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付注2-3-1 取引高推定値

(株)帝国データバンクは、約5万件の取引高が判明している企業間取引データを保有している。これを東京工業大学の高安美佐子研究室との共同研究により解析した結果、次の関係が判明している2

2 Tamura, K., Miura, W., Takayasu, M., Takayasu, H., Kitajima, S., & Goto, H.(2012). Estimation of flux between interacting nodes on huge inter-firm networks. In International Journal of Modern Physics:Conference Series(Vol. 16, pp. 93-104). World Scientific Publishing Company.

付図1 取引高と売上高の関係

この関係性を利用し、高安研究室では、売上高から取引高を推定するモデル(取引高推定モデル)を開発した3,4

3 Tamura, K., Takayasu, H., & Takayasu, M.(2015). Extraction of conjugate main-stream structures from a complex network flow. Physical Review E, 91(4), 042815.

4 Tamura, K., Takayasu, H., & Takayasu, M.(2018). Diffusion-localization transition caused by nonlinear transport on complex networks. Scientific reports, 8(1), 1-7.

このモデルは「取引に流れる金は、売上高から自社内で消費される金(コスト)を除いた金である」という考え方に基づき構築されている(付図2)。

付図2 モデルイメージ

さらに、(株)帝国データバンクでは、実際の企業の財務データを用いて、取引高推定値を企業の売上高と矛盾がないように補正している(付図3)。本稿では、補正後の取引高推定値を活用して生成された「企業エコシステム」を用いている。

付図3 企業間の取引高の推定手順