トップページ 白書・統計情報 小規模企業白書 2020年版 小規模企業白書(HTML版) 令和元年度において講じた小規模企業施策 第7章 業種別・分野別施策

令和元年度において講じた小規模企業施策

第7章 業種別・分野別施策

第1節 中小農林水産関連企業対策

1.6次産業化の推進

(1)食料産業・6次産業化交付金【H31年度当初予算:14.3億円】

農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発や販路開拓の取組、農林水産物の加工・販売施設の整備等を支援した。また、市町村の6次産業化等に関する戦略に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組及び新たな高付加価値商品等の創出・事業化に必要な技術実証、マーケティング等を支援した。

(2)農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用

農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となった6次産業化の取組や、農業生産関連事業者による生産資材価格の引下げや農産物の流通・加工構造の改革に向けた取組等に対し、資本の提供と経営支援を一体的に実施した。なお、最近の出資状況、過去の投資実績等を踏まえ、農林漁業成長産業化ファンドに対し、2021年度以降、新たな出資の決定を行わない等の方向で、投資計画の見直しを指示した。(継続)

2.中小農林水産事業者向け支援

(1)木材産業等高度化推進資金、林業・木材産業改善資金【H31年度融資枠:639.5億円の内数】

木材の生産・流通を合理化するため、木材産業等高度化推進資金による融資を行うとともに、林業・木材産業の経営改善等を実施するため、林業・木材産業改善資金を融資した。(継続)

(2)木材加工設備導入等利子助成支援事業【H31年度当初予算:0.03億円】

品質・性能の確かな木材製品を低コストで安定的に供給するため、製材業を営む企業等が実施する設備導入等と共に、川中事業者を核とする安定供給体制の構築に必要な借入金に対して利子助成を行った。(継続)

(3)林業成長産業化総合対策のうち林業・木材産業成長産業化促進対策のうち木材産業等競争力強化対策(うち木材加工流通施設等の整備)【H31年度当初予算:234.7億円】

川上から川下の事業者が連携し、生産・加工・流通コストの削減を図ることにより、木材製品の安定的な供給のための木材加工流通施設整備を支援した。(新規)

(4)強い農業・担い手づくり総合支援交付金による乳業再編整備等への支援【H31年度予算:強い農業・担い手づくり総合支援交付金230.2億円の内数】

中小乳業の製造販売コストの低減や衛生水準の高度化を図るため、乳業工場の施設の新増設・廃棄、新増設を伴わない場合の乳業工場の廃棄等を支援した。

(5)食品産業品質管理高度化促進資

金食品の安全性の向上と消費者の信頼を確保するため、食品の製造管理の高度化に関する臨時措置法に基づき、〔1〕HACCP導入のための施設、設備の整備、〔2〕HACCP導入の前段階の一般衛生管理や品質管理を行うための体制、施設・設備の整備(高度化基盤整備)への金融支援を行った。(継続)

(6)海外需要創出等支援対策事業【H31年度当初予算:34.1億円】

国内での商談会の開催及び海外見本市への出展支援、セミナーの開催、専門家等による輸出に関する相談対応等、日本貿易振興機構による輸出総合サポートを実施。国・地域及びテーマを絞り込み、売り込むべきメッセージを明確にした日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)による重点的・戦略的プロモーションを実施した。品目別輸出団体等が行うオールジャパンでのPR活動や新たな販路開拓等の取組や支援及び輸出拡大が具体的に見込まれる分野テーマに関して、品目横断的なPR活動等を支援した。(継続)

(7)輸出環境整備推進事業(うち輸出環境課題の解決に向けた支援)【H31年度当初予算:5.5億円】

「農林水産業の輸出力強化戦略」に掲げる重点品目等について、国際的に通用する認証の取得・更新(ISO22000等)、輸出対象国・地域が求める検疫等条件への対応(登録園地査察、ハラール認証等)、輸出対象国・地域において他国産との差別化が図られる規格認証の取得・更新(有機JAS認証等)等を行う取組への支援を実施した。(継続)

(8)地理的表示保護制度活用総合推進事業【H31年度当初予算:1.6億円】

地理的表示(GI)の登録申請支援窓口の設置や申請に必要な調査に対する補助、GIに関する展示会等の開催による制度の普及啓発、国内外へ向けたGI産品の情報発信、海外における知的財産の侵害対策強化等の取組を実施した。(継続)

(9)水産加工業者向けワンストップ窓口の設置

水産施策や中小企業施策等の各種支援策等が水産加工業者に適切に周知され、かつ有効に活用されるよう、水産加工業者向けワンストップ窓口を関係道府県に設置。

(10)水産バリューチェーン事業(補正事業名:水産物輸出拡大連携推進事業)【H31年度当初予算:11.9億円、R1補正予算:2.0億円】

輸出を視野に入れて、品質面・コスト面で競争力のある流通構造を確立するため、生産・加工・流通・販売が連携してバリューチェーン全体で生産性を向上させる取組等を支援。(継続)

3.研究開発等横断的分野等における支援

(1)「知」の集積と活用の場によるイノベーション創出推進事業【H31年度当初予算:43.3億円】

農林水産・食品分野におけるイノベーションを創出するため、様々な分野の多様な知識・技術等を結集した研究開発を重点的に推進する提案公募型研究を実施した。(継続)

(2)日本政策金融公庫による各種融資

〔1〕特定農産加工業者の経営改善、〔2〕特定農林畜水産物の新規用途又は加工原材料用新品種の採用の推進、〔3〕食品製造業者等と農林漁業者等の安定取引関係構築及び農林漁業施設の整備等、〔4〕水産加工業の体質強化、〔5〕農業生産関連事業の事業再編等に対して融資を行う。(継続)

第2節 中小運輸業対策

1.倉庫業への支援

経済・社会環境の変化の中で高度化・多様化する物流ニーズやトラックドライバー不足に対応することを目的とし、物流の省力化・効率化を図るため、改正物流総合効率化法の活用により、輸送機能と保管機能が連携した倉庫の整備を促進した。また、倉庫の脱フロン及び低炭素化を促進するため、省エネ型自然冷媒機器の導入に対し支援を行った。(継続)

2.内航海運・国内旅客船事業対策【財政投融資:245億円】

鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度により、内航海運のグリーン化に資する船舶や離島航路の維持・活性化に資する船舶といった政策的意義の高い船舶の建造を促進した。(継続)

3.中小造船業・舶用工業対策

(1)経営の安定のためのセーフティネットの確保に取り組むほか、経営技術に関する講習や事業所安全に係る確認等を実施した。(継続)【H31年度当初予算:0.9億円の内数】

(2)東日本大震災では東北の太平洋側に位置する造船所のほとんどが壊滅的な被害を受けた。地域の基幹産業である水産業を支える地元造船産業の早期復旧・復興を図るため、国土交通省では、中小企業庁等関係省庁と連携し、各種支援制度を活用した支援を行ってきた。地盤沈下等により震災前と同様の操業を行うことが困難となっている造船事業者に対しては、協業化・集約化による本格的な復興のための造船施設の整備を支援する「造船業等復興支援事業費補助金」を平成25年度に創設し、2014年度末までに、8件、19事業者に対して補助金を交付決定(補助額計114.2億円)の上、復興事業を推進している。2018年度末までに7件の事業が完了していたところ、残る1件の事業についても適切に完了し、全ての補助対象事業が終了した。造船業等復興支援事業費補助金。(継続)【H25年度当初予算:160億円の内数】

(3)船舶の建造・運航における生産性向上のための技術研究開発費に対し補助を行った。先進船舶・造船技術研究開発費補助金。(継続)【H31年度当初予算:4.4億円の内数、R1年度補正予算:5.4億円の内数】

(4)中小企業等経営強化法に基づき、中小造船業・舶用工業の生産性向上を図るため、国土交通省が定めた「船舶産業分野に係る経営力向上に関する指針」に沿って中小企業・小規模事業者が策定した経営力向上計画の認定を22件行い(2019年4月から2020年1月末まで。)、税制優遇等の支援措置により設備投資等を促進した。(継続)【税制】

(5)造船分野の人材について、学生・生徒、教職員に対する造船業への理解を深め、地域の造船企業と教育機関のネットワーク強化を図ること等を目的として、工業高校等の造船学科向けの新教材、造船事業者等の地域連携によるインターンシップ等実施ガイダンスの普及を図るとともに、高校における造船教育強化と造船教員の持続的な育成体制の構築を図るべく作成した「造船教員育成プログラム」を造船教員の研修において導入した。また、外国人造船就労者受入事業の適正な運営を図り、外国人材の活用を推進した。加えて、2020年4月1日より開始された特定技能制度において、造船・舶用工業分野における特定技能外国人の受入れを適切に行った。造船業における人材の確保・育成。(継続)【H31年度当初予算:0.8億円の内数】

第3節 中小建設・不動産業対策

1.生産性向上に向けた地域建設産業の持続性の確保【H31年度当初予算:0.1億円】

中小・中堅建設企業は、限られた投資資金・人材の中で生産性を向上させていかなければならないと同時に、経営者の高齢化等により休廃業に追い込まれる企業が増加傾向にある事から、企業自体の経営の効率化と後継者不足による事業承継等への対策を講じることにより、地域建設産業の底上げを図った。具体的な取組として、事業承継等に係る実態把握を行い、企業が抱える課題の把握やその要因、背景事情の分析、改善方策の検討や、経営効率化・事業承継等に関する相談窓口を設置し、専門家によるセミナーやコンサルティングの実施、コンサルティング案件の中から優良な取組事例等を集約し、横展開を行った。(新規)

2.建設業における金融支援の実施

(1)地域建設業経営強化融資制度の実施

元請建設企業の資金調達の円滑化を図るため、中小・中堅元請建設企業が工事請負代金債権を担保に、融資事業者(事業協同組合等)から工事の出来高に応じて融資を受けることが可能となる「地域建設業経営強化融資制度」を実施した。なお、本制度では、融資事業者が融資を行うにあたって金融機関から借り入れる転貸融資資金に対して債務保証を付すことにより、融資資金の確保と調達金利の軽減を図っている。(継続)

(2)下請債権保全支援事業の実施

下請建設企業等の債権保全を図るため、中小・中堅下請建設企業等が元請建設企業に対して有する工事請負代金債権等をファクタリング会社が保全する「下請債権保全支援事業」を実施した。なお、本事業では、ファクタリング会社に対して一定の損失補償を実施し、下請建設企業等が負担する保証料について助成を行っている。(継続)

3.建設業の海外展開支援【H31年度当初予算:1.0億円の内数】

独自の技術を有する我が国の中堅・中小建設企業の海外市場への進出を促進するため、国内6都市におけるセミナーの開催、3都市(ハノイ、ホーチミン、マニラ)への訪問団の派遣、2都市(ハノイ、マニラ)における合同就職説明会の開催等による支援を行った。(継続)

4.中小不動産業者に対する金融措置

中小不動産事業者の信用を補完し金融を円滑化するため、中小不動産事業者の協業化円滑資金や地域再生のための事業資金等に対する債務保証事業を継続実施した。(継続)

5.地域型住宅グリーン化事業【H31年度当初予算:130.0億円】

地域における木造住宅の生産体制を強化し、環境負荷の低減を図るため、資材供給、設計、施工などの関連事業者からなるグループによる、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅・建築物の整備及び省エネ改修に対して支援を行った。(継続)

6.木造住宅・都市木造建築物における生産体制整備事業【H31年度当初予算:4.5億円の内数】

地域における木造住宅施工技術体制を維持・整備し、優良な住宅ストックを形成するため、民間事業者からなるグループが行う大工技能者育成のための研修活動に対する支援を行った(計23グループの研修活動を支援)。(継続)

第4節 生活衛生関係営業対策

1.生活衛生営業対策【H31年度当初予算:12.8億円、R1補正予算:1.9億円】

理美容業、クリーニング業、飲食店営業などの生活衛生関係営業の経営の健全化、衛生水準の維持向上及び利用者又は消費者の利益の擁護を図り、もって安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進するため、生活衛生同業組合及び連合会、全国生活衛生営業指導センター、都道府県生活衛生営業指導センターに対して補助を実施した。また、委託事業として、生活衛生関係営業者が生産性向上に向けた取組を確実に行っていけるよう、生産性向上ガイドライン・マニュアルを用いた個別相談等を実施し、その結果を生産性向上ガイドライン・マニュアルに反映させる事業を実施した。(継続)

2.生活衛生関係営業に関する貸付【H31年度当初予算:36.3億円、R1補正予算:12.2億円】

生活衛生関係営業の資金繰り支援を行うことで公衆衛生の向上及び増進を図るため、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)において融資を行った。2019年度においては、生活衛生関係営業者の円滑な事業再生を支援するため、長期での返済が可能となる運転資金の貸付制度を創設し、2019年度補正予算においては、令和元年台風第19号等により被災した生活衛生関係営業者が資金繰りを円滑に行えるよう、日本政策金融公庫(生活衛生資金貸付)が実施する融資を行うために必要な財政支援を行った。(継続)

第5節 環境・エネルギー対策

1.国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費【H31年度当初予算:3.8億円】

J-クレジット制度は、中小企業等の再エネ・省エネ設備投資による温室効果ガスの排出削減量等をクレジットとして認証する制度であり、当該クレジットは、大企業等の低炭素社会実行計画の目標達成や、カーボン・オフセット等に活用される。本事業では、制度事務局を運営するとともに、J-クレジット制度を利用した温室効果ガスの排出削減活動を実施する中小企業等に対し、プロジェクト登録やクレジット認証に係る支援等を実施した。また、カーボン・オフセットを促すとともに、J-クレジット制度の下で創出されるクレジットの需要開拓も推進した。本事業により、中小企業等の再エネ・省エネ設備投資を促進するとともに、クレジットの活用による国内での資金循環を促すことで環境と成長の好循環の実現を図った。(継続)

2.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)【財政投融資】

中小企業の公害防止対策を促進するため、公害防止設備の導入等をする事業者に対して日本政策金融公庫による融資を行う制度である。2019年度においては、下記のとおり着実に実施した。(継続)

[融資実績](2019年4月~2019年12月)

件数 金額
大気汚染防止 6件 78百万円
アスベスト対策関連 7件 276百万円
水質汚濁関連 5件 210百万円
産業廃棄物・リサイクル関連 37件 2,757百万円

3.公害防止税制【税制】

公害防止税制は、中小企業を含む事業者の公害防止対策に対する取組を支援するため、公害防止用設備(汚水又は廃液処理施設)に係る課税標準の特例の措置を引き続き講じた。(継続)

4.省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援補助金)【H31年度当初予算:551.8億円の内数】

工場・事業場における省エネ投資を促進してエネルギー消費効率の改善を促すため、対象設備を限定しない「工場・事業場単位」、対象設備を限定するが手続きが簡易な「設備単位」により、省エネ設備への入替を支援した。(継続)

5.電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金【H31年度当初予算:100.4億円】

工場・事業場において実施される電力の消費効率の高い設備への入替を支援した。(新規)

6.省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金【H31年度当初予算:15.0億円】

新設・既設事業所における省エネ設備の導入等を行う際、民間金融機関等から融資を受ける事業者に対し、融資に係る利子補給を行った。(継続)

7.中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金【H31年度当初予算:10.7億円】

中小企業等の省エネ取組をきめ細やかに支援するため、省エネポテンシャルの無料診断を実施した。また、地域の専門家らが連携した省エネ相談拠点である「省エネ相談地域プラットフォーム」を全国に設置するとともに、「全国省エネ推進ネットワーク」にて地域における省エネ支援窓口や省エネ情報を一元的に発信した。(継続)

8.環境・エネルギー対策資金(非化石エネルギー関連)【財政投融資】

中小企業による再生可能エネルギーの利用を促進するため、日本政策金融公庫が、再エネ発電設備・熱利用設備を導入する際に必要な資金を中小企業向けに低利で貸し付けることができる制度。2019年4月から2019年12月までに857件、179億円規模の融資を実施した。(継続)

9.生産設備におけるエネルギー使用合理化等事業者支援事業費補助金【R1年度補正予算:50.0億円】

工場・事業場におけるエネルギーコストの低減及び生産性の向上を促進し、競争力の強化につなげるため、生産性及び省エネ性能の高い生産設備投資を支援した。(新規)

10.地域低炭素投資促進ファンド事業【H31年度当初予算:46.0億円】

一定の採算性・収益性が見込まれるものの、リードタイムや投資回収期間が長期に及ぶこと等に起因するリスクが高く、民間資金が十分に供給されていない再生可能エネルギー事業等の低炭素化プロジェクトに民間資金を呼び込むため、これらのプロジェクトに対し、「地域低炭素投資促進ファンド」からの出資を行った。(継続)

11.エコリース促進事業【H31年度当初予算:19.0億円】

低炭素機器の導入に際して多額の初期投資費用(頭金)を負担することが困難な中小企業等に対し、リース料総額の一部を補助することによって、頭金なしの「リース」の活用を促進し低炭素機器の普及を図った。(継続)

12.エコアクション21【H31年度当初予算:0.08億円】

中堅・中小事業者にも取り組みやすい環境マネジメントシステムとして策定されたエコアクション21の有効性を高め、企業価値向上にも貢献できるよう改定されたエコアクション21ガイドライン2017年の認知・普及を図るため、全国5ヶ所で説明会を開催するとともに、5つの業種別ガイドラインを更新・公表した。また、大手企業のバリューチェーンマネジメントでのエコアクション21活用促進に関するシンポジウムを東京で開催した。環境マネジメントシステム導入支援を目的として、CO2削減に特化した環境マネジメントシステム導入事業を引き続き実施した。

第6節 知的財産活動の促進

1.中小企業向けの特許料等の軽減

全ての中小企業を対象に、審査請求料、特許料(第1年分~第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/2に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の1/2に相当する額を交付する措置を実施した。また、中小ベンチャー企業・小規模企業等に対しては、審査請求料、特許料(第1年分から第10年分)、国際出願に係る手数料(調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を1/3に軽減する措置及び国際出願手数料や取扱手数料の2/3に相当する額を交付する措置を実施した。(継続)

2.早期審査・早期審理制度

特許について、出願人や審判請求人が中小企業・小規模事業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審判を受けられるよう早期審査・早期審理を実施した。また、ベンチャー企業の特許について、「早期審査に関する事情説明書」を提出することにより、原則1か月以内に1次審査結果を通知できる(「スーパー早期審査」)運用を2018年7月9日から開始した。意匠・商標についても早期審査・早期審理の要件を満たせば、早期に審査又は審判を受けられるよう早期審査・早期審理を実施した。2019年度の早期審査の申請件数は2万6,363件、早期審理の申請件数は264件に上った(2020年1月末現在)。(継続)

3.出張面接・テレビ面接【H31年度当初予算:0.3億円】

特許・意匠について、中小・ベンチャー企業等への支援を目的として、全国各地の面接会場において審査官・審判官が出張面接を実施するとともに、特許・意匠・商標について、インターネット回線を利用し出願人自身のPCから参加できるテレビ面接を実施した。また、2017年7月に開設したINPIT近畿統括本部(INPIT-KANSAI)においても、出張面接、テレビ面接を実施した。(継続)

4.判定制度の実施

知財紛争の未然の防止や速やかな解決を支援すべく、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の権利範囲(特許発明の技術的範囲等)について、中立・公平な立場から、安価かつ早期に判定(判断)を示した。この判定は、権利侵害の有無を証明するための根拠資料等としての活用が可能。2019年度における判定の実績は41件。

5.特許情報の提供

国内外の特許情報をインターネット上で、無料で検索・照会できる下記サービスの提供を実施した。〔1〕「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を通じて、特許・実用新案・意匠・商標の公報や審査経過情報を検索・照会できるサービスを提供した。2019年度には、J-PlatPatの機能改善(審査経過情報が照会可能となるまでのタイムラグの解消、照会可能な審査書類の拡充、AIを活用した最新の機械翻訳アルゴリズムによる日本公報情報及び日本審査書類情報の日英翻訳の質向上等)を実施した。〔2〕「外国特許情報サービス(FOPISER)」を通じて、ASEAN等の日本企業の進出が著しい諸外国の特許情報を検索・照会できるサービスを提供した。(継続)

6.特許戦略ポータルサイト

特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトにおいて、申し込みのあった出願人に対し、直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供した。(継続)

7.知的財産権制度に関する普及【[1]INPIT交付金の内数[2]H31年度当初予算:0.5億円】

知的財産権制度に関する知見・経験のレベルに応じて、[1]知的財産権制度の概要や基礎的知識について説明する初心者向け説明会、[2]特許・意匠・商標の審査基準や、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容を分野別に説明する実務者向け説明会、[3]最新の法令改正事項を広く説明する法改正の説明会を開催した。2019年度は、初心者向け説明会を47都道府県において61回、実務者向け説明会を全国の主要都市において63回、特許法等改正説明会を9回実施した。(継続)

8.中小企業の知財に関するワンストップサービスの提供(知財総合支援窓口)【INPIT交付金の内数】

中堅・中小企業等が企業経営の中で抱える知的財産に関する悩みや課題に対し、その場で相談を受け解決につなげていくワンストップサービスを提供するため、「知財総合支援窓口」を47都道府県に設置している。また、専門性が高い課題には知財専門家を活用し解決を図るほか、よろず支援拠点等の中小企業支援機関との連携、知的財産を有効に活用できていない中小企業等の発掘等を通じて、中小企業等の知財活用の促進を図っている。2019年度は、「地域知財活性化行動計画(2016.9.26)」で設定された目標及び同計画に基づき47都道府県ごとの地域特性を踏まえ設定された目標の達成に向け、10万件以上の相談に対応するとともに、よろず支援拠点等の他の支援機関との連携を推進した。(継続)

9.営業秘密に関するワンストップ支援体制の整備(「営業秘密・知財戦略相談窓口」)【INPIT交付金の内数】

2015年に工業所有権情報・研修館(INPIT)に開設した「営業秘密・知財戦略相談窓口」において、知財総合支援窓口とも連携し、主に中小企業を対象として、企業の持つ技術を特許として権利化するか営業秘密として秘匿するかのオープン・クローズ戦略や、秘匿化を選択した際の営業秘密の管理等に関する相談に専門家が対応した。特に営業秘密の漏えい・流出事案や情報セキュリティ対策、サイバーアタックについては、相談内容に応じて、警察庁や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とも連携した対応を継続した。加えて、営業秘密・知財戦略セミナーの開催、eラーニングコンテンツ等による普及・啓発活動も実施し、本相談窓口の周知を通じて中小企業による活用を促進した。(継続)

10.中小企業知財経営支援金融機能活用促進事業【H31年度当初予算:1.5億円】

中小企業の知財を活用した経営を支援するため、知財を切り口とした事業性評価を行う金融機関に対し、中小企業の知的財産を活用したビジネスについてわかりやすく説明した「知財ビジネス評価書」や経営課題に対する解決策をまとめた「知財ビジネス提案書」を提供する等、金融機関による知財に注目した融資や経営支援につなげる取組みを行った。また、金融機関の職員を対象にしたセミナーを石川県と新潟県で開催した。(新規)

11.地域中小企業知的財産支援力強化事業【H31年度当初予算1.7億円】

中小企業等の知財保護・活用を促進するため、産業支援機関等による先導的・先進的な知財支援の取組に対し、経済産業局等を通じて必要な経費の補助を行った。2019年度は、21件の取組を支援した。(継続)

12.新興国等知財情報データバンク【INPIT交付金の内数】

工業所有権情報・研修館(INPIT)が運用するウェブサイト上で、新興国等でのビジネスに関わる我が国の企業の法務・知財担当者等を対象に、新興国等における出願実務、審判・訴訟実務、ライセンス実務情報、統計・制度動向等の情報を提供した。2019年度は、掲載記事の更なる拡充を行った。(2020年1月末現在:掲載記事数2,633件)(継続)

13.海外知的財産プロデューサー派遣事業【INPIT交付金の内数】

海外における事業展開を知的財産リスクマネジメント及び知的財産活用の視点から支援するため、海外での事業展開が期待される有望技術を有する中小企業等に対し、知的財産マネジメントの専門家(海外知的財産プロデューサー)を工業所有権情報・研修館(INPIT)から派遣している。2019年度は、6人の海外知的財産プロデューサーにより、194者(2019年12月末現在)の支援を行った。(継続)

14.日本発知財活用ビジネス化支援事業【H31年度当初予算:3.3億円】

中堅・中小企業や地域団体商標取得団体の知的財産を活用した外国でのビジネス展開の促進を支援するため、JETROを通じて以下の取組を行った。(継続)

〔1〕国内外におけるセミナーの開催から現地専門家を活用したビジネスプランの作成支援やビジネスパートナーへのプレゼンテーション機会の提供等にわたる包括的支援。〔2〕海外見本市への出展支援及び現地における商談会等の開催によるビジネスパートナーとの商談機会の提供。〔3〕採択された企業・団体が持つ技術やブランド等を活かした商品等を海外展開するためのプロモーション活動の支援を実施。〔4〕現地パートナー候補の発掘等、海外事業展開に必要な調査の実施。

15.中小企業等外国出願支援事業(中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金)【H31年度当初予算:7.4億円の内数】

中小企業等による戦略的な外国出願を促進するため、JETROや都道府県中小企業支援センター等を通じて、外国への事業展開等を計画している中小企業に対し、外国への出願に要する費用(外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等)の一部を助成した。(新規)

16.戦略的知財活用型中小企業海外展開支援事業費補助金【H31年度当初予算:0.6億円】

中小企業の知財を活用した海外展開を戦略的に支援するため、中小企業基盤整備機構を通じて、専門家が海外知財戦略の策定や課題解決に係るコンサルティングを行った。また、特許協力条約に基づく国際出願・国内移行等の費用について、一部を助成した。(新規)

17.中小企業等海外侵害対策支援事業(中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金)【H31年度当初予算:7.4億円の内数】

中小企業の海外での適時適切な産業財産権の権利行使を支援するため、JETROを通じて、模倣品に関する調査や模倣品業者に対する警告・行政摘発手続に要する費用を補助した。また、海外で現地企業等から知財権侵害で訴えられた場合の弁護士等への相談費用や訴訟に要する費用、冒認商標無効・取消係争の実施に要する費用についても補助を行った。(新規)

18.海外知財訴訟保険事業(中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金)【H31年度当初予算:7.4億円の内数】

中小企業等が海外において知財訴訟に巻き込まれた際の対抗措置をとることができるようにするため、中小企業等を会員とした全国規模の団体を運営主体として、知財訴訟費用を賄う海外知財訴訟保険を実施した。中小企業等を会員とする全国規模の団体に補助金を交付し、海外知財訴訟保険の掛金の1/2(継続して2年目以降も本補助金の対象となる場合は1/3)を補助し掛金負担を軽減することで、中小企業の加入を促進した。(新規)

第7節 標準化の推進

1.中堅・中小企業等における標準化の戦略的活用の推進

「成長戦略2019」、「知的財産推進計画2019」に基づき「新市場創造型標準化制度」を活用して、中堅・中小企業等から提案のあった案件について、2014年から2020年3月中旬までに規格を29件制定した。さらに、自治体・産業振興機関、地域金融機関、大学・公的研究機関(パートナー機関)と一般財団法人日本規格協会が連携し、地域において標準化の戦略的活用に関する情報提供・助言等を行う「標準化活用支援パートナーシップ制度」のパートナー機関数を2015年から2020年3月中旬までに163機関に拡大した。また、中堅・中小企業等向けに、標準化に関する戦略的活用についてのセミナーを、2015年から2020年3月中旬までに196件実施した。(継続)