平成31年度において講じようとする小規模企業施策 

第6章 その他の小規模企業振興関係施策

第1節 財務基盤の強化

1.法人税の軽減税率【継続】

中小企業の年間800万円以下の所得金額に対する法人税率を、19%から15%に引き下げる措置。平成31年度税制改正において、適用期限を2年延長することとされた。(継続)

2.中小企業投資促進税制【税制】

機械装置等を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置。平成31年度税制改正において、適用期限を2年延長することとされた。(継続)

3.少額減価償却資産の損金算入の特例制度【税制】

取得価格30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間300万円を限度に、全額損金算入することができる措置(従業員1,000人超の法人を除く)。(継続)

4.欠損金の繰越控除・繰戻還付【継続】

欠損金の繰越控除は、当期の事業年度に生じた欠損金を繰り越して翌期以降の事業年度(繰越期間:10年間の所得金額から控除することができる措置。また、欠損金の繰戻還付は、当期の事業年度に生じた欠損金を1年繰戻して法人税の還付を請求することができる措置。(継続)

5.商業・サービス業・農林水産業活性化税制【税制】

商業・サービス業等を営む中小企業が商工会議所等の経営改善指導に基づき設備を取得した場合、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置。平成31年度税制改正において、適用要件を加えた上で適用期限を2年延長することとされた。(継続)

6.交際費等の損金不算入の特例【税制】

交際費等を支出した場合、〔1〕定額控除限度額(800万円)までの損金算入または〔2〕支出した接待飲食費の50%までの損金算入のいずれかを選択適用できる措置。(継続)

7.中小企業投資育成株式会社による支援

中小企業投資育成株式会社において、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施する。(継続)

第2節 取引価格の適正化

1.「下請等中小企業の取引条件の改善」【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

サプライチェーン全体の取引適正化や付加価値向上に向け、平成28年9月に公表した「未来志向型の取引慣行に向けて」(世耕プラン)に基づき、下請法関係法令の周知・徹底を図るとともに、産業界による下請取引適正化への取組をまとめた「自主行動計画」の着実な実行と取組業種の拡大を進めていく。また、下請Gメンによる下請中小企業へのヒアリング調査などによる取引実態の把握に努めていく。(継続)

2.下請代金法の運用強化【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

下請取引適正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請法を執行する。公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施するとともに、下請法違反事実に関する情報提供・申告等を行うための「申告情報受付窓口」により、下請法違反に関する情報収集を行い、下請法の厳格な運用に努める。(継続)

3.相談体制の強化と下請取引適正化に関する普及啓発【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

全国48か所に設置する「下請かけこみ寺」において、中小企業の企業間取引に関する相談に対応する。また、下請等中小企業の経営者や営業担当者が、親事業者の調達部門への価格交渉を行う上で必要な価格交渉ノウハウについて、個別指導やセミナー等を行う。下請法違反行為等を未然に防止するため、親事業者の調達担当者等を対象とした講習会を開催し、一層の周知を図るほか、全国で親事業者の取組事例等を紹介し、広く下請法等の遵守を呼びかけるシンポジウム等を開催する。さらに、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を構築するためのガイドライン(下請適正取引等のためのガイドライン。経済産業省、国土交通省、総務省及び農林水産省の所管18業種)について、全国で説明会を開催する。(継続)

4.下請中小企業・小規模事業者の自立化支援【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

下請中小企業振興法に基づき、特定の親事業者への取引依存度の高い下請中小企業・小規模事業者が連携して課題解決型ビジネスを行う事業計画の認定を行い、融資、保証の特例により支援を実施する。(継続)

5.下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

新たな販路開拓を支援するため、広域商談会を開催する。(継続)

6.下請事業者への配慮要請等【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

経済産業大臣及び公正取引委員会委員長の連名で、親事業者及び業界団体代表者に、下請法に基づく下請取引の適正化等について要請文を発出し、同法の周知徹底を図る。また、経済産業大臣名(他省庁所管の業界については主務大臣との連名)で、業界団体代表者に下請中小企業振興法に定める「振興基準」の遵守について要請する。(継続)

第3節 消費税率引き上げ対応支援

1.消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

消費税の円滑かつ適正な転嫁を行うため、全国に転嫁対策調査官を配置。併せて、消費税の転嫁拒否等の行為に関する情報を収集するため、公正取引委員会と合同で中小企業・小規模事業者全体に対して大規模な書面調査を実施するなど、転嫁拒否行為等の監視・取締りを行う。(継続)

2.商店街活性化・観光消費創出事業【平成31年度当初予算:50億円の内数】

地域と連携して魅力的な商業・サービス業の環境整備等を行い、インバウンドや観光といった新たな需要を効果的に取り込む商店街の取組に対して支援を行う。(新規)

3.キャッシュレス・消費者還元事業【平成31年度当初予算:2,978億円】

平成31年10月1日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元・割引を支援。本支援を実施することで中小・小規模事業者における消費喚起を後押しするとともに、事業者・消費者双方におけるキャッシュレス化を推進する。

2025年までに民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率40%を実現することを目標。(新規)

第4節 消費税軽減税率対策

1.中小の小売事業者等に対するレジの導入・システム改修等支援

消費税軽減税率制度の実施に向け、中小企業・小規模事業者の準備が円滑に進むように支援を行う。具体的には、〔1〕複数税率に対応したレジの導入等の支援、〔2〕複数税率に対応するための電子的な受発注システムの改修等の支援、〔3〕区分記載請求書等保存方式に対応するために必要となる請求書等の作成に係るシステムの開発・改修やパッケージ製品等の導入に要する経費の支援、を行う。(継続)

2.消費税軽減税率対応窓口相談等事業

消費税軽減税率制度を円滑に実施するため、中小企業団体等と連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や巡回指導型専門家派遣を通じたきめ細かいサポート、パンフレット等による周知等を行う。また、消費税転嫁対策窓口相談等も併せて実施する。(継続)

第5節 経営安定対策

1.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【平成31年度当初予算:中小機構交付金の内数】

取引先企業の倒産に伴う連鎖倒産を防止するための共済金の貸付を行う倒産防止共済制度について、引き続き、制度への加入促進や共済金の貸付けを着実に実施する。(継続)

2.経営安定特別相談事業

全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に設置されている「経営安定特別相談室」による相談事業を円滑に実施するため、日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等を引き続き支援する。(継続)

3.中小企業BCP(事業継続計画)普及の促進【平成31年度補正予算:15億円の内数】

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の取組事例や早期復旧事例などを広く紹介するとともに、サプライチェーンに位置づけられる中小企業等のBCPの策定を支援し、そうした取組を横展開することによって、中小企業の防災意識の啓発、強靭化に向けた取組を促進する。

また、中小企業・小規模事業者自らが策定したBCPに基づき防災施設等の整備を行う者に対して、日本公庫において融資を引き続き実施する。(継続)

4.中小企業・小規模事業者自家用発電設備等利用促進対策事業【平成30年度補正予算:58億円の内数】

大規模災害時等に系統電力や都市ガスの供給が途絶した際に、生活必需品の供給やサプライチェーン維持等のために重要な中小企業・小規模事業者の事業の中断を未然に阻止する体制を確保するため、石油製品等を用いる自家発電設備等の設置に要する経費に対して、当該経費の一部を助成する事業に要する経費を補助する。(新規)

5.ダンピング輸入品による被害の救済【平成31年度当初予算:1.1億円】

貿易救済措置のうちAD措置は、他国企業から我が国に対するダンピング輸入により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請に基づき政府が調査を実施した上で関税を賦課することにより、公正な市場競争環境を確保する措置である。平成31年度も、国内産業からの申請を受け、国際ルール及び国内法令に基づき公正且つ適切に調査を進めていく。また、企業等への説明会やWTO協定整合的に調査を行うための調査研究を実施する。(継続)

第6節 官公需対策

1.「平成31年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の策定及び周知徹底【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

毎年度策定する「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」において、国等の新規中小企業者をはじめとする中小企業向け契約目標、中小企業者の受注機会の増大のために実施する措置等を閣議決定する。

また、基本方針を周知徹底するために以下の取組を実施する。

(1)経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長に対し、文書により「基本方針」の趣旨を説明するとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請する。

(2)地方における「基本方針」の周知徹底を図るための全国説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を全都道府県で開催する。

(3)地方において新規中小企業者からの調達を推進するための取組に関する情報の共有や連携方策を協議する会議(新規中小企業者調達推進協議会)を開催する。

(4)「官公需契約の手引」を作成し、国等の機関、地方公共団体等の機関及び商工関係団体等に配布する。(継続)

2.中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための「官公需情報ポータルサイト」【平成31年度当初予算:9.6億円の内数】

中小企業・小規模事業者が官公需に関する受発注情報を入手しやすくするため、国等や地方公共団体がホームページで提供している発注情報等を中小企業・小規模事業者が一括して入手できる「官公需情報ポータルサイト」を運営する。(継続)

第7節 人権啓発の推進

1.人権啓発【平成31年度当初予算:1.9億円】

健全な経済活動の振興を促進するため、事業者を対象とした人権啓発のためのセミナー等の啓発事業を実施する。また、小規模事業者等が多く、特に重点的な支援が必要な地域又は業種に係る小規模事業者等の活性化のため、経営等の巡回相談事業及び研修事業を実施する。(継続)

第8節 調査・広報の推進

1.施策の広報

中小企業施策を普及・広報するため、施策のポイントをまとめたガイドブックやチラシ等を作成し、各地方公共団体や中小企業支援機関、金融機関等に配付するほか、中小企業支援ポータルサイト「ミラサポ」を通じた情報発信やイベント「一日中小企業庁」の開催等により、広く普及・広報を実施する。

(1)冊子等の発行

中小企業施策を利用する際の手引き書として200以上の施策を紹介した「中小企業施策利用ガイドブック」やチラシ等を作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関(商工会、商工会議所等)、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等に広く配布する。(継続)

(2)「一日中小企業庁」の開催

開催地の都道府県と中小企業庁が共催し、地元中小企業者の方々に最新の施策を紹介し、理解を深めていただくとともに、意見交換や交流の場を設け、今後の中小企業施策の見直し・拡充等に反映させるイベントを開催する。昭和39年度以来、開催している。(継続)

(3)インターネットを活用した広報

〔1〕ホームページによる広報
中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、広報のためのチラシ、冊子等を公表する。(継続)

〔2〕メールマガジン
各中小企業支援機関と連携し、補助金等の支援施策情報、地域情報、調査・研究レポート、イベント等の情報をメールマガジン登録者に、毎週水曜日に配信する。(継続)

(4)ミラサポ(中小企業・小規模事業者の未来をサポートするポータルサイト)

ミラサポを通じて最新の支援情報や補助金申請のノウハウ、活用事例等を分かりやすくタイムリーに全国の中小企業に届ける。(継続)

2.中小企業白書・小規模企業白書の作成等

中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(2019年版中小企業白書)を作成する。また、小規模企業の現状や課題を把握するため、小規模基本法第12条の規定に基づく年次報告等(2019年版小規模企業白書)を作成する。(継続)

3.中小企業実態基本調査

中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施する。(継続)

4.中小企業景況調査の公表

中小企業の景気動向を把握するため、四半期ごとに中小企業基盤整備機構が実施する中小企業景況調査の公表を行う。(継続)

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