中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律の改正について~組合の役員の欠格要件が緩和されます~
令和元年9月11日
1.成年後見人に係る欠格条項等の見直しの概要
この度、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)及び成年後見制度利用促進基本計画(平成29年3月24日閣議決定)に基づく「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」(以下「一括整備法」という。)が令和元年6月7日に成立し、同月14日に公布されました。
一括整備法は、成年被後見人及び被保佐人の人権が尊重され、成年被後見人又は保佐人であることを理由に不当に差別されないよう、資格や営業許可等の各制度において定められている成年被後見人又は保佐人に係る欠格条項その他の権利の制限に係る措置の適正化等を図るものです。
今回の改正により、今後は、成年後見制度を利用していることを理由として資格・職種・業務等から一律に排除するのではなく、それぞれの資格・職種・業務等にふさわしい能力の有無を個別的・実質的に審査し、判断することとされました。
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(参考1)「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」(平成30年3月13日閣議決定)の要綱、案文、理由、新旧対照条文、参照条文(全文)については、以下の内閣府ホームページをご参照ください。
第196回 通常国会(内閣府) -
(参考2)成年後見人制度の利用促進に関する法律(平成28年法律第29号)及び成年後見制度利用促進基本計画(平成29年3月24日閣議決定)については、以下の厚生労働省ホームページをご参照ください。
成年後見制度利用促進(厚生労働省)
2.中小企業等協同組合法における対応
(1)中小企業等協同組合法の改正
一括整備法に基づき、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号。以下「組合法」という。)に基づく事業協同組合等(以下「組合」と総称する。)の役員の欠格条項が以下のとおり改正されました。
- 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)(一括整備法第117条関係)
改正後 | 改正前 |
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(役員の資格等)
第三十五条の四 次に掲げる者は、役員となることができない。 一 (略) 二 心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として主務省令で定める者 三・四 (略) |
(役員の資格等)
第四十五条の三 次に掲げる者は、役員となることができない。 一 (略) 二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者 三・四 (略) |
(紛争解決等業務を行う者の指定)
第六十九条の二 行政庁は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務を行う者として、指定することができる。 一~三 (略) 四 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。 イ 心身の故障のため紛争解決等業務に係る職務を適正に執行することができない者として主務省令で定める者 ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者 (以降 略) |
(紛争解決等業務を行う者の指定)
第六十九条の二 行政庁は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務を行う者として、指定することができる。 一~三 (略) 四 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。 イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者 ロ 破産者で復権を得ないもの 又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者 (以降 略) |
(2)中小企業等協同組合法施行規則の改正
中小企業等協同組合法施行規則の一部を改正する命令に基づき、組合法第35条の4第2号及び第69条の2第1項第4号イの主務省令で定める者について以下のとおり規定されます。また、(1)の組合法改正により、紛争解決等業務を行う者の指定の規定において、成年被後見人又は被保佐人に関する規定が削除されたことから、成年被後見人又は被保佐人に該当しない旨の証明書の徴収が不要になったため、当該証明書を要する条文から、これらの者を削除します。
- 中小企業等協同組合法施行規則(平成20年内閣府・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第1号)
改正後 | 改正前 |
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(法第三十五条の四第二号の主務省令で定める者)
第六十一条の二 法第三十五条の四第一項第二号(法第六十九条において準用する場合を含む。)の主務省令で定める者は、精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 |
(新設) |
(法第六十九条の二第一項第四号イの主務省令で定める者)
第百八十二条の二 法第六十九条の二第一項第四号イの主務省令で定める者は、精神の機能の障害により紛争解決等業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 |
(新設) |
(割合の算定)
第百八十二条の二の二 (略) |
(割合の算定)
第百八十二条の二 (略) |
(指定申請書の添付書類)
第百八十二条の五 (略) 2 (略) 3 法第六十九条の四において準用する保険業法第三百八条の三第二項第七号に規定する主務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一~三 (略) 四 役員が 法第六十九条の二第一項第四号ロ に該当しない旨の官公署の証明書(役員が日本の国籍を有しない場合には、 同号ロ に該当しない者であることを当該役員が誓約する書面) 五~八 (略) |
(指定申請書の添付書類)
第百八十二条の五 (略) 2 (略) 3 法第六十九条の四において準用する保険業法第三百八条の三第二項第七号に規定する主務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 一~三 (略) 四 役員が 法第六十九条の二第一項第四号イ及びロ に該当しない旨の官公署の証明書(役員が日本の国籍を有しない場合には、 同号イ及びロ に該当しない者であることを当該役員が誓約する書面) 五~八 (略) |
3.中小企業団体の組織に関する法律における対応
(1)中小企業団体の組織に関する法律施行規則の改正
中小企業団体の組織に関する法律施行規則の一部を改正する省令に基づき、中小企業団体の組織に関する法律(以下、「団体法」という。)第5条の23第3項において準用する組合法第35条の4第1項第2号(団体法第5条の23第4項において準用する組合法第69条(団体法第47条第3項において準用する場合を含む。)及び団体法第47条第2項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める者について以下のとおり規定されます。
- 中小企業団体の組織に関する法律施行規則(平成19年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号)
改正後 | 改正前 |
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(役員の資格)
第八条の二 法第五条の二十三第三項において準用する協同組合法第三十五条の四第一項第二号(法第五条の二十三第四項において準用する協同組合法第六十九条(法第四十七条第三項において準用する場合を含む。)及び法第四十七条第二項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める者は、精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 |
(新設) |
施行期日
2.3.ともに成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行の日(令和元年9月14日)から施行されます。
(本発表のお問い合わせ先) 中小企業庁経営支援部経営支援課長 殿木担当者:中谷、安藤 電話:03-3501-1511(内線 5331~5) 03-3501-1763(直通) FAX:03-3501-7099 |