トップページ 白書・統計情報 小規模企業白書 2022年版 小規模企業白書(HTML版) 令和3年度において講じた小規模企業施策 第3章 生産性向上による成長促進

第3章 生産性向上による成長促進

第1節 生産性向上・技術力の強化

1.中小企業生産性革命推進事業【令和元年度補正予算:3,600億円の内数】

働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など相次ぐ制度変更等に対応するため、中小企業基盤整備機構が複数年にわたり中小企業の生産性向上を継続的に支援した。

具体的には、〔1〕設備導入、IT導入、販路開拓等への支援を一体的かつ機動的に実施するとともに、〔2〕先進事例を収集し、各種支援策とともに幅広く情報発信を行った。加えて、〔3〕制度変更にかかる相談対応や国内外の事業拡大等にかかる専門家支援等のハンズオン支援を行った。

2.戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【令和3年度当初予算:109億円】

中小企業・小規模事業者が大学、公設試等の研究機関等と連携して行う革新的な研究開発等に関する取組やIT利活用等による新しいサービスモデルの開発等を支援した。(採択件数:戦略的基盤技術高度化支援事業65件、商業・サービス競争力強化連携支援事業13件)

3.ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業【令和3年度当初予算:10.4億円】

複数の中小企業・小規模事業者等が、事業者間でデータ・情報を共有し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトを支援した(2021年度採択者数:41者)。

4.産業技術総合研究所における中堅・中小企業への橋渡しの取組【産業技術総合研究所運営費交付金625.8億円の内数】

産総研の技術シーズと企業等のニーズを橋渡しするコーディネータを203名配置した(2021年12月末時点)。中小企業等を支援するコーディネータにより、適切な専門家を紹介し、自社だけでは研究できないテーマについては、受託研究や共同研究などを実施した。

5.医工連携イノベーション推進事業【令和3年度当初予算:20.8億円】

ものづくり中小企業や医療機関等の連携による医療機器開発を促進するため、開発・事業化事業において本年度は17件の採択を行った。

開発資金支援だけでなく、開発初期段階から事業化に至るまでの切れ目なく支援するため、専門家による助言(伴走コンサル)も実施し、事業化を加速させた結果、本事業の支援を受けて上市した製品は、累計103製品(約131億円の売上げ)となった。

また、2021年度より、地域の特色を活かした独自性のある拠点整備を進めるとともに事業化人材を中心とした企業等への支援を行うため、地域における医療機器開発エコシステムの構築を目的とする「地域連携拠点自立化推進事業」を新たに開始し、2021年度は5拠点を採択した。

6.SBIR制度に基づく支援

中小企業等経営強化法から科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律へSBIR制度の根拠規定を移管したことにより、イノベーション政策として省庁横断の取組を強化するとともに、これまでの特定補助金等を指定補助金等、特定新技術補助金等に改めた。指定補助金等ではスタートアップ企業等によるイノベーションの促進に向けて、公募・執行に関する各省庁統一的な運用や、段階的に選抜しながらの連続的支援を実施、また新産業の創出につながる新技術開発のための特定新技術補助金等を指定、支出の目標額等の方針の策定により、国の研究開発予算のスタートアップ企業等への提供拡大及び技術開発成果の事業化を図ることとした。さらに、技術開発成果の事業化を促進するため、日本政策金融公庫による特別利率による融資等の事業化支援措置をスタートアップ企業等に周知し、利用促進を図った。

7.産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(中小企業政策関連部分)

第204回国会で可決された産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律では、ポストコロナを見据え、中堅企業への成長を促し、海外で競争できる企業を育成するために、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群への支援施策(経営革新計画・経営力向上計画・地域経済牽引事業計画)の拡大、所在不明株主からの株式買取り等の手続きに必要な期間を短縮する特例、下請中小企業振興法の対象取引の拡大、中小企業とともに事業継続力強化に取り組む中堅企業に対する金融支援等の措置を講じた。

8.中小企業等経営強化法

第204回国会で可決された産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律に基づき、規模拡大に資する支援策について、資本金によらない新たな支援対象類型を創設し、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群まで対象を拡大するとともに、経営力向上計画の認定を受けて経営資源集約化に取り組む事業者への支援制度の拡充などの措置を講じた。

また、特定事業者等が、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組を記載した経営力向上計画を策定し、認定された事業者に対し、税制面や日本政策金融公庫の融資制度等の金融面の支援を講じた。

また、システムの改修及び操作説明動画の作成等を行い、経営力向上計画の電子申請の普及に努めた。

9.中小企業経営強化税制【税制】

中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その経営力向上計画に基づき経営力向上設備等を取得した場合に、即時償却又は10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人の税額控除は7%)ができる措置を講じた。令和3年度税制改正において、修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備を対象に追加し、適用期限を2年延長することとした。

10.生産性革命のための固定資産税の減免措置

市区町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小企業者等の先端設備等導入計画に記載された一定の機械・装置等であって、生産、販売活動等の用に直接供されるものに係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする措置を講じた。

11.研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)【税制】

中小企業者等に対し、試験研究費の総額に応じて税額控除を認める「中小企業技術基盤強化税制」において、試験研究費の増加割合に応じた税額控除率(12%~17%)を適用する(大企業は一般型で2%~14%)とともに、特別試験研究費(大学、国の研究機関、企業等との共同・委託研究等の費用)の総額に係る税額控除制度、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合の控除率の割増措置等を引き続き講じた。さらに、試験研究費の増加割合が一定の割合を超える場合の特例についてその割合を8%から9.4%に見直すとともに、売上げが基準年度と比べ2%以上減少しているにもかかわらず、試験研究費を増加させる場合には、税額控除の上限を5%引き上げる措置を講じた。

第2節 DX化の促進

1.中小企業支援のDX【令和2年度3次補正予算:9.9億円】

補助金申請等で提出された情報について行政機関や支援機関で共有・活用できるようにして中小企業支援を活性化させていくため、中小企業庁が所管する補助金等の申請データを一元化するためのデータ分析基盤を構築した。

2.共創型サービスIT連携支援事業【令和3年度当初予算:5.0億円】

中小サービス事業者及びITベンダー等がコンソーシアムを組成し、サービス業の現場の生産性を向上させるべく、API連携等により複数のITツールを連携・組合せたものを導入するとともに、導入後、機能向上(UIやUXの改善を含む)を行い、パッケージ化・汎用化による業界内他社や他地域への当該ツールの普及に資する案件を支援した。

3.AI人材連携による中小企業課題解決促進事業【令和3年度当初予算:5.5億円】

(1)実際の現場の課題を媒介に25社の中小企業が本事業で育成したAI人材とマッチングし、協働で課題解決を実施した。(2)類似の課題に対して、本事業の事例を活用できるよう、中小企業向けにAI導入ガイドブックを策定した。

4.地域未来デジタル・人材投資促進事業(地域企業デジタル経営強化支援事業)【令和3年度当初予算:11.7億円の内数】

地域未来牽引企業及び地域未来投資促進法の承認地域経済牽引事業者が、規模成長に向けて取り組む、システムを活用した経営管理体制の強化のための課題整理、計画策定及びシステム導入を、7件採択し支援した。また、デジタル経営の普及啓発に向けた優良事例の調査、広報事業を実施した。

5.地域未来デジタル・人材投資促進事業(地域産業デジタル化支援事業)【令和3年度当初予算:11.7億円の内数】

地域未来牽引企業等とIT企業等が連携して取り組む、新事業実証(試作、顧客ヒアリング、事業性評価と改善)による地域産業のデジタル化のモデルケースの創出、地域へのモデルケースの横展開を、62件採択し支援した。また、地域での新事業実証の環境整備として、経産省HPで公開している公設試験研究機関の保有機器等の検索システムを更新するとともに、地域未来牽引企業の経営状況の調査等を実施した。

6.中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業【令和3年度当初予算:2.0億円】

「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の普及に向けた制度の運用を行うとともに、中小企業を含むサプライチェーン全体でのセキュリティ強化の取組を支援した。また、地域の関係者間でのセキュリティに関する「共助」の関係構築や、国や専門家からの情報提供やお助け隊サービス等の施策展開を各地域で円滑に行える環境の整備のため、地域に根付いたセキュリティ・コミュニティの形成を促進した。

7.IT活用促進資金【財政投融資】

中小企業の生産性向上に寄与するIT活用を促進するため、日本政策金融公庫による融資を着実に実施した(2021年度の実績は12件、2.3億円(2021年12月末時点))。

第3節 人材・雇用対策

1.地域中小企業人材確保支援等事業【令和3年度当初予算:10.5億円の内数】

中小企業・小規模事業者が抱える経営課題の解決に即した多様な人材を多様な形態で確保できるよう、企業の魅力発信やマッチングの促進等を実施した。また、地域の経営支援機関等における人材確保支援ノウハウの向上や、ネットワーク作り等の支援を全国8地域で行った。

2.中小企業大学校における人材育成事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業の経営者等を対象に、経営課題の解決に資する研修を実施した。また、交通アクセス改善に向けて「サテライト・ゼミ」や、ウェブ活用型研修「WEBee Campus」の拡充等を行った。

3.地域未来デジタル・人材投資促進事業(戦略的ツール活用型若者人材移転支援事業)【令和3年度当初予算:11.7億円の内数】

都市部の若者人材の採用に向けて、採用活動の支援事業者や地方自治体と一体となって、採用戦略の策定、多様な求人ツールの活用、リモート面接等に一気通貫で取り組む地方の中小・中堅企業を支援する実証事業を行った。

4.サプライヤー応援隊事業【令和3年度当初予算額:10.5億円の内数】

民間団体等が、中小企業・小規模事業者の次世代自動車への対応等を支援する人材(サプライヤー応援隊)を育成し、派遣することにより、自動車産業の底上げを図る事業を支援した。事業実施にあたり、2021年度においては計7拠点を整備した。

5.労働者の雇用維持対策【令和3年度当初予算:6,240億円、令和3年度予備費:217億円、令和3年度補正予算:9,526億円】

雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練又は出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものである。

新型コロナウイルス感染症や2020年7月豪雨の影響を受けて事業が縮小した事業主に対しては、雇用調整助成金の特例措置を実施し、支給要件を緩和するとともに、助成率の引上げ、提出書類の簡素化等、更なる雇用調整助成金の特例措置を実施した。

6.魅力ある職場づくりに向けた雇用管理の改善の支援【令和3年度当初予算:87.1億円】

人材確保等支援助成金においては、2020年度に実施した助成の他、中小企業事業主が、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組むことを目的としてテレワーク用通信機器等の導入・運用、就業規則等の作成・変更等を実施し、テレワークの適切な運用を経て従業員の離職率の低下が図られた場合に助成を行う「テレワークコース」を創設した。

7.地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)【令和3年度当初予算:17.5億円の内数】

地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域の求職者等を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を支給した。

8.中途採用等支援助成金(UIJターンコース)【令和3年度当初予算:1.7億円の内数】

東京一極集中の是正を図るとともに、人手不足に直面する地域の企業の人材確保を図るため、地方公共団体が地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して実施する移住支援事業により移住した者を雇い入れた事業主に対して、その採用活動に要した経費の一部を助成した。

9.地域活性化雇用創造プロジェクト【令和3年度当初予算:102.7億円の内数】

地域における良質で安定的な雇用機会の確保に向けた取組を推進するため、産業政策と一体となって実施する正社員雇用機会の確保に向けた都道府県の取組に対する支援を実施した。

また、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けた地域雇用を再生するため、産業政策と一体となって実施する事業主の業種転換や多角化による雇用の場の確保、求職者のキャリアチェンジを伴う再就職等を促進する都道府県の取組に対する支援を実施した。

10.成長分野等への人材移動の促進【令和3年度当初予算:34.8億円】

労働移動支援助成金(再就職支援コース)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(再就職援助計画対象者等)に対する再就職支援を民間職業紹介事業者への委託等により行う事業主に対して助成を行った。

また、再就職援助計画対象者等を早期に雇い入れた事業主に対して労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)を支給し、当該労働者に対して訓練を実施した事業主に対してはさらに追加の助成を行う。2021年度においては当面の間、優遇助成(生産性指標等により一定の成長性が認められる企業が、事業再編等を行う企業等から離職した者を雇い入れた場合の助成)について、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した45歳以上の者を離職前と異なる業種の事業主が雇い入れた場合に、助成額の加算を行った。

加えて、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)により、中途採用者の能力評価、賃金、処遇の制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大させた事業主に対する助成を行った。

11.人材確保対策推進事業【令和3年度当初予算:45.0億円】

人材不足分野のマッチング支援のため、全国の主要なハローワークに設置する「人材確保対策コーナー」を中心に、きめ細やかな職業相談・職業紹介、求人者への助言・指導等を実施した。

12.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【令和3年度当初予算:5.2億円の内数】

若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援した。

13.最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【令和3年度当初予算:144.6億円、令和3年度補正予算額:135.1億円】

最低賃金・生産性向上による賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、

〔1〕働き方改革に関する相談等にワンストップで対応するため、「働き方改革推進支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施した。

〔2〕生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業の労働時間短縮や賃上げに向けて生産性向上に資する取組を行った中小企業団体に対し、その取組に要した費用を助成した。

〔3〕全国の中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成した。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、特に業況が厳しい中小企業・小規模事業者を対象とし、助成対象となる設備投資等の範囲を拡大した特例コースを創設した。

14.キャリアコンサルティングの普及促進

企業(人事管理・人材育成)、労働力需給調整機関(職業マッチング)、学校(キャリア教育)などにおいて、キャリアコンサルティングの普及を進めた。また、2016年4月に国家資格化されたキャリアコンサルタントについて、養成と周知に取り組んだ。さらに、2020年度に運営開始したキャリア形成サポートセンターにおいて、労働者等に対するキャリアコンサルティング機会の提供とともに、企業に対するセルフ・キャリアドック(※)の導入を推進した。

(※)企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組、また、そのための企業内の「仕組み」。

15.所得拡大促進税制【税制】

雇用増や賃金引上げにより所得拡大を図る中小企業等を支援するため、〔1〕雇用者給与等支給額を前年度より1.5%以上増加させた場合には、雇用者給与等支給額の増加額の15%の税額控除、さらに、〔2〕雇用者給与等支給額を前年度より2.5%以上増加させ、かつ、人材投資や生産性向上に取り組む場合には、雇用者給与等支給額の増加額の25%の税額控除ができる措置を講じた。

第4節 地域資源の活用

1.新事業創出支援事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業基盤整備機構の全国10支部・事務所にマーケティング等に精通した専門家を配置し、中小企業等経営強化法、中小企業地域産業資源活用促進法、農商工等連携促進法に基づく事業計画の策定により、新事業に取り組む中小企業等に対して一貫してきめ細やかな支援を行った。

2.JAPANブランド育成支援等事業【令和3年度当初予算:8.0億円】

中小企業者等が海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を行う場合に、その経費の一部を補助した。その際、海外展開においては現地のマーケットに関する知見やネットワークを持つ支援機関・支援事業者を活用しながら事業を実施することが極めて重要であることから、経済産業省が有力な支援機関・支援事業者を「支援パートナー」として選出・公表し、中小企業と支援パートナーとの出会いの場を創出した。

3.各種展示会や商談会等による販路開拓支援【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業・小規模事業者が農商工連携や地域資源活用等により開発した商品・サービス等について、中小企業基盤整備機構を通じて、展示会や商談会等の開催を行い、販路開拓・拡大を支援した。

4.販路開拓コーディネート事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業基盤整備機構に商社・メーカー等出身の販路開拓の専門家(販路開拓コーディネーター)を配置し、中小企業者等が新商品・新技術・新サービスについて、首都圏・近畿圏におけるテストマーケティング活動の実践を通じ、新たな市場への手掛かりをつかむとともに、販路開拓の力をつけることを支援した。

5.J-GoodTech【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中小企業基盤整備機構を通じて、ニッチトップやオンリーワンなどの優れた技術・製品を有する日本の中小企業の情報をウェブサイトに掲載し、国内大手メーカーや海外企業につなぐことで、中小企業の国内外販路開拓を支援した。

6.地域商店街の活性化に向けた総合的支援

地域商店街活性化法に基づき、商店街活性化事業計画を国が認定した商店街等について、支援措置を講じた。

7.全国商店街支援センターによる人材育成等

中小企業関係4団体が共同で設立した「全国商店街支援センター」において、人材育成、ノウハウ提供等の支援を行った。2022年3月末時点で、72件支援した。

8.企業活力強化資金(流通・サービス業関連)【財政投融資】

中小商業者・サービス業者等の経営の近代化及び流通機構の合理化並びに空き店舗等の解消を図るため、日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行った。2021年12月末時点で、1,430件支援した。

9.中心市街地活性化協議会運営支援事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中心市街地活性化協議会の設立・運営にあたって、中小企業基盤整備機構に設置された中心市街地活性化協議会支援センターを中心に、各種相談対応、HPやメールマガジンでの情報提供、交流会の開催によるネットワーク構築支援等を行った。2022年2月末時点で、228件の相談対応を実施した。

10.中心市街地商業等活性化アドバイザー派遣事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が抱える様々な課題に対応するため、中小企業基盤整備機構に登録された商業活性化に関する各分野の専門家を派遣した。2022年2月末時点で、7地域に専門家を派遣した。

11.中心市街地商業活性化診断・サポート事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

中心市街地活性化協議会等が行う中心市街地における商業活性化の取組を支援するため、中小企業基盤整備機構における専門的ノウハウを活用し、セミナー等の企画・立案支援・講師の派遣や、個別事業の実効性を高めるための助言・診断・課題整理・情報提供等を行った。2022年2月末時点で、13地域でセミナーを開催し、60地域へ助言等を実施した。

12.地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業【令和3年度当初予算:5.5億円】

中小商業者等のグループが商店街等において行う、地域住民のニーズに沿った新たな需要を創出する施設等の導入や最適なテナントミックスの実現に向けた実証事業を地方公共団体が支援する場合に、国がその費用の一部を補助するもの。2022年3月末時点で、14件採択した。

また、地域に外部の専門人材を派遣し、テナントミックスの実現に向けた推進体制の構築や計画策定等を後押しするワークショップを全国27地域で実施するとともに、取組を普及するためのシンポジウムを全国8カ所で開催した。

13.中心市街地活性化のための税制措置【税制】

中心市街地活性化法による認定を受けた「特定民間中心市街地経済活力向上事業計画」に基づいて行われる不動産の取得等に対し、その不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を1/2とする措置を講じた。2022年3月末時点で、12件支援した。

第5節 その他の地域活性化施策

1.小規模事業者持続的発展支援事業【令和元年度補正予算:3,600億円の内数】

小規模事業者持続化補助金において、事業者が、商工会・商工会議所と一体となって経営計画を作成し、販路開拓に取り組む費用を支援(2022年2月時点の採択数:47,669件)した。また、共同・協業販路開拓支援補助金において、地域経済を支える小規模事業者等が互いに足らざる経営資源を補いながら商品やサービスを展開していく取組を支援(2022年2月時点の採択数:261件)した。

2.地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業【令和3年度当初予算:5.6億円】

地域・社会課題を地域で持続的に解決していくため、地域内外の中小企業等が地域内の関係主体と連携しつつ、5地域以上で共通する課題の解決と収益性との両立を目指す取組を21件支援した。また、地域・社会課題解決を目指すオーガナイザーの立ち上げに関する事業計画を7件策定した。

3.地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【令和3年度当初予算:10.8億円】

ビジネスプランに基づいた経営を推進していくため、地方公共団体が、小規模事業者の経営計画作成や販路開拓等を支援する場合に、国がその支援施策の実行に係る経費の一部を支援(交付決定数:26件)した。

4.(再掲)ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)【令和3年度当初予算:7.0億円の内数】

5.観光産業等生産性向上資金【財政投融資】

観光産業等の生産性向上及び観光消費の底上げを通じた日本経済の活性化を図るため、中小企業に対して日本政策金融公庫が必要な資金の貸付を行った。

6.小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【財政投融資】

小規模事業者を金融面から支援するため、商工会、商工会議所、都道府県商工会連合会の経営指導を受けている小規模事業者に対して、日本政策金融公庫が無担保・無保証人・低利で融資を行った(2021年度の実績は、1万9,227件、1,052億円(2021年12月末時点))。

7.小規模事業者経営発達支援融資事業【財政投融資】

事業の持続的発展に取り組む小規模事業者を支援するため、小規模事業者支援法第7条に基づく経営発達支援計画の認定を受けた商工会・商工会議所による経営指導を受ける小規模事業者に対し、日本政策金融公庫が低利で融資を行った(2021年度の実績は、3件、1億円(2021年12月末時点))。

8.小規模事業者支援法による経営発達支援計画の認定

小規模事業者支援法第7条に基づき商工会・商工会議所が関係市町村と共同して、小規模事業者の技術の向上、新たな事業分野の開拓、その他の小規模事業者の経営の発達に資する計画を作成し、経済産業大臣が認定する。2020年度(第8回)において、421計画(448単会、446市町村)の認定を行った。

9.地域経済を牽引する企業に対する集中的な支援

地域未来投資促進法に基づき都道府県が承認する地域経済牽引事業計画について、2021年12月までに3,141計画が承認され、これらの計画に係る地域の特性を生かして地域経済を牽引する事業に対し、税制措置・金融措置・規制緩和・予算措置等による支援を行った。また、地域経済の中心的な担い手となりうる「地域未来牽引企業」に対して、予算措置等により販路開拓や設備投資等を集中的に支援した。

10.地方拠点強化税制【税制】

地方における雇用創出のため、企業の本社機能(事務所、研究所、研修所)を東京23区から地方へ移転する場合や地方において拡充をする場合に、税制上の措置を引き続き講じた。具体的には、計画の認定を受けた企業のオフィス等に係る建物等の取得等について、取得価額の15%(移転型事業の場合、25%)の特別償却若しくは取得価額の4%(移転型事業の場合、7%)の税額控除の選択適用又はその地方拠点における雇用者数の増加に応じた税額控除を講じる措置、及び企業の地方拠点強化に係る地方交付税による減収補填措置等を講じた。

第6節 海外展開支援

1.(再掲)JAPANブランド育成支援等事業【令和3年度当初予算額:8.0億円】

2.中小企業海外ビジネス人材育成支援事業(中小企業・小規模事業者人材対策事業)【令和3年度当初予算:10.5億円の内数】

中小企業の海外ビジネス担当者を対象に、座学学習に加え、グループワークを通じた課題解決の実践や、海外の市場調査経験ができるプログラムを提供した。加えて、非対面・遠隔での商談形態が浸透していることを踏まえ、こうした商談の成立において重要となる、資料作成やプレゼンテーション、会議運営等の技術の習得を支援した。

3.技術協力活用型・新興国市場開拓事業【令和3年度当初予算:41.5億円の内数】

我が国企業の新興国市場獲得支援のため、以下の事業を実施した。

〔1〕日本国内での受入研修、海外現地への専門家派遣、海外高等教育機関での寄附講座開設等の取組により、日本企業の開発途上国への海外進出を促進した。令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響による渡航制限下において、遠隔指導ツールも最大限に活用して事業を実施し、98名の対面指導及び3,930名の遠隔指導を実施した(令和3年度12月末現在)。

〔2〕日本企業が高度外国人材の活用を進めることを通じて競争力を高める機会を提供するべく、日本企業による海外学生等を対象とし、オンラインツールを活用したインターンシッププログラムを実施した。

〔3〕中堅・中小企業が新興国の企業・大学等と共同で進める現地の社会課題の解決のための製品・サービスの開発や現地事業創出支援等への補助を実施。令和3年度は10案件の補助を行った。

4.安全保障貿易管理の支援【令和3年度当初予算:18.2億円の内数】

外国為替及び外国貿易法に基づく安全保障貿易管理の実効性を向上させるため、企業の大多数を占める中小企業を対象に輸出管理の知識普及・啓発及び管理体制構築を支援した。機微技術や貨物を保有する中小企業等を調査し、輸出管理体制の構築を促すとともに、中小企業等を対象とした安全保障貿易管理に係る説明会及び相談会を開催し、専門家による輸出管理体制構築支援を行った。また、輸出管理の相談窓口を設置し、専門家による無料相談対応等を通じて、輸出管理体制の構築を促した。

2022年1月までに、web会議システムによる説明会を36回開催するとともに、個別相談会を38社に対して、また専門家による輸出管理体制構築支援を前年度からの継続も含め58社に対し実施した。

5.新輸出大国コンソーシアム【令和3年度当初予算:252.9億円の内数】

ジェトロ、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、金融機関等の支援機関を結集するとともに、幅広い分野における298名の専門家を確保し(2022年1月24日時点)、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、事業計画の策定から販路開拓、現地での商談サポートに至るまで総合的な支援をきめ細やかに実施した。

6.越境EC等利活用促進事業【令和3年度当初予算:252.9億円の内数】

ジェトロが60以上の海外主要ECサイト等に「ジャパンモール」を設置し、日本の商品の販売促進を実施した。また、中堅・中小企業等の海外有力バイヤーとのマッチングを目的に、複数のBtoBの通年型オンライン展示会への出展支援を実施し、約1,350社が活用した。

7.中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業【令和3年度当初予算:2.5億円】

中堅・中小企業の自立的な輸出拡大を目指し、デジタルプラットフォーム上での販売を支援するビジネスモデル、フードテックの海外展開に関するビジネスモデルなど8事業者の新たなビジネスモデルの実証を支援した。

8.現地進出支援強化事業【令和3年度当初予算:12.2億円】

情報提供、海外展示会やオンライン商談会等を通じた販路拡大支援、商談後のフォローアップ、現地進出後の事業安定・拡大支援(プラットフォーム事業)など、段階に応じた支援を提供し、支援のオンライン化を図りながら国内外でシームレスに実施した。また、中小企業が多く進出している国の税制等について、セミナーの実施等により、海外展開を行う中小企業の税務に係る体制整備を支援した。

9.中堅・中小企業の海外展開等を通じた地域活性化支援事業【令和3年度補正予算:32.9億円】

日英EPAの発効やRCEP協定の署名を機に、今後拡大が見込まれる海外市場等への販路開拓を加速するため、以下の支援を行った。

(1)ECを活用する中堅・中小企業の商品開発や海外主要ECサイトに設置するジャパンモールへの出店支援

(2)新輸出大国コンソーシアムによる海外展開計画の策定・商談等の支援

(3)JFOODOを通じた地域産品の海外販路開拓のための現地支援及び現地プロモーション支援

(4)JETRO海外事務所に配置されたアドバイザーによる、進出企業の拠点設置や操業等に係る相談対応

(5)EPA利活用促進のための情報提供・相談体制の強化

(6)デジタル・グリーン等重要分野における日本企業と有望な海外スタートアップ企業等の連携・協業を支援するオープンイノベーション・プラットフォーム(J-Bridge)を開設

(7)英国のEU離脱に伴う英国及びEUの制度等に関するセミナーや個別相談、サプライチェーンの見直し等の支援

10.JICA海外協力隊(民間連携)の活用及び帰国隊員とのマッチング【令和3年度当初予算:1,507億円の内数】

国際協力機構(以下「JICA」という。)においては各企業のニーズに合わせ、社員をJICA海外協力隊として途上国に派遣する民間連携の制度を活用し、グローバル社会で活躍できる人材の育成に努めた。また、帰国したJICA海外協力隊の進路開拓支援の一環として、特定の途上国を熟知した人材(協力隊員)の採用を希望する企業の情報を帰国隊員に国際キャリア総合情報サイト(Partner)を通じて提供することや、これら企業と帰国隊員とが直接対話できる交流会や帰国報告会等をオンラインで開催した。

11.JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業【令和3年度当初予算:1,507億円の内数】

中小企業等が有する優れた技術や製品、アイディアを用いて、途上国が抱える課題の解決と企業の海外展開、ひいては各地の地域経済活性化も兼ねて実現することを目指した。

さまざまな事業ステージに対応する支援メニューとして、「基礎調査」、「案件化調査」及び「普及・実証・ビジネス化事業」を通じ、途上国の開発ニーズと中小企業の製品・技術のマッチングを支援した。

2020年度後半に導入した、提案企業と地域金融機関が連携して海外展開を検討・調査することで、途上国の課題を解決するSDGsビジネスの実現性を高めるとともに、地域活性化に一層資することを目的とする「地域金融機関連携案件」を継続的に募集した。

12.中小企業等の海外展開支援(中小企業製品を活用した機材供与)【令和3年度当初予算:1,632億円の内数】

途上国政府の要望や開発ニーズに基づき、日本の中小企業等の製品を供与することを通じ、その途上国の開発を支援するのみならず、中小企業等の製品に対する認知度の向上等を図った。

13.中堅・中小企業向け海外安全対策啓発【令和3年度当初予算:0.4億円の内数】

海外安全に関する情報に接する機会が限られる中堅・中小企業向けに、「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」(以下「マニュアル」という。)、「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」(以下、「ネットワーク」という。)、インターネット広告、オンラインを活用したセミナー等を通じ、コロナ禍での安全対策を含む情報提供・啓発を行った。また、令和2年度補正予算で作成したマニュアルの新エピソードのアニメ化を実施したほか、中小企業基盤整備機構などネットワーク参加組織の機関誌、ホームページ、メールマガジン等に複数回にわたり外務省から寄稿を行い、情報が中堅・中小企業関係者の目に直接触れる機会を増やした。

14.中小企業の貿易保険利用における企業信用調査料の減免措置

中小企業の貿易保険を活用した輸出支援のため、貿易保険を利用する際の格付付与に必要な取引先の信用情報の提供について、日本貿易保険(以下「NEXI」という。)が代わって信用情報を取得し、その費用を負担する措置を引き続き講じた。2008年より3件としていた無料での信用調査を2015年度から8件に拡大した。

15.中小企業による貿易保険の利用促進のための普及・広報活動(セミナー・相談会等)

中小企業による貿易保険の利用を促進するため、中小企業向けのホームページを刷新。日本政策金融公庫や日本貿易振興機構(以下、JETRO)等が全国で主催するセミナーや提携地方銀行等の行員勉強会等にNEXIから講師を派遣し、貿易保険の普及啓発を行った。説明会等では、中小企業向け商品である中小企業・農林水産業輸出代金保険を中心に、わかりやすい紹介動画や漫画冊子を活用し、貿易保険の一層の理解と普及に努めた。

16.貿易保険へのアクセス改善

中小企業の海外展開を支援するため、NEXIは、2011年12月に地方銀行11行との提携による「中小企業海外事業支援ネットワーク」を発足した。提携機関は年々拡大し、また、2016年には信用金庫とも提携を行うことで信金ネットワークを構築。現在では、全国110金融機関によるネットワークを構築している(2022年2月現在)。

17.民間損保企業との協業による海外投資保険の提供(NEXI再保険スキーム)

中堅・中小企業の海外展開を支援するため、貿易保険法の施行令を2019年7月に改正し、NEXIが、民間損保企業から海外投資保険の再保険を引き受けることを可能とした。大手損保企業を中心に、同年8月以降、全国の損保代理店を通じ、海外投資保険を提供開始した。

18.海外展開・事業再編資金【財政投融資】

日本政策金融公庫(中小企業事業、国民生活事業)を通じて、経済の構造的変化に適応するために海外展開または海外展開事業の再編を行うことが経営上必要な中小企業、もしくは海外展開事業の業況悪化等により、本邦内における事業活動が影響を受けている中小企業の資金繰りを支援するための融資に加え、中小企業の海外子会社に対する直接融資の特例(クロスボーダーローン)による必要な融資を実施した。

第7節 販路開拓支援

1.小規模事業対策推進等事業【令和3年度当初予算:53.2億円】

小規模事業者支援法第7条に基づき認定を受けた「経営発達支援計画」に沿って商工会・商工会議所が取り組む伴走型の小規模事業者支援を推進し、小規模事業者の需要を見据えた事業計画の策定や販路開拓等を支援(採択数:1,429件)した(伴走型小規模事業者支援推進事業)。また、全国商工会連合会、日本商工会議所が各地の商工会、商工会議所等と連携して行う地域産業の活性化や観光ルート開発など地域の経済活性化に向けた取組を支援した(地域力活用新事業創出支援事業)。さらに、新型コロナウイルスによる影響や働き方改革等の制度改正等による諸課題に対し、小規模事業者が円滑に対応できるよう全国団体を通じて商工会・商工会議所等が窓口相談・巡回指導や講習会等を行うための専門家派遣を行った(専門家派遣等事業)。

2.(再掲)地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【令和3年度当初予算:10.8億円】

3.(再掲)小規模事業者持続的発展支援事業【令和元年度補正予算:3,600億円の内数】