トップページ 白書・統計情報 中小企業白書 2020年版 中小企業白書(HTML版) 第1部 令和元年度(2019年度)の中小企業の動向 第1章 中小企業・小規模事業者の動向 第1節 我が国経済の現状

第1部 令和元年度(2019年度)の中小企業の動向

第1章 中小企業・小規模事業者の動向

本章では、我が国経済の動向について概観するとともに、中小企業・小規模事業者の動向及び中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境について見ていく。

第1節 我が国経済の現状

始めに、我が国経済の動向について概観する。実質GDP成長率の推移を確認すると、2019年の年間成長率は0.7%となり、2018年を上回った。(第1-1-1図)。2019年の動きについて見ると、公需が経済を下支えする一方で、消費税率引上げに伴う一定程度の駆け込み需要の反動減や、台風や暖冬の影響等により第4四半期は民需が弱い動きとなったため、5四半期ぶりのマイナスとなっている。

第1-1-1図 実質GDP成長率の推移

次に、産業面の活動状況について、「全産業活動指数(経済産業省)」により、「鉱工業生産指数」、「第3次産業活動指数」、「建設業活動指数」それぞれの動きを確認する(第1-1-2図)。まず、鉱工業の活動状況については、2016年第2四半期以降持ち直してきたが、2018年に入って横ばい傾向で推移した後、2019年第4四半期には、2018年半ばより低下していた輸出向け出荷が一段と低下したことに加え、国内向け出荷も低下したことにより、大幅な低下となった。次に、サービス業や小売業など第3次産業については、2014年第2四半期以降上昇傾向で推移していたが、2019年第4四半期に大幅に低下した。続いて、建設業については、2019年前半は上昇で推移したものの、2019年後半は一転して低下傾向となっている。最後に、上記三つの指標の組合せで作成される全産業活動指数を確認すると、2019年第3四半期までは堅調に推移した後、2019年第4四半期に低下に転じている。

第1-1-2図 全産業活動指数の推移

次に、企業の景況感について、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(以下「日銀短観」という。)の業況判断DIの推移を確認する(第1-1-3図)。製造業、非製造業共にリーマン・ショック以降、総じて回復基調が続いていたが、2018年以降は横ばいから低下傾向で推移している。また、製造業については特に落ち込みが大きく、2019年の第4四半期は2013年以来のマイナスとなった。

第1-1-3図 業種別の業況判断DIの推移