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付注2-1-1 売上高回復企業に関する分析

第2部第1章では、限られたデータの中から感染症流行下で業績の回復を遂げている企業を抽出し、その特徴について分析している。ここでは、「売上高回復企業」の抽出方法について説明する。

はじめに、データ面の制約として、月次の利益水準を把握できている企業は限られることから、アンケート調査1では四半期ごとの前年同期と比較した売上高の水準について確認している。各業種とも、4-6月期又は7-9月期にかけて売上高の水準が大きく減少した後、10-12月の見通しについてはある程度改善している傾向にある。

1 (株)東京商工リサーチが実施した「財務・経営及び事業承継に関するアンケート」。詳細は第2部第1章参照。

第2-1-28図 業種別に見た、2020年の売上高の推移

これを踏まえて、まず「回復」を見ていくに当たり、感染症流行下で売上高の減少を経験した企業として、「2020年1~10月のうち、前年同月比の売上高が最も減少した月が4月から9月のいずれかの月である企業」を抽出。さらに、売上高が最も減少した月の前年同月比売上高の水準によって、5つの階層に類型した(付図1)。

付図1 最も売上高が減少した月の売上高水準

この階層ごとに、2020年10-12月の前年同期比売上高の中央値を見たものが付図2である。これを見ると、大きな売上高の減少を経験した企業の方が、売上高が回復していない傾向にある一方、最低売上高の水準と10-12月の売上高の水準の差を見ると、大きな売上高の減少を経験した企業の方が、差が大きくなっている。

付図2 10-12月の売上高水準(最低売上高の水準別)

最低売上高の水準と10-12月の売上高の水準の差をもって回復幅を測ると、大きな売上げの減少を経験した企業の方が、回復幅が大きい傾向にある。そこで、最低売上高の水準によるバイアスを排除するために、各階層ごとに2020年10-12月の売上高水準が中央値を上回る企業を「売上高回復企業」、中央値の企業及び中央値を下回る企業を「その他」とした(付図3)。

付図3 売上高回復企業(整理)