1.背景
(1) 我が国における従来の間接金融の枠組みを改革し、中小企業者の社債の発行による資金調達を促進するため、経済産業省は、平成12年4月に特定社債保証制度(中小企業者の私募債の発行に対して信用保証協会の保証を付す制度)を創設した。
本制度は、平成14年2月までの約2年間で保証承諾件数が4,068件、保証承諾額が3,864億円に達している。
(2) こうした実績を踏まえ、今般、より多くの中小企業者が本制度を利用できるよう、本制度の利用者が満たさなければならない適債要件を緩和することとした。具体的には、純資産額要件をこれまでの5億円以上から3億円以上へと緩和するとともに、インタレスト・カバレッジ・レーシオその他の要件を見直した、新たな適債要件を現行要件に追加することとした。これにより、中小企業者による社債の発行による資金調達を一層促進する。
なお、今回の改正は、昨年9月にとりまとめられた改革工程表において「中小企業の発行する社債に対して信用保証協会が保証を行う特定社債保証制度につき、利用者ニーズに応じた要件の見直し等の措置を講じる」と規定されたことを踏まえたものである。
以上のような適債要件の緩和を行うため、中小企業信用保険法施行規則を改正し、3月27日に公布したところであり、本年4月1日から施行する。
2.特定社債制度の改正の概要
(1) 現行制度
<現行の適債要件>
項 目
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基 準
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充足要件
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?純資産額
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5億円以上
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必須要件
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ストック
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?自己資本比率
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15%以上
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?または?のいずれか1つ以上充足
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?純資産倍率
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1.5倍以上
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フロー
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?使用総資本事業利益率
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5%以上
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?または?のいずれか1つ以上充足
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?インタレスト・カバレッジ・レーシオ
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1.0倍以上
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(参考)各指標の説明
純資産額=資本の額(資本金を含む)
自己資本比率=資本の額(資本金を含む)÷総資産×100
純資産倍率=資本の額(資本金を含む)÷資本金
使用総資本事業利益率=(営業利益+受取利息・受取配当金)÷資産の額×100
インタレスト・カバレッジ・レーシオ=(営業利益+受取利息・受取配当金)÷(支払利息+割引料)
(2) 改正案
現行要件に加え、純資産額要件を3億円以上5億円未満とする一方で、その他の指標要件を強化した、新たな要件を追加。
<現行の適債要件>
項 目
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基 準
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充足要件
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?純資産額
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5億円以上
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必須要件
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ストック
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?自己資本比率
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15%以上
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?または?のいずれ か1つ以上充足
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?純資産倍率
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1.5倍以上
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フロー
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?使用総資本事業利益率
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5%以上
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?または?のいずれ か1つ以上充足
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?インタレスト・カバレッジ・レーシオ
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1.0倍以上
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または、
<追加された適債要件>
項 目
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基 準
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充足要件
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?純資産額
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3億円以上
5億円未満
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必須要件
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ストック
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?自己資本比率
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20%以上
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?または?のいずれ か1つ以上充足
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?純資産倍率
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1.5倍以上
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フロー
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?使用総資本事業利益率
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10%以上
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?または?のいずれ か1つ以上充足
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?インタレスト・カバレッジ・レーシオ
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1.5倍以上
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のいずれかに該当する中小企業者を対象する。
お問い合わせ先
中小企業庁事業環境部金融課
三又、井上、佐藤
TEL03(3501)1511(内線5271)
Fax03(3501)6861
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