付注2-2-1 売上高回復事業者に関する分析
第2部第2章では、限られたデータの中から感染症流行下で業績の回復を遂げている事業者を抽出し、その特徴について分析している。ここでは、「事業者アンケート調査1」における「売上高回復事業者」の抽出方法について説明する。
1 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が実施した「小規模事業者の環境変化への対応に関する調査」。詳細は第2部第1章参照。
はじめに、2020年の1月から10月で、最も売上高が減少した月の売上高(付図1)と2020年10-12月期の売上高(付図2)について確認すると、いずれの業種においても2020年10-12月期にかけて、売上高が回復傾向にあることが分かる。業種別に見ると、宿泊業と飲食サービス業において、最も売上高が減少した月において売上高の落ち込みが大きい事業者の割合が高く、2020年10-12月期の売上高において回復していない事業者の割合が他の業種に比べて高く、業種により回復傾向が異なることが分かる。


また、2020年の1月から10月で、業種ごとに最も売上高が減少した月(付図3)について確認すると、宿泊業や飲食サービス業では緊急事態宣言が発令された4月、5月と大半の者が回答しているが、建設業や製造業では7月以降に回答する者の割合も相応に高く、2020年10-12月期にかけての回復状況に、業種ごとの差が出ていることが考えられる。

これらを踏まえて、まず「回復」を見ていくに当たり、感染症流行下で売上高の減少を経験した事業者として、「2020年1~10月のうち、前年同月比の売上高が最も減少した月が4月から9月のいずれかの月である事業者」を抽出した。
さらに、売上高が最も減少した月の前年同月比売上高の水準によって、業種ごとに5つの階層に類型化した(付図4)。

この階層ごとに、2020年10-12月期の前年同期比売上高の中央値を見たものが付図5である。

そこで、最低売上高の水準によるバイアスを排除するために、業種別に各階層の2020年10-12月期の売上高水準が中央値を上回る事業者を「売上高回復事業者」、中央値の事業者及び中央値を下回る事業者を「その他」とした。