第7章 その他の中小企業施策
第1節 環境・エネルギー対策
1.国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(J-クレジット制度)【令和4年度当初予算:4.9億円】
経済と環境の好循環の実現を図るため、引き続き、中小企業等への支援や需要開拓を行い、J-クレジット制度の普及を促進する。
2.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)【財政投融資】
中小・小規模企業の公害防止対策を促進するため、日本政策金融公庫による融資を引き続き実施する。
3.カーボンニュートラル税制【税制】
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制について、きめ細やかな事業適応計画の申請支援を引き続き行い、より多くの企業に活用頂くことで企業の脱炭素化に向けた取組を後押しする。
4.公害防止税制【税制】
中小・小規模企業等の公害防止への取組を支援するため、本税制措置を引き続き実施する。
5.カーボンニュートラルに向けた自動車部品サプライヤー事業転換支援事業【令和4年度当初予算:4.1億円】
自動車の電動化の進展に伴って大きな影響を受ける中堅・中小自動車部品サプライヤーが、電動車部品の製造に挑戦するなどといった「攻めの業態転換・事業再構築」を実現するため、窓口での相談対応、セミナーや研修、専門家の派遣を新たに実施し、技術分析・戦略立案等を支援する。
6.先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金【令和4年度当初予算:253.2億円】
工場・事業場における省エネ性能の高い設備・機器への更新や、高い省エネポテンシャルを有し、今後市場への普及が見込まれる先進的な省エネ設備の導入を支援する。一部事業については、補助金額を設備費への定額補助(大企業は補助率3/4)に変更する。
7.省エネルギー投資促進支援事業費補助金【令和4年度当初予算:100.0億円】
産業・業務部門における性能の優れた省エネ設備への更新に係る費用の一部を補助することで、需要側における燃料・電力の消費抑制に資する取組を促しエネルギーコストの節減を目指す。
8.省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金【令和3年度補正予算:12.3億円】
新設・既設事業所における省エネ設備の新設・増設等を行う際、民間金融機関等から融資を受ける事業者に対し、融資に係る利子補給を行う。
9.中小企業等に対するエネルギー利用最適化推進事業【令和4年度当初予算:8.0億円】
エネルギー利用最適化診断事業・情報提供事業を通じて、中小企業等の工場・ビル等のエネルギー管理状況の診断を実施し、AIやIoT等を活用した運用改善や再エネ導入等の提案や、診断事例の横展開、関連セミナーへの講師派遣を行う。
また、地域のエネルギー利用最適化取組支援事業を通じて、省エネや再エネ導入に関する相談拠点となるプラットフォームを地域毎に構築するとともに、相談に係る窓口や支援施策などをポータルサイトに公開する。
10.地域低炭素投資促進ファンド事業【令和4年度当初予算:10億円】
一定の採算性・収益性が見込まれるものの、リードタイムや投資回収期間が長期に及ぶこと等に起因するリスクが高く、民間資金が十分に供給されていない再生可能エネルギー事業等の脱炭素化プロジェクトに民間資金を呼び込むため、これらのプロジェクトに対し、「地域脱炭素投資促進ファンド」からの出資を行う。
11.エコリース促進事業【令和4年度当初予算:13.2億円】
多額の初期投資費用(頭金)の負担が困難な中小企業等が設備投資を行う際、頭金を必要としないリースという金融手法の活用が有効であるところ、本事業によってリース料総額の一部を補助することで脱炭素機器の導入を促進する。加えて、リース会社自身のESGの取組拡大及びサプライチェーン全体での面的な脱炭素化の取組促進を図る。
12.エコアクション22【令和4年度当初予算:0.09億円】
環境経営を切り口とした企業価値向上を図る中小事業者、サプライチェーンの再構築を図る大手企業などに向け、バリューチェーンで、エコアクション21等の環境マネジメントシステムの普及を図る取組等を行う。
13.環境・エネルギー対策資金(省エネ設備関連)【財政投融資】
中小企業における省エネルギーの促進をするため、引き続き、日本政策金融公庫による融資を実施する。
14.環境・エネルギー対策資金(非化石エネルギー関連)【財政投融資】
中小企業における省エネルギーの促進をするため、引き続き、日本政策金融公庫による融資を実施する。
第2節 知的財産活動の促進
1.中小企業向けの特許料等の軽減
全ての中小企業を対象に、審査請求料、特許料(第1年分~第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/2に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の1/2に相当する額を交付する措置を引き続き実施する。また、中小ベンチャー企業・小規模企業に対しては、審査請求料、特許料(第1年分から第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/3に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の2/3に相当する額を交付する措置を引き続き実施する。
2.早期審査・早期審理制度
特許について、出願人や審判請求人が中小企業・小規模事業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審理を受けられるよう早期審査・早期審理を実施する。また、外国特許庁にも出願している特許出願や、ベンチャー企業の特許出願について、「早期審査に関する事情説明書」を提出することにより、原則1か月以内に1次審査結果を通知できる(「スーパー早期審査」)運用を引き続き実施する。意匠・商標についても早期審査・早期審理の要件を満たせば、早期に審査又は審理を受けられるよう早期審査・早期審理を実施する。
3.出張面接・オンライン面接【令和4年度当初予算:0.4億円】
特許・意匠について、中小・ベンチャー企業等への支援を目的として、全国各地の面接会場において審査官・審判官が出張面接を実施するとともに、特許・意匠・商標について、インターネット回線を利用し出願人自身のPCから参加できるオンライン面接を実施する。また、工業所有権情報・研修館(以下、「INPIT」という。)近畿統括本部(INPIT-KANSAI)においても、審査官・審判官による出張面接、オンライン面接を実施する。
4.特許情報の提供
国内外の特許情報をインターネット上で、無料で検索・照会できる下記サービスの提供を実施する。〔1〕2021年度に引き続き、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通じて、特許・実用新案・意匠・商標の公報や審査経過情報を検索・照会できるサービスを提供する。〔2〕2021年度に引き続き、「外国特許情報サービス(FOPISER)」を通じて、ASEAN等の日本企業の進出が著しい諸外国の特許情報を検索・照会できるサービスを提供する。
5.特許戦略ポータルサイト【令和4年度当初予算:0.1億円の内数】
特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトにおいて、申し込みのあった出願人に対し、直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供する。
6.知的財産権制度に関する普及【INPIT交付金の内数】
知的財産権制度に関する知見・経験のレベルに応じて、〔1〕知的財産権制度の概要や基礎的知識について説明する初心者向け説明会、〔2〕特許・意匠・商標の審査基準や、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容を分野別に説明する実務者向け説明会に係る動画コンテンツのオンライン配信を行う。
7.中小企業の知財に関するワンストップサービスの提供(知財総合支援窓口)【INPIT交付金の内数】
中小企業等が抱える様々な経営課題について、自社のアイデアや技術などの「知的財産」の側面から解決を図る支援窓口として、各都道府県に「知財総合支援窓口」を設置している。
知財総合支援窓口では、支援担当者が、アイデア段階から事業展開、海外展開までの様々な経営課題等に対し、弁理士や弁護士、デザイナー、中小企業診断士などの専門家と協働して、知的財産の側面から効率的・網羅的に解決を図るほか、職務発明・営業秘密などの知財管理や、地理的表示保護制度(GI)等の農業分野の知財、知財・標準化戦略等の様々な経営相談にも、よろず支援拠点をはじめとする関係支援機関と連携しつつ、対応している。2022年度も引き続き、「第2次地域知財活性化行動計画(2020.7.15)」で設定された目標を踏まえて相談等に対応するとともに、よろず支援拠点をはじめとする関係支援機関との連携を推進する。
8.営業秘密に関するワンストップ支援体制の整備【INPIT交付金の内数】
「営業秘密・知財戦略相談窓口」において、知財総合支援窓口とも連携し、主に中小企業を対象として、企業の持つ技術を特許として権利化するか営業秘密として秘匿化するかのオープン・クローズ戦略や、秘匿化を選択した際の営業秘密の管理等に関する相談に専門家が対応しており、引き続き継続していく。特に営業秘密の漏えい・流出事案や情報セキュリティ対策、サイバーアタックについて、相談内容に応じて、警察庁や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)等との連携等を行っていく。加えて、地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナーへの講師派遣、eラーニングコンテンツ等による普及・啓発活動を引き続き実施し、本相談窓口の周知を通じて中小企業による活用を促進していく。
9.知財金融促進事業(中小企業知財経営支援金融機能活用促進事業)【令和4年度当初予算:1.1億円】
中小企業の知財を活用した経営を支援するため、知財を切り口とした事業性評価を行う金融機関に対し、中小企業の知的財産を活用したビジネスについてわかりやすく説明した「知財ビジネス評価書」の提供や、経営課題に対する解決策をまとめた「知財ビジネス提案書」の作成の支援等、知財に着目した融資や経営支援につなげる取組を行う。
10.中小企業知的財産支援事業【令和4年度当初予算:0.9億円】
産業支援機関等による先導的・先進的な知財支援の取組を地域に定着させることを通じて、中小企業等の知財保護・活用を促進するため、当該取組に対し、経済産業局等を通じて必要な経費の補助を行う。
11.新興国等知財情報データバンク【INPIT交付金の内数】
INPITが運用するウェブサイト上で、新興国等でのビジネスに関わる我が国の企業の法務・知財担当者等を対象に、新興国等における出願実務、審判・訴訟実務、ライセンス実務情報、統計・制度動向等の情報を提供する。
12.海外知的財産プロデューサー派遣事業【INPIT交付金の内数】
海外における事業展開を知的財産リスクマネジメント及び知的財産活用の視点から支援するため、海外での事業展開が期待される有望技術を有する中小企業等に対し、知的財産マネジメントの専門家(海外知的財産プロデューサー)を工業所有権情報・研修館(INPIT)から派遣する。
13.中小企業等外国出願支援事業【令和4年度当初予算:7.2億円の内数】
中小企業等による戦略的な外国出願を促進するため、JETROや都道府県中小企業支援センター等を通じて、外国への事業展開等を計画している中小企業に対し、外国への出願に要する費用(外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等)の一部を助成する。
14.中小企業等外国出願中間手続支援事業【令和4年度当初予算:7.2億円の内数】
中小企業の外国出願の権利化を一層手厚く支援するため、JETROを通じて、外国出願の審査請求・中間応答に係る費用(外国特許庁への手数料、代理人費用、翻訳費など)の一部を助成する。
15.中小企業等海外侵害対策支援事業【令和4年度当初予算:7.2億円の内数】
中小企業の海外での適時適切な産業財産権の権利行使を支援するため、JETROを通じて、模倣品に関する調査や模倣品業者に対する警告・行政摘発手続に要する費用を補助する。また、海外で現地企業等から知財権侵害で訴えられた場合の弁護士等への相談費用や訴訟に要する費用、冒認商標無効・取消係争の実施に要する費用についても補助を行う。
16.海外知財訴訟保険補助事業【令和4年度当初予算:7.2億円の内数】
中小企業等が海外において知財訴訟に巻き込まれた際の対抗措置をとることができるようにするため、中小企業等を会員とした全国規模の団体を運営主体として、知財訴訟費用を賄う海外知財訴訟費用保険制度を引き続き実施する。中小企業等を会員とする全国規模の団体に補助金を交付し、海外知財訴訟費用保険の掛金の1/2(継続して2年目以降も本補助金の対象となる場合は1/3)を補助し掛金負担を軽減することで、中小企業の加入を促進する。
17.中小企業・スタートアップの知財活用アクションプラン
特許庁、中小企業庁及び工業所有権情報・研修館(INPIT)は、令和3年12月に公表した「中小企業・スタートアップの知財活用アクションプラン※」に基づき、知財戦略立案や課題解決のための専門家派遣(伴走型支援)や、中小企業支援機関とINPITが連携して知財相談対応等を実施する。
※アクションプランについて(https://www.meti.go.jp/press/2021/12/20211227002/20211227002.html)
18.中小企業等アウトリーチ事業(営業秘密漏えい対策)【令和4年度当初予算:18.5億円の内数】
中小企業の海外での意図しない営業秘密・技術流出防止を目指すべく、在外日系企業を主なターゲットに据えて、現地専門家によるハンズオン支援(研修、管理状況・労働契約書の改善案の作成、フォローアップ)と情報提供活動(営業秘密の管理・保護に向けたマニュアルの作成・啓発)を引き続き実施し、営業秘密の管理体制の構築を支援する。
第3節 標準化の推進
1.中堅・中小企業等における標準化の戦略的活用の推進
中堅・中小企業等による標準の戦略的活用に向け、引き続き支援を行う。
第4節 調査・広報の推進
1.施策の広報
中小企業施策を普及・広報するため、施策のポイントをまとめたガイドブックやチラシ等を作成し、地方公共団体や中小企業支援機関、金融機関等に配付するほか、「ミラサポplus」を通じた情報発信等により、広く普及・広報を実施する。
(1)冊子等の発行
中小企業施策を利用する際の手引き書として200以上の施策を紹介した「中小企業施策利用ガイドブック」やチラシ等を作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関(商工会、商工会議所等)、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等に広く配布する。
(2)インターネットを活用した広報
〔1〕ホームページによる広報:中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、広報のためのチラシ、冊子等を公表する。
〔2〕メールマガジン:中小企業支援機関等と連携し、補助金等の支援施策情報、地域情報、調査・研究レポート、イベント等の情報をメールマガジン登録者に毎週配信する。
(3)ミラサポplus
ミラサポplusを通じて最新の支援情報や補助金申請のノウハウ、活用事例等を分かりやすくタイムリーに全国の中小企業に届ける。
2.中小企業白書・小規模白書の作成
中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(2022年版中小企業白書)を作成する。また、小規模企業の現状や課題を把握するため、小規模企業振興基本法第12条の規定に基づく年次報告等(2022年版小規模企業白書)を作成する。
3.中小企業実態基本調査
中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施する。
4.中小企業景況調査の公表
中小企業の景気動向について、四半期ごとに独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する中小企業景況調査の公表を行う。