第4章 取引環境の改善を始めとする事業環境整備等
第1節 取引環境の改善
1.下請等中小企業の取引条件の改善【令和3年度当初予算:36.7億円の内数、令和3年度補正予算:8.0億円の内数】
「未来志向型の取引慣行に向けて」(2016年9月)の公表以降、中小企業庁では、取引適正化に向けた重点5課題(〔1〕価格決定方法の適正化、〔2〕支払条件の改善、〔3〕型取引の適正化、〔4〕知財・ノウハウの保護、〔5〕働き方改革に伴うしわ寄せ防止)を設定し、サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善に向けた取組を行ってきたところ。
2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による中小企業の状況や最低賃金を含む人件費の上昇、原油価格高騰などの影響を踏まえ、(1)パートナーシップ構築宣言の推進、(2)「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(2021年12月27日)に基づく価格転嫁対策、(3)価格交渉促進月間、(4)「取引適正化に向けた5つの取組」の公表など、特に、価格転嫁のしやすい取引環境の整備に向け必要な対策を講じてきた。2021年度に実施した具体的な取組内容としては、下記の通り。
(1)パートナーシップ構築宣言の推進
中小企業・小規模事業者に経営環境悪化のしわ寄せが及ばないよう、サプライチェーン全体の共存共栄や、取引適正化を目指す「パートナーシップ構築宣言」の宣言企業数拡大に向け、関係省庁・関係団体を通じて事業者に周知を行った。2022年3月末までに6,000社超が宣言した。
(2)パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ
中小企業等が賃上げの原資を確保出来るよう、コスト上昇分を適切に転嫁できることを目的とし、2021年12月27日に「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」がとりまとめられた。同パッケージに基づき、1~3月を「集中取組期間」として、中小企業庁と公正取引委員会は、事業所管省庁などとも連携し、下請法の執行強化等、価格転嫁に向けた取組を実施した。
(3)価格交渉促進月間
初めての取組として、労務費や原材料費等の上昇などが下請価格に適切に反映されることを促すため、9月を「価格交渉促進月間」として位置づけ、価格交渉、ひいては価格転嫁を促進するための取組を実施した。広報や講習会を集中的に実施するとともに、月間終了後の10月以降には、下請Gメンによる中小企業2千社へのヒアリング調査や、同4万社へのアンケート調査など、フォローアップ調査を実施し、その結果を公表した。また、その結果に基づき、価格転嫁や価格協議の状況について、問題があるおそれがある発注側企業に対して、下請中小企業振興法(以下、「下請振興法」という。)に基づく「助言」を実施した。
さらに、9月に次いで価格交渉の頻度の高い3月も「価格交渉促進月間」として位置づけ、各種取組を実施した。年2回、「価格交渉促進月間」を実施することで、価格交渉の定着と浸透を図っていく。
(4)取引適正化に向けた5つの取組
2022年2月に開催された「第3回未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、萩生田経済産業大臣から「取引適正化に向けた5つの取組」を発表した。(2)の「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」の実施に加え、取引適正化の実現に向けた一層の取組強化を行う。具体的には、〔1〕価格交渉のより一層の促進、〔2〕パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大、実効性の向上、〔3〕下請取引の監督強化、〔4〕知財Gメンの創設と知財関連の対応強化、〔5〕約束手形の2026年までの利用廃止への道筋に取り組む。
2.下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用【令和3年度当初予算:36.7億円の内数】
中小企業庁は、約22万件の親事業者及び当該親事業者と下請取引を行う約5万件の下請事業者に対して定期調査を実施するとともに、下請法違反事実に関する情報提供・申告等を行うための「申告情報受付窓口」により、下請法違反に関する情報収集を行った。親事業者へ立入検査等を行い、うち支払遅延、下請代金の減額、買いたたき等の下請法違反又は違反のおそれが認められた親事業者に対し、改善指導を行うなど、下請法の厳格な運用に努めた。
3.下請中小企業振興法(下請振興法)に基づく対応【令和3年度当初予算:36.7億円の内数】
2021年8月、大企業と中小企業との取引の適正化をはかるため、対象取引類型の拡大や、国による調査規定の創設、発注書面交付の促進、下請中小企業取引機会創出事業者認定制度の新設等の内容を含む、改正下請振興法が施行された。また、本法改正に合わせ、下請中小企業取引機会創出事業者の認定に必要な事項を定めるため、振興基準の改正も行った。また、2021年9月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果を踏まえ、価格転嫁や価格協議の状況について、問題があるおそれがある発注側企業に対して、下請振興法に基づく助言(注意喚起)を行った。
4.下請かけこみ寺の運営【令和3年度当初予算:36.7億円の内数】
全国48か所に設置した「下請かけこみ寺」において、中小企業の取引に関する相談対応裁判外紛争解決手続(ADR)を実施した。
5.講習会・セミナーの開催等【令和3年度当初予算:36.7億円の内数、令和3年度補正予算:8.0億円の内数】
オンライン形式の講習会として、〔1〕価格交渉促進月間の実施にあわせた、中小企業の担当者を対象とする価格交渉サポートセミナーや、〔2〕下請法の違反行為を未然に防止するための親事業者の調達担当者等を対象とした下請法や下請ガイドラインに関するセミナーを開催した。
6.消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【令和3年度当初予算:36.7億円の内数】
消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、全国に消費税転嫁対策調査官を配置した。併せて公正取引委員会と合同で大規模な書面調査を実施して違反行為の情報を収集し、取引先に買いたたき等の消費税転嫁拒否行為を行っている可能性がある事業者に対し、立入検査等を実施した。違反行為が確認された場合は、違反事業者に対して改善指導を行った。
7.デジタル取引環境整備事業【令和3年度当初予算:5.3億円】
デジタルプラットフォーム(オンラインモール、アプリストア)を利用する中小事業者等(出店事業者、デベロッパー等)向けに、取引上の悩みや相談に専門の相談員が無料で応じる「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」を設置するとともに、各種デジタルプラットフォームを巡る取引環境等を把握するための市場調査等を実施した。
第2節 官公需対策
1.中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための取組【令和3年度当初予算:36.7億円の内数】
(1)令和3年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の策定及び周知
「令和3年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を9月24日に閣議決定し、中小企業・小規模事業者向けの契約比率を61%、契約金額を約4兆8,240億円と目標設定し、次の措置を新たに盛り込んだ。
〔1〕最低賃金額の引上げが予定されていたことから、受注者である中小企業・小規模事業者が最低賃金引上げ分の円滑な価格転嫁を図ることができるよう柔軟に契約額の変更に応じること。
〔2〕新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者に対する配慮を強化するため、入札参加機会の確保のための柔軟な対応等を行うこと。
また、基本方針を周知徹底するために、次の取組を実施した。
〔1〕経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長(1,805団体)に対し、文書により「基本方針」の趣旨を説明するとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請した。
〔2〕地方自治体に対する「基本方針」の周知徹底を図るため、説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を11月から12月にかけて10回開催した。
〔3〕都道府県に対して官公需施策の取組の推進等に関する情報共有や協力要請を行うため、都道府県中小企業者調達推進協議会を8月に開催した。
(2)「官公需情報ポータルサイト」の運用
中小企業・小規模事業者が官公需に関する発注情報を入手しやすくするため、国等や地方公共団体がホームページで提供している発注情報等を中小企業・小規模事業者が一括して入手できる「官公需情報ポータルサイト」を運営した。
第3節 資金繰り支援
1.セーフティネット貸付【財政投融資】
日本政策金融公庫が、社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化を来たしている中小企業・小規模事業者等の資金繰りを支援した。2021年度の貸付実績は、約4千9百件、約630億円となった(2021年12月末時点)。
2.資本性劣後ローンの推進【財政投融資】
日本政策金融公庫が、新事業展開や経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者に対し、財務体質を強化するとともに、民間金融機関からの資金調達を円滑に図るため、金融機関の資産査定上自己資本とみなし得る一括償還の資金(資本性資金)を供給することで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援した。2021年度の貸付実績は、約30件、約36億円となった(2021年12月末時点)。
3.日本政策金融公庫による設備投資の推進等補給金【財政投融資】
日本政策金融公庫が、新事業やビジネスモデルの転換等、生産性向上を図るための設備投資について適用利率を引き下げることで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援した。本制度の運用開始後2021年12月末までの貸付実績は、約4,300件、約1,100億円となった。
4.沖縄の中小企業金融対策【令和3年度当初予算:4,286億円の内数】
沖縄振興開発金融公庫を活用した沖縄の中小企業対策は、日本政策金融公庫が行う業務・取組について同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度を実施した。
5.(再掲)小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【財政投融資】
6.(再掲)小規模事業者経営発達支援融資事業【財政投融資】
7.(再掲)中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】
8.認定支援機関による経営改善計画策定支援事業
借入金の返済負担等の財務上の問題を抱え、金融支援を伴う本格的な経営改善を必要とする中小企業・小規模事業者等に対して、中小企業等経営強化法に基づく認定支援機関(税理士、公認会計士、地域金融機関等)による経営改善計画策定支援や当該計画に係るフォローアップに要する費用の一部を負担(2/3)し、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上高が減少している事業者は上限額の範囲内で、複数回利用を可能とした。2021年4月から12月末における相談件数は3,512件、新規受付件数は1,072件となり、制度発足時(2013年3月)から2021年12月末までの実績は、相談件数63,534件、新規受付件数は20,767件となった。また、資金繰り管理や採算管理などの早期の経営改善計画の策定を必要とする中小企業・小規模事業者に対して、認定支援機関による早期経営改善計画策定支援に係る費用の一部を負担(2/3)した。2021年4月から12月末における相談件数は2,198件、新規受付件数は996件となり、制度発足時(2017年5月)から2021年12月末までの実績は、相談件数19,635件、新規受付件数14,191件となった。
9.金融行政における中小企業・小規模事業者に対する経営支援の強化等
金融機関に対し、担保・保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適切に評価(事業性評価)することを通じて、企業に有益なアドバイスとファイナンスを行うよう促した。
第4節 経営改善支援の強化
1.(再掲)認定支援機関による経営改善計画策定支援事業
2.経営支援と一体となった高度化融資による設備資金の支援【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
工場団地・卸団地、ショッピングセンター等の整備、商店街のアーケード・カラー舗装等の整備などを行う中小企業組合等に対して、都道府県と中小企業基盤整備機構が一体となってその設備資金を長期・低利(又は無利子)で貸付けた。貸付けに際しては、事前に事業計画について専門的な立場から診断・助言を行った。
第5節 小規模事業者の持続的発展支援
1.(再掲)小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【財政投融資】
2.(再掲)地方公共団体による小規模事業者支援推進事業【令和3年度当初予算:10.8億円】
3.(再掲)小規模事業者持続的発展支援事業【令和元年度補正予算:3,600億円の内数】
4.(再掲)小規模事業者経営発達支援融資事業【財政投融資】
5.(再掲)小規模事業者支援法による経営発達支援計画の認定
第6節 経営安定対策
1.原油価格上昇等に対する中小企業対策
ウクライナ情勢の緊迫化及び原油高の影響を受けた中小企業・小規模事業者に対する支援策として、2022年3月に以下の対策を行った。
(1)特別相談窓口の設置
日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、都道府県商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構各地域本部及び各地方経済産業局に「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」を設置し、ウクライナ情勢の変化や、原油価格上昇の影響により資金繰りに困難を来している中小企業者に対する資金繰りや経営に関する相談を受け付けた。
(2)セーフティネット貸付の運用緩和
日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件を緩和し、支援対象を原油高等により今後の影響が懸念される事業者にまで拡大するとともに、金利を引き下げる方針を決定した。
(3)下請事業者に対する配慮要請
関係事業者団体約1,500団体に対して、原材料・エネルギーコスト増加分の適正な価格転嫁等を要請する経済産業大臣名の文書を発出した。
2.コロナ下における燃料油価格激変緩和対策事業【令和3年度予備費:3,500億円、令和3年度補正予算:500億円】
原油価格高騰対策として、年末から春先までを見通せるように、農業・漁業・運輸業等の業種別の対策などに加え、時限的・緊急避難的な燃料油価格激変緩和事業を行った。具体的には、ガソリン価格の全国平均が170円以上の場合、円建ての原油価格の変動による卸価格上昇分につき、ガソリン・軽油・灯油・重油1リットルあたり上限5円の範囲内で支給することで、燃料油の卸価格抑制を通じて、小売価格の急騰を抑制した。2022年1月24日のガソリン価格の全国平均が170.2円となったため、1月27日から支給を開始した。
さらに、ロシアによるウクライナ侵略によるエネルギー市場の高騰から国民生活や日本経済を守るため、3月4日に官房長官の下の「原油価格高騰等に関する関係閣僚会合」において、「原油価格高騰に対する緊急対策」をとりまとめた。激変緩和事業については、当面の間の緊急避難的措置として、急激な価格上昇を抑制するよう、元売事業者等に対する支給額の上限を5円から25円に大幅に引き上げることとした。3月10日から支給額を拡充するとともに、業種別の対策など、様々な対策を重層的に講じることで、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えていくこととした。
3.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権の回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度を継続した。2021年12月末現在で58.5万者在籍している。
4.経営安定特別相談事業
経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に「経営安定特別相談室」を設置し、本相談室において、経営安定に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等の支援を実施した。
5.中小企業BCP(事業継続計画)普及の促進
自然災害等による事業中断を最小限にとどめることを目的に、BCP(事業継続計画)の策定を促進することを目的に「中小企業BCP策定運用指針」を作成し、公表した。
6.ダンピング輸入品による被害の救済【令和3年度当初予算:18.2億円の内数】
貿易救済措置のうちアンチダンピング措置は、他国企業から我が国に対するダンピング輸入により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請に基づき政府が調査を実施した上で関税を賦課することにより、公正な市場競争環境を確保する措置である。
2020年6月に開始した大韓民国産炭酸カリウムの調査は2021年6月に終了し、不当廉売関税の課税確定措置を発動し、2020年8月に開始した大韓民国及び中華人民共和国産水酸化カリウムの不当廉売関税の課税延長調査は2021年8月に終了し、課税期間を5年間延長した。2022年2月には中華人民共和国産高重合度ポリエチレンテレフタレートに対する不当廉売関税の課税期間の延長に関する調査を開始した。
また、アンチダンピング措置の共同申請に向けた検討のモデルケース及び延長モデル申請書を策定した他、企業等への説明会や業界別輸入モニタリングシステムの導入、WTO協定整合的に調査を行うための調査研究を実施した。
7.中小企業防災・減災投資促進税制【税制】
中小企業等経営強化法における「事業継続力強化計画」又は「連携事業継続力強化計画」の認定を受けた中小企業・小規模事業者が、当該計画に記載された、自家発電設備や止水板等の防災・減災設備を取得し、事業の用に供した場合に、特別償却ができる措置を講じた。また、令和3年度税制改正において無停電電源装置及び感染症リスクに備えるサーモグラフィーを対象に追加する等対象の見直しを行ったと共に適用期限の延長を行った。
第7節 財務基盤の強化
1.中小企業等の法人税率の特例【税制】
中小企業の年間800万円以下の所得金額に対する法人税率を、19%から15%に引き下げる措置を講じた。令和3年度税制改正において、適用期限を2年延長することとした。
2.中小企業投資促進税制【税制】
機械装置等を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置を講じた。令和3年度税制改正において、適用期限を2年延長することとした。
3.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度【税制】
取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間300万円を限度に、全額損金算入することができる措置を講じた。
4.欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】
欠損金の繰越控除は、当期の事業年度に生じた欠損金を繰り越して翌期以降の事業年度(繰越期間:10年間)の所得金額から控除することができる措置を講じた。また、欠損金の繰戻還付は、当期の事業年度に生じた欠損金を1年繰戻して法人税の還付を請求することができる措置を講じた。
5.交際費等の損金不算入の特例【税制】
交際費等を支出した場合、〔1〕定額控除限度額(年間800万円)までの損金算入または〔2〕支出した接待飲食費の50%までの損金算入のいずれかを選択適用できる措置を講じた。
6.中小企業投資育成株式会社による支援
中小企業投資育成株式会社において、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施した。
第8節 人権啓発の促進
1.人権教育・啓発活動支援事業【令和3年度当初予算:1.9億円】
健全な経済活動の振興を促進するため、事業者を対象とした人権啓発のためのセミナー等の啓発事業を実施した。また、小規模事業者等が多く、特に重点的な支援が必要な地域又は業種に係る小規模事業者等の活性化のため、経営等の巡回相談事業及び研修事業を実施した。
第9節 経営支援体制の強化
1.中小企業連携組織支援対策推進事業【令和3年度当初予算:6.1億円】
中小企業組合を支援する専門機関の全国中小企業団体中央会等を通じて、経営革新・改善に取り組む中小企業組合等に対して、その実現化に向けた取組を支援した。さらに、外国人技能実習生受入事業を行う中小企業組合(監理団体)等の事業が適正に行われるように支援を行った。
2.中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【令和2年度第3次補正予算:9.8億円、令和3年度当初予算:40.9億円】
〔1〕新型コロナウイルスによる影響も含めた中小企業・小規模事業者等が抱える様々な経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置した。
〔2〕地域の支援機関では解決困難な課題に対して、それぞれの課題に対応した専門家を派遣し、その解決を支援した。
〔3〕新型コロナウイルスにおける経営支援ニーズの高まりを踏まえ、データ活用等による新しい経営支援のあり方を検討するための実証調査を実施した。
3.中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業【令和2年度2次補正予算:94.0億円の内数】
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上減少等の影響を受けた中小・小規模事業者が多く発生している中で、様々な支援が実施されているところ、商工会・商工会議所等の経営支援機関に寄せられる相談が増加している状況にある。このため、必要な支援を中小・小規模事業に届け、雇用の維持と事業の継続が可能な環境を整備するため、全国団体を通じて47都道府県商工会連合会及び515商工会議所について相談員を配置する事で経営支援機関の体制強化を実施した。
4.ローカルベンチマークの活用促進
ローカルベンチマークの活用促進や活用人材育成のため、支援機関等に対し、2021年5月に公表したローカルベンチマーク・ガイドブックを用いたセミナーを複数回開催した。また、ローカルベンチマークを活用したモデル事例の構築や、既存の活用事例の収集など、ローカルベンチマークのさらなる普及・促進のための取組を実施した。