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中小企業の経営指標(概要)~中小企業経営調査結果~

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(5) 中小企業経営調査結果の概要

1. 健全企業の経営状況  

10年度 (10年度決算、11年度調査) の中小企業の経営状況は、欠損企業割合の増加、収益力の低下等中小企業を取り巻く厳しい経営環境が反映されたものとなった。  

10年度の集計対象企業のうち、全産業で「健全企業」 (営業利益及び経常利益がともに黒字決算の企業) の占める割合は、9年度の56.7%から51.6%へと5.1ポイント減少し悪化した (図表1参照)

 業種別に見ると、サービス業 (51.0%) においてのみ健全企業の割合が増加したが、製造業 (52.3%)、卸売業 (46.4%)、小売業 (43.5%)、運輸・通信業、不動産業 (47.3%)、建設業 (64.0%) は、9年度対比で健全企業の割合はすべて減少した。減少幅を大きい順に見ると、製造業 -9.5ポイント、卸売業 -4.2ポイント、建設業 -3.5ポイント、小売業 -3.1ポイント、運輸・通 信業、不動産業 -2.7ポイントとなっている。

○製造業 61.8%→52.3% 9.5ポイント減
○卸売業 50.6%→46.4% 4.2ポイント減
○小売業 46.6%→43.5% 3.1ポイント減
○運輸・通信業、不動産業 50.0%→47.3% 2.7ポイント減
○サービス業 50.1%→51.0% 0.9ポイント増
○建設業 67.5%→64.0% 3.5ポイント減

図表1.健全企業の割合の推移 (健全企業) (欠損企業)

全産業
卸売業
建設業
小売業
製造業
サービス業


製造業、卸売業、小売業及び建設業の4業種の健全企業の経営状況を収益性、労働生産性、経営の安全性の3点から見ると、その概要は以下のとおりである。

1. 収益性 (経営資本対営業利益率など) - (図表2参照)  

経営資本の運用効率を示す経営資本対営業利益率を業種別に見ると、小売業 (8.6%) で増加したものの、他のすべての業種で9年度対比で低下した。最も大きく低下したのは製造業 (4.6%) で -0.6ポイント、次いで建設業 (4.2%) の -0.5ポイント、卸売業 (3.1%) の -0.2ポイントとなっている。  

経営資本回転率では、小売業 (2.4回) が0.2ポイント増加し改善されたが、製造業 (1.3回)、建設業 (1.6回) では、いずれも9年度と変わらず、卸売業 (2.4回) は0.1ポイント減とわずかながら悪化した。  

売上高対営業利益率では、卸売業 (1.6%)、小売業 (4.3%) では9年度対比横ばいとなっているが、その他の業種は製造業 (4.0%) で -0.4ポイント、建設業 (2.8%) で -0.2ポイント低下し、悪化した。

図表2.業種別収益性関連指標 (健全企業平均) の推移
比率   \   業種 製造業 卸売業 小売業 建設業
9年度 10年度 9年度 10年度 9年度 10年度 9年度 10年度
経営資本対営業利益率(%) 5.2 4.6 3.3 3.1 7.8 8.6 4.7 4.2
経営資本回転率(回) 1.3 1.3 2.5 2.4 2.2 2.4 1.6 1.6
売上高対営業利益率(%) 4.4 4.0 1.6 1.6 4.3 4.3 3.0 2.8
売上高対総利益率(%) 24.6 24.9 20.6 22.0 37.7 39.0 17.7 17.7
販売・管理費比率(%) 20.2 20.9 19.0 20.4 33.4 34.7 14.7 14.9

(注) 建設業については、売上高対営業利益率を完成工事高対営業利益率、売上高対総利益率を完成工事高対総利益率、販売・管理費比率を一般 管理費比率とそれぞれ読み替える。

2. 労働生産性  

労働生産性については、製造業は「従業員1人当り年間加工高」、卸売業及び小売業は「従業員1人当り年間粗利益額」、建設業は「従業員1人当り年間完成加工高」により、それぞれ9年度と10年度を比較した。最も大きな伸びを示しているのは、卸売業の2.4%増、次いで製造業の0.8%増であった。一方、低下したのは、建設業の3.1%減、次いで小売業の2.8%減であった。

○製造業「従業員1人当り年間加工高」

11,106千円→11,192千円 0.8%増↑

○卸売業「従業員1人当り年間粗利益額」 14,744千円→15,102千円 2.4%増↑

○小売業「従業員1人当り年間粗利益額」 9,431千円→9,164千円 2.8%減↓

○建設業「従業員1人当り年間完成加工高」 11,136千円→10,796千円 3.1%減↓  

なお、卸売業、小売業の従業員1人当り年間粗利益額は、いずれも従業員1人当り年間売上高×売上局対総利益率により算出した。

3. 経営の安全性(総資本対自己資本比率、流動比率)-(図表3参照)  

経営基盤の安全性を示す指標の一つである総資本対自己資本比率は、9年度対比で製造業(38.6%)の +3.1ポイントをはじめ、建設業(34.6%) +1.1ポイント、卸売業(32.6%) +0.9ポイント、小売業(47.7%) +0.9ポイントといずれも上昇し、わずかながら改善された。

 短期債務の支払能力を表す流動比率は、10年度は製造業(172.9%) +8.9ポイント、建設業(157.0%) +5.5ポイント、卸売業(148.0%) +2.8ポイント、小売業(189.8%)+0.3ポイントと9年度対比でいずれも上昇し、改善された。

図表3.自己資本比率の推移(総資本対自己資本比率)
全体

 

主要業種別計数推移表 (1)

主要業種別計数推移表 (2)

主要業種別計数推移表 (3)

(注) 1. 売上高については、建設業では完成工事高である。
2. 生産高については、建設業では完成工事高、卸売業・小売業では売上高である。
3. 健全企業の平均値を掲載している。


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