事例が生まれている。J-Bridge会員企業は令和4年12月末時点で900社以上(うち約3割が中堅・中小企業)。令和4年4月にはアフリカ地域でサービスを開始。TICAD8の機会を捉えローンチイベントを実施したほか、ピッチイベント等を複数回実施(上記実績にはアフリカ地域の実績が含まれる)。

11.中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業【令和4年度当初予算:2.5億円】

中堅・中小企業の自律的な輸出拡大を目指し、物流効率化に資するモデルや、BtoCプラットフォームの先進的なモデルなど10の新たなビジネスモデルの実証を支援した。

12.現地進出支援強化事業【令和4年度当初予算:13.3億円】

中小企業等に対して、情報提供、海外展示会やオンライン商談会等を通じた販路拡大支援、商談後のフォローアップ、現地進出後の事業安定・拡大支援(プラットフォーム事業)など、海外展開の段階に応じた支援を提供し、支援のオンライン化を図りながら国内外でシームレスに実施した。また、中小企業等が多く進出している国の税制等について、セミナーやワークショップの実施等により、海外展開を行う中小企業等の税務に係る体制整備を支援した。

13.中堅・中小企業の海外展開等を通じた地域活性化支援事業【令和4年度当初予算:11.4億円の内数】

RCEP協定の発効や先進国地域等のワクチン接種の進展による消費の回復を捉えて、中堅・中小企業の海外展開を推進するため、以下の支援を行った。

・海外主要ECサイトにおける「ジャパンモール」の設置拡充、デジタルを活用した優良バイヤーの発掘などによる販路開拓支援

・「新輸出大国コンソーシアム」による海外展開計画の策定・商談等の支援

・農林水産物・食品についてマーケティング調査や試飲会・試食会等のプロモーションの実施

・EPA利活用促進のための情報提供・相談体制の強化

・EPA関連手続きを簡素化するツール開発に係る実証支援

14.JICA海外協力隊(民間連携)の活用及び帰国隊員とのマッチング【令和4年度当初予算:1,501億円の内数】

国際協力機構(以下「JICA」という)においては、新型コロナ禍で中断していた、各企業のニーズに合わせ、社員をJICA海外協力隊として途上国に派遣する民間連携制度の活用を再開し、グローバル社会で活躍できる人材育成に努めるべく、隊員の派遣や案件形成を行った。また、帰国したJICA海外協力隊員と途上国を熟知した人材の採用を希望する企業とのマッチング支援として、国際キャリア総合情報サイトにおける求人情報等の掲載や企業と帰国隊員の交流会等をオンラインで行った。

15.JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業【令和4年度当初予算:1,501億円の内数】

中小企業等が有する優れた技術や製品、アイディアを用いて、途上国が抱える課題の解決と企業の海外展開、ひいては各地の地域経済活性化も兼ねて実現することを目指すもの。

中小企業等にとってより使いやすい制度とするため、2022年度に制度改編を実施し、既存の「普及・実証・ビジネス化事業」に加え、「ニーズ確認調査」及び「ビジネス化実証事業」を新設し、それら事業を通じ、途上国の開発ニーズと中小企業の製品・技術のマッチングを支援した。

16.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【令和4年度当初予算:1,633億円の内数】

途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業等の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業等の製品に対する認知度の向上等を図るもの。

17.中堅・中小企業向け海外安全対策啓発【令和4年度当初予算:0.5億円の内数】

中堅・中小企業向けに、「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」、「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」、デジタル広告、セミナー、中堅・中小企業関係団体の機関誌への寄稿等を通じ、コロナ禍での安全対策を含む情報提供・啓発を行った。2022年度においては、数年ぶりに対面式のセミナーや訓練も実施し、より実践的な安全対策を身に付けられるよう支援を行った。また、10月からは、LINEサービスでの海外安全情報発信や海外安全便り(メールマガジン)の配信を開始し、様々な媒体を通じて、海外安全情報がより多くの中堅・中小企業関係者の目に直接触れるよう工夫をした。

18.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置

中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)が代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じた。

19.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)

日本政策金融公庫やJETRO等が全国で主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行った。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険を中心に、わかりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、引き続き貿易保険の一層の理解と普及に努めた。

貿易経済協力局通商金融課が全国の経済産業局で実施した改正貿易保険法説明会においては、NEXIが貿易保険商品について紹介を行った。

20.貿易保険へのアクセス改善

中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、2011年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足した。提携機関は年々拡大し、また、2016年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、全国110金融機関によるネットワークを構築している(2023年2月現在)。

日本政策金融公庫および中小企業基盤整備機構と3者で「海外ビジネス支援パッケージ」を構築した。

21.民間損保企業との協業による海外投資保険の提供(NEXI再保険スキーム)

中堅・中小企業の海外展開を支援するため、貿易保険法の施行令を2019年7月に改正し、NEXIが、民間損保企業から海外投資保険の再保険を引き受けることを可能とした。大手損保企業を中心に、同年8月以降、全国の損保代理店を通じ、海外投資保険を提供。

22.海外展開・事業再編資金【財政投融資】

日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)を通じて、経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、もしくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するための融資に加え、中小企業の海外子会社に対する直接融資の特例(クロスボーダーローン)による必要な融資を実施した。

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