第2章 中小企業の構造分析
前章では、中小企業については売上高、経常利益、資金繰り、倒産状況については前年に引き続き良好な状況ではあるが、その一方で設備投資、取引環境については依然として改善の余地があることが確認された。また、その中でも中規模企業と小規模事業者で水準に差が生じているものの、小規模事業者の経常利益や資金繰りは回復基調にあり、また売上高や設備投資も増加傾向に動き出したことも分かった。
本章では、企業数及び従業者数の変化、さらに開廃業という観点から我が国の中小企業の現状について概観していく。
第1節 企業数の変化
まず、我が国の企業数の推移を確認すると、1999年以降は年々減少傾向にあり、直近の2016年には359万者となっている。このうち、中小企業は358万者であり、その内訳は小規模事業者305万者、中規模企業53万者となっている。2014年から2016年の2年の間に企業数は23万者と6.1%の減少となった(第1-2-1図)。規模別に内訳を見ると、大企業が47者増加、中規模企業1が3万者減少、小規模事業者が20万者減少しており、特に小規模事業者の減少数が大きいことが分かる。
1 ここでいう「中規模企業」とは、中小企業基本法上の中小企業のうち、同法上の小規模企業に当てはまらない企業をいう。

また、1999年を基準として規模別の減少率を見ても、小規模事業者は調査年毎にマイナス幅を拡大させており、減少傾向を強めている(第1-2-2図)。

上記の企業数の推移に関連し、続いては小規模事業者の業種別の企業数の推移及び増減率の推移を確認する(第1-2-3図、第1-2-4図)。増減率の推移について見ると、1999年時に比べて電気ガス水熱業は企業数を増やしているが、他の業種については減少傾向にあり、特に鉱業や小売業については減少率が高いことが分かる。更に、小売業については企業数が多く、業種別に見た場合は小売業の減少が全体の企業数減少に大きな影響を与えていると考えられる。


企業数の推移の最後に、小規模事業者数について個人事業者と法人企業に分けて推移を確認する(第1-2-5図)。これを見ると、小規模事業者の内訳としてはおよそ6割から7割が個人事業者で占められており、割合が大きく変化することも無く推移していることが分かる。
