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事業承継ガイドライン 20問20答

6事業承継計画の作成

質問18レッツ・チャレンジ! 事業承継計画を作成してみましょう!

答え18
ここでは、まず中小太郎氏が経営する「T社」の事業承継計画の事例を見てみ ましょう。それから、後継者と協力して、自社の事業承継計画の作成にチャレ ンジしてください。

事例:製造業T社の社長である中小太郎は、この度将来のことを考え、事業承継計画を立てることを思い立ちました。太郎が事業承継に係る関係者の整理、現状認識を行ったところ次のとおりでした。

(1) 事業承継に係る関係者の状況

【中小家の親族関係】
氏名 年齢 続柄 備考
中小太郎 60歳 本人 T社の創業者(代表取締役社長)
中小花子 58歳 T社の常務取締役
中小 学 30歳 長男 T社の従業員
中小梅子 28歳 長女 公務員(T社とは無関係)
【その他の関係者】
氏名 年齢 備考
63歳 T社の専務取締役(太郎の右腕だが、最近は病気がち)
35歳 T社の若手で、将来の役員候補
70歳 以前T社の取締役を勤めていたが、数年前に退社

(2) 事業承継に係る現状認識

【経営者自身の個人資産の状況】
相続財産 評価額 備考
T社株式 1億6千万円 T社の80%分
不動産(自宅) 1億円
預貯金 1億円
合計 3億6千万円
(注)株式の評価は、太郎の相続発生時には、会社の業績向上を反映して2億円程度まで上昇することが見込まれる。
【T社の経営資源・リスクの状況】
項目 数値 備考
社員数 30名 役員・従業員総数
総資産 8億円
自己資本 2億円 内部留保が蓄積
売上高 8億円
経常利益 3千万円 当期は業績好調
(注)T社の主力商品のマーケットシェアは、ライバルのU社と拮抗しており、取引先企業S社との取引をより一層強化することがマーケットシェアの拡大にとって必要な状況。

【後継者候補に関する状況】

後継者候補は長男の「学」。学は経営の意欲はあるが、最近まで取引先S社に勤務していたこともあり、T社 勤務の経験が浅く社内での認知度が低い。また、経営に必要な知識も不十分。

【相続発生時に予想される問題】

  1. 太郎の法定相続人は、妻の花子、長男の学、長女の梅子の3人。
  2. T社株式は、太郎が80%を保有し、花子が10%、Aが5%を保有し、残りの5%は数年前に退職したCが保有。なお、T社の定款には株式譲渡制限規定が定めてあるが、相続人に対する売渡請求の定めはない。

記入例 記入例及び記入用PDFファイルダウンロード(258KB)

T社社長中小太郎の事業承継計画作成のための整理

1.事業承継の概要

現経営者 中小 太郎(60歳)
後継者 中小 学(30歳):太郎の長男(現在、T社従業員)
承継方法 親族内承継
承継時期 7年目に社長交代

2.経営理念、事業の中長期目標

経営理念 適正規模で、全員参加の、高品質経営。
事業の方向性
(経営ビジョン)
  • 三つ(雇用・設備・債務)の適正規模化を図る。
  • 現在の主力商品のマーケットシェアを一層拡大する。
将来の数値目標
【現状】 【5年後】 【10年後】
売上高 8億円 9億円 10億円
経常利益 3千万円 3千5百万円 4千万円

3.事業承継を円滑に行うための対策・実施時期

(1)関係者の理解

  1. 家族会議で、学を後継者とすることを決定(実施済)。
  2. 社内の役員・従業員に学を後継者とする旨を公表し、事業承継計画を発表(2年目)。
  3. 金融機関・取引先企業(S社等)に学を後継者とする旨を告知(5年目)。
  4. 学を、取締役(1年目)、常務(3年目)、専務(5年目)、副社長(6年目)とし、段階的に権限委譲。
  5. Bを取締役に抜擢し、Aに引退してもらうことで役員の世代交代を図る(3年目)。
  6. 学の社長就任後、太郎は会長(7年目)、相談役(9年目)としてサポートを実施。10年目に完全に引退。

(2)後継者教育

  1. S社での他社勤務(実施済)。
  2. 社内での配置:Y工場(1年目)、Z工場(3年目)、本社営業(5年目)、本社管理(6年目)。
  3. 商工会議所・商工会の「経営革新塾」への参加(2年目)。

(3)株式・財産の分配
(イ)基本方針

  1. 後継者以外の相続人の遺留分は、花子:4分の1、梅子:8分の1
    株式価値の上昇を見込んで相続開始時の相続財産を4億円と仮定(前ページ参照)し、花子に自宅(1億円)を、梅子に預貯金5千万円分を相続させることとし、株式(2億円)及び預貯金5千万円分は学に取得させる。
  2. 会社法の規定を活用し、株式の分散防止に向けた制度整備を行う。

 (ロ)具体的な対策

  1. 相続人に対する売渡請求に関する定款変更を行う(1年目)。
  2. 財産の分配方法を記載した公正証書遺言を作成する(1年目)。
  3. 学に取得させる株式(80%)のうち、60%分は生前贈与する。具体的には、暦年課税制度(1〜6年目、5%ずつ)及び相続時精算課税制度(7年目、30%)を組み合わせて実施する。
  4. 学が過半数の株式を保有する7年目に、重要事項の拒否権を有する「黄金株」を発行して太郎に割り当てる(7年目)。当該「黄金株」は、太郎が引退する10年目に会社が取得し、消却する。
  5. 会社による自己株式の取得:Cの株式5%(2年目)、Aの株式5%(Aが引退する3年目)。

(4)その他

  1. 信頼のおける弁護士のD氏と任意後見契約を結んでおく(5年目)。

記入例 記入例及び記入用PDFファイルダウンロード(133KB)

T社社長中小太郎の事業承継計画表

計画図

(※)上記の例では、現経営者及び後継者の持株割合は、議決権割合ではなく、発行済株式総数に対する保有株式数の割合を示してします。