2 売上高急成長企業の実態
前項では、売上高の成長意向別に起業準備者の特徴を見てきたが、実際に近年起業して売上高を成長させている企業にはどのような特徴があるだろうか。ここからは、(株)東京商工リサーチの企業情報ファイルに収録されている2010年に設立された企業30(以下、「2010年設立企業」という。)、特にその中でも起業後に売上高を成長させている企業について分析する。
30 まず、三つの条件を全て満たした企業を抽出(〔1〕設立年が2010年、かつ2012年時点で中小企業。〔3〕2012年及び2017年時点で民営かつ非一次産業の企業。〔3〕2012年及び2017年の決算月数が12か月、かつ売上高及び従業員数が有効回答の企業。)。そのうち、2012年時点の売上高が上位5%の企業を除いた9,106社を対象とした。なお、組織再編による法人設立も含まれている点には留意が必要である。
第2-2-82図は、抽出した2010年設立企業の売上高増減を見たものである。このうち、事業が軌道に乗り始めていることが多いと考えられる起業2年目(2012年)からの5年間で売上高を3億円以上増加させた企業を「売上急成長企業」と定義し、その特徴について見ていく。

〔1〕売上高急成長企業の代表者の年齢構成
第2-2-83図は、売上高急成長企業とその他の2010年設立企業の代表者の年齢構成31について見たものである。これによると、売上高急成長企業の方が30~39歳、40~49歳と比較的若い年代の割合が高いことが分かる。
31 2017年時点(設立の7年後)の年齢を集計している。設立以降代表者が交代している場合は創業者でないことには留意が必要である。

〔2〕売上高急成長企業の業種構成
第2-2-84図は、売上高急成長企業とその他の2010年設立企業の業種構成について見たものである。これによると、売上高急成長企業では、建設業の割合が特に高く、他には、運輸業・郵便業、卸売業、不動産業・物品賃貸業などの割合が相対的に高いことが分かる。

〔3〕所在地別に見た売上高急成長企業の割合
第2-2-85図は、2010年設立企業に占める売上高急成長企業の割合を、三大都市圏に所在するか否か、また、製造業か非製造業かで見たものである。製造業では、三大都市圏と三大都市圏以外で売上高急成長企業の割合に大きな差異はないことが分かる。また、非製造業では、売上高急成長企業の割合は三大都市圏の方が高いことが分かる。
