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令和4年度において講じようとする主な中小企業・小規模事業者施策

第1章 新型コロナウイルス感染症対策

長期化するコロナ禍の影響により厳しい業況にある中小企業・小規模事業者等が足下で必要とする資金繰りなど必要な支援に引き続き万全を期すとともに、安全・安心を確保した社会経済活動の再開に向けた施策を実施する。

【主な施策】中小企業活性化パッケージ

年度をまたいだ中小企業の事業継続を後押しするコロナ資金繰り支援の継続や、増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促すため、「中小企業活性化パッケージ」を策定。

Ⅰ.コロナ資金繰り支援の継続

年度末の資金需要への対応

〔1〕年度末の事業者の資金繰り支援等のための金融機関との意見交換・要請

→年度末の資金繰り支援等の徹底について、内閣府特命担当大臣(金融)及び経済産業大臣より金融機関に要請。

〔2〕セーフティネット保証4号の期限延長

→一般枠(上限2.8億円、80%保証)に上乗せした別枠保証(上限2.8億円、100%保証)の期限を延長【22年3月1日まで→22年6月1日まで

来年度以降の資金需要への対応

〔1〕実質無利子・無担保融資、危機対応融資の継続等

→新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化している事業者に対する実質無利子・無担保融資、危機対応融資(*)の期限を延長【21年度末まで→22年6月末まで

(*)商工中金と日本政策投資銀行による融資・資本性劣後ローン

→返済負担を軽減するための融資期間の延長【運転資金15年→20年

〔2〕日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの継続

→民間金融機関が自己資本とみなすことができる日本政策金融公庫の資本性劣後ローン(最大20年元本据置、上限額10億)を継続【22年度末まで

〔3〕納税や社会保険料支払いの猶予制度の積極活用・柔軟な運用

→納税緩和制度に基づく猶予及び社会保険料の支払猶予制度(延滞税や延滞金を0.9%に軽減)の柔軟な運用(原則担保不要、口頭での事情説明も可など)を継続

Ⅱ.中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援

収益力改善フェーズ

〔1〕認定支援機関による伴走支援の強化

→収益力改善に向けた計画策定に加え、認定支援機関による計画実行状況のフォローアップや助言等を強化【22年4月~】

〔2〕協議会による収益力改善支援の強化

→ポストコロナを見据え、中小企業再生支援協議会において、コロナ禍で緊急的に実施している特例リスケ支援を収益力改善支援にシフト【22年4月~】

事業再生フェーズ

〔1〕中小機構が最大8割出資する再生ファンドの拡充

コロナの影響が大きい業種(宿泊、飲食等)を重点支援するファンドの組成、ファンド空白地域の解消を促進【順次】

〔2〕事業再構築補助金に「回復・再生応援枠」を創設

→再生事業者が優先採択される枠を創設し、収益力の向上を促進【22年春頃~】

〔3〕中小企業の事業再生等のガイドラインの策定(経営者退任原則、債務超過解消年数要件等を緩和)

→数百人規模の民間専門家(弁護士等)を活用し支援

→ガイドラインに基づく計画策定費用の支援制度を創設【22年4月~】

再チャレンジフェーズ

〔1〕経営者の個人破産回避のル-ル明確化

個人破産回避に向け、「経営者保証ガイドライン」に基づく保証債務整理の申出を受けた場合には、金融機関が誠実に対応する、との考え方を明確化【21年度中】

〔2〕再チャレンジに向けた支援の強化

→経営者の再チャレンジに向け、中小機構の人材支援事業を廃業後の経営者まで拡大【22年4月~】

→中小機構において、廃業後の再チャレンジに向けた専門家支援を展開【順次】

→公庫の再チャレンジ支援融資を拡充【22年2月~】

収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する体制の構築

→全国47都道府県にある中小企業再生支援協議会を関連機関と統合し、収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」を設置

→中小企業活性化協議会がハブとなって金融機関、民間専門家、各種支援機関とも連携し、苦しむ中小企業の収益力改善・再生・再チャレンジを地域全体で推進。

第2章 事業再構築、事業承継・引継ぎ・再生等の支援

新分野展開や業態転換等の果敢な取組を支援する事業再構築補助金を積み増し、新たにグリーン成長枠を設け、売上高減少要件を撤廃するなど、中小事業者等の新たな挑戦を強力に支援するとともに、事業承継・引継ぎ・再生を推し進める。

【主な施策】事業再構築補助金【令和3年度補正:6,123億円】

コロナの影響を大きく受けながらも新分野展開、業態転換等の「事業再構築」に挑戦する中小企業等を支援。特に、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者に対しては、売上高減少要件を撤廃した上で補助上限額を引き上げた「グリーン成長枠」を新設している。

グリーン成長枠の想定活用事例

中小企業再生支援・事業承継総合支援事業【令和4年度当初:157.7億円】

中小企業活性化協議会や事業承継・引継ぎ支援センターを通じて、中小企業の円滑な再生・事業承継を総合的に支援。

事業承継・引継ぎ支援事業【令和4年度当初:16.3億円】

事業承継・引継ぎ(M&A)に伴う設備投資等の取組や、引継ぎ(M&A)時の専門家活用費等を支援。

第3章 生産性向上による成長促進

コロナの影響の長期化への対応や賃上げ原資の確保等のため、生産性革命補助金を通じ、設備投資・販路開拓・IT 導入等を促進する。グリーン・デジタル分野に挑む事業者に対し、新たに「中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージ」として特別枠を設けて設備投資等を支援する。引き続き、研究開発促進・海外進出支援・DX等も含め、生産性の向上を図っていく。

【主な施策】中小企業生産性革命推進事業【令和3年度補正:2,001億円】

設備投資、販路開拓、ITの導入等を補助するなど、中小企業等の生産性向上に資する継続的な支援を実施。現行の通常枠の一部見直しを行うとともに、「ものづくり補助金」については、グリーン・デジタルに係る投資に対応する特別枠を創設するなど、成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援する。

また、事業承継・引継ぎ補助金を新たに追加し、中小企業の生産性向上や円滑な事業承継・引継ぎを一層強力に推進する。

飲食・小売業【デジタル枠】、製造業【グリーン枠】

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)【令和4年度当初:104.9億円】

中小企業が大学等と連携して行う、研究開発やAI/IoT等の先端技術を用いた革新的なサービスモデル開発等の取組を支援。

第4章 取引環境の改善を始めとする事業環境整備等

賃上げが可能な環境の整備にも寄与する「生み出した価値を中小企業・小規模事業者に着実に残す」ため、下請Gメン倍増などの体制強化を実施し、取引環境の改善を図る。加えて、よろず支援拠点・中小企業支援機関による経営相談体制の強化や伴走支援の実施等、中小企業・小規模事業者を取り巻く事業環境の整備を図っていく。

【主な施策】事業環境変化対応型支援事業【令和3年度補正:130.4億円】

課題設定型の伴走支援(経営力再構築伴走支援)を全国展開するほか、最低賃金引き上げやインボイス制度導入への対応が求められる中小企業に対し、制度の周知やデジタル化支援・相談等を実施。

下請等中小企業の取引条件の改善 等【令和3年度補正:8.0億円、令和4年度当初:23.0億円の内数】

1.法律の厳正な執行

(1)下請代金法(規制法。下請代金の減額、支払遅延等を禁止。立入検査、改善指導、公取委への措置請求等を実施。)

(2)下請振興法(望ましい取引のあり方(振興基準)を策定・公表し、業界に対し指導・助言等を実施。)

2.相談対応・実態把握

(1)全国の下請Gメン(全国120名⇒R4年度248名)によるヒアリング(年間約4,000件⇒R4年度約1万件)

(2)全国47都道府県の下請かけこみ寺による相談対応(年間約10,000件)

3.業界への働きかけ

(1)業種別ガイドライン(19業種)自主行動計画(19業種・52団体)価格交渉促進月間(9月、3月)

(2)取引先との共存共栄を発注側企業の経営者が宣言するパートナーシップ構築宣言(6,000社超)

※令和3年12月27日、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を政府全体でとりまとめ(1~3月を集中取組期間とし、下請代金法や独禁法に基づく取締り強化等に取り組む)。

中小企業向け賃上げ促進税制

雇用者全体の給与や教育訓練費を増加させた中小企業が雇用者全体の給与の増加額の最大40%税額控除可能。

中小企業向け賃上げ促進税制の図

第5章 災害からの復旧・復興強靱化

被災地域の中小企業・小規模事業者の事業再建に向けて、資金繰りや工場等の施設復旧を支援する。また、「事業継続力強化計画」の策定を支援するための専門家派遣や「中小企業BCP策定運用指針」の公表等、防災・減災に向けた取組を促進する。

【主な施策】地方公共団体による地域企業再建支援事業 等【令和3年度補正:127.6億円(合計)】

地域企業再建支援事業においては、再建支援計画に基づき、中小企業等グループ補助金(なりわい再建支援事業)においては、中小企業等グループが作成する復興事業計画に基づき、それぞれ計画実施に必要な施設・設備の復旧に対して支援。

令和3年8月豪雨の被災状況、令和3年福島県沖地震の被災状況

中小企業強靱化対策事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金175.9億円の内数】

機構の地域本部等に自然災害等の専門家を配置し、相談体制を整備する他、「事業継続力強化計画」の策定を支援するための専門家派遣等を実施。

第6章 業種別・分野別施策

中小農林水産業、運輸業、建設・不動産業、生活衛生関係営業に携わる事業者を支援する。

第7章 その他の中小企業施策

中小企業の環境・エネルギー対策や知財財産活動の促進、および実態調査や施策の広報の推進を行う。

【主な施策】施策の広報

中小企業施策のポイントをまとめたガイドブックやチラシ等を作成する他、「ミラサポplus」を通じて最新の支援情報や補助金の申請のノウハウ、活用事例等を分かりやすくタイムリーに全国の中小企業に届ける。

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